いらっしゃいませ。コンサルティング部へようこそ!
Tさん
第1話ー1 それは当然フラグである(翔吾編)
今日は入学式。俺もようやく高校一年生というわけだ。
ようやく、自分の好きなことが自由に出来ると思うと期待で胸が躍るよ。というのも、中学3年生までは家庭の教育方針でめちゃくちゃ厳しかったのだ。まあ、お陰さまで高校の勉強レベルは問題なくこなせる感じである。
で、心躍る理由だが、実は中学2年の春くらいだったかな?
ハマってしまったのである。マンガ、アニメ、声優さんに……。
そして将来はマンガかアニメに関する仕事がしたいと思う様になって、それで両親とめちゃくちゃ揉めたのである。
とまあ、ここまではよくあるテンプレだと思うのだが両親とよく話し合って勝ち取ったのがもう勉強を優先させなくて良いということ。実家を出て一人暮らしをして公立の高校に行くことである。ちなみに中学までは私立の進学校でした。それも超が付く……。
一人暮らしの条件として週末は母親が家に来るか俺が実家に帰るかのどちらかをしないといけないのだが、まあ別にそんなことは問題ではないと思っている。
あと、すでに中学二年の夏には始めているが絵をめちゃくちゃ描いている。高校になって絵を優先的に描けると思うと本当にうれしい!
とまあ、自己紹介も混ざってしまったが、しかも、自分がオタであることをサラッとカミングアウトして……。
こんななのでそりゃー期待せざるを得ないのである。
あ、そういや高校でちょっと変わった部活をしないといけないのもある。でもまあ、今は置いとこう。
そして各クラスに入り高校生活の最初のホームルームが開催、つつがなく終了。しばらくは教室にいて周りを眺めていた。中学は私立だったこともあるのか教室の雰囲気がちょっと違っていたのでそれを観察していたのだ。
クラスのメンバーがだいたい捌けていって、そして自分も家に帰ろうかと思った。教室を出たすぐのところで袋に入ったカードゲーム系のカードを拾う。
今、腐女子に絶大な人気を誇っているトキあるG(ときどきメモリアルGの略。アニメだけでもすでに3シリーズ。据え置きゲーム、スマホゲーム、さらに大規模なイベントも各地でやっている。そんなメディアミックスされている超人気ラインナップである。)のレアカードであった。もちろんカードゲームにもなっている。しかしいきなり中身が見えているのでなんかの特典のカードなのか? と思った。
しかし、カードを見ただけでこれの内容がわかってしまう自分もどうかと思ったが、まあさすがにこっちのジャンルまでは手を出していない。主要キャラの中の人がわかるくらいだ。(いや、十分か?)
これをここに放置したところでどうせ誰かに回収されて無残に廃棄されてしまうことがオチだろう。これを落とした人にとってこれがどれだけ大事なものかがわかってしまうので、とりあえず自分が保管しておこうと思った。まあ今後、周りを観察していけば誰のかがわかるかもしれない。わかったらそっと返そう。
そして、オレは入学式だというのにちょっとした学校関連の野暮用を片付けて家路についたのであった。
とまあ、物語の冒頭で主人公がこんなカードを拾うわけだから、この後このカードがひとりの少女と出会わせるフラグになるのは当然のテンプレ展開だろう。
おっと、話に夢中で自己紹介が中途半端な感じになってしまっているな。ここで、ちゃんとしておこうか。
俺の名前は高橋翔吾(たかはししょうご)先ほど入学式が終わったばかりの高校1年生である。
身長は150cm、体重は50kg。まあ、小柄だな。自己分析的には中学までの親の教育方針も手伝ってかそこそこのスペックは持っている。少なくとも自分ではそう思ってる。
勉強だが、一応中学はかなりのいや超が付くと言っておいた方が良いかな? そんな進学校に行っていた。そして成績は学年で1位から3位までを競っていた。っていうか、学年で競っていたベスト3のメンバーは、それは基地外みたいなやつで主要5教科ではほぼ100点をとってくる連中だった。オレは体育を含めた副教科が強かったので全体としてなんとか争えていた感じである。他の2人は残念ながら運動神経だけは繋がってなかったらしい。
さらに専門の経営や帝王学とかも学ばされし、あとは、ピアノやスイミングといったことも習っていた。
ちなみに、芸術方面の習い事は人並みよりは若干できる感じでしかなかった。俺としては絵関連の習い事をしておきたかったという気持ちはある。
こんな教育方針なのも親が大企業の重役で、ほんとに身一つで成り上がったところがある。なので子供にはその辺はしっかり教育したいということであった。でも、これは行き過ぎだろうとというのは子供心の中でもあった。
あと俺には双子で兄と姉がいる。すでに社会人なのだがこの教育方針によってふたりともかなり良いところで働いている。
自分もそうなると思ってたのだが、ここは何というかハマってしまったのである。アニメと声優さんに。ハハハ。
まあ、自己紹介なんかをダラダラしていてもしょうがないのでこの辺にしておこう。あとはおいおい説明が入ると思う。
そして翌日。さっそく事件? が起きる。
今日はレクリエーションのみで学校は午前中のみである。授業はない。レクリエーションが終わり机の中に入れておいた筆記用具を取り出そうとした際に、一枚の四つ折りされた紙(メモ?)がひらりと落ちてきた。オレがノートと筆記用具を乱暴に机にしまったせいか若干くしゃくしゃになっていた。内容はというと、
『高橋翔梧様
あなたに大切なお話があります。
本当に大事な話です。
今日(9日)の午後2時にプールの更衣室裏に来て下さい。
桝谷優羽』
!!!
