第1話
ある日、いつものように学校から帰っているときに家のマンションの前に小さな女の子が座っていた。
見たことないが何か懐