………………。
『ええええええええ!?』
と、思わず声を出してしまいそうになったがグッと堪えた。危なかった。本当に危なかった。心臓も一瞬止まるかと思った。さらに一瞬目の前が真っ白になった。
びっくりすると気を失うっていう気持ちが良く分かった。俺も、もしかしたらひっくり返るところであったからだ。まだ教室には人が残っているのであんまり大げさな行動をとるわけにもいかんしな。
しっかし、親の教育方針でいろんな経験をしてきた。いや、ほんとにね。あと自分の性格もあってか、大体は冷静でいて生活する上でびっくりするということはほとんどなかった。
だがしかし!
人生でこんなびっくりするということがあることは知らなかった。まだ、心臓はちょーバクバクしている。今にも飛び出さんばかりだ。
メモをいったん机の中に戻す。そして、ちょっと考える余裕が出てきたので再度メモを取り出し今の状況を確認することにした。
……、って、冷静になんかなれるかぁ!!!
でもまあ、やっぱり状況を整理していかないと……。
机の中に四つ折りにされたメモが入っている。内容だけ見ると、どうしてもこれはラブレター!?
いやいやいやいやいやいや、
マテ!
ん!?
実は幼馴染フラグか!?
あ、いやいや、この優羽って書いて『つばさ』と読むらしいが、こんな珍しい読み方をする子であれば忘れるはずがない。幼馴染フラグも無いな。
というか、高校は実家よりかなり遠方で都内のところを選んで来ているので現時点では誰も友達はいない。ボッチのはずである。
それに、ラブレターならこんなメモ用紙に四つ折りで雑に入れておくはずがないな。状況分析の上、だいぶ落ち着いてきた。
そして、この桝谷優羽(ますたにつばさ)という女の子だが入学式2日目にしてすでにクラスはもちろんのこと学年でもちょっと話題になっている。
もちろん今日一日クラスにいてオレの視界にもちらちらと入ってくるくらい目立つというかオーラ?
まあなんていうか……、とても美人である。目はちょっとつり目でキリッとしている。ショートカットの髪だが、肩のところはふわっとカールがかかっていてスタイルもとても良い。
あと、何といっても身だしなみがきっちりしていてとても清潔感、清涼感があるというかほんとにとても感じが良い。
さらにいっしょにいる子。たぶん、同じ中学だったのだろう。とても仲良しな感じである。
こちらの子は桝谷さんとはまったくもって真逆の人だ。少したれ目な感じで漆黒の髪が腰、いや、おしりくらいまで垂れている。長い髪なのにとても手入れが行き届いていて本当に綺麗な髪だ。あと背も低く小柄である。こんな二人がいっしょにいるもんだからそりゃあ、
目立つ!
状況分析すればするほど、冷静になればなるほど、呼び出される理由がさっぱりわからんな。
しっかし文面だけ見ると……。恥ずかしさのあまり赤面してしまう……。
でもまあ呼び出されちゃっているので行かないわけにもいかん。何をされるかわからないけど、いろんなことが起きても良いように心の準備はしておかないとな。
えっと今の時間は?
スマホを取り出して確認する。12時45分。まだちょっと時間があるな。売店でちょっとパンでも買って待ってるとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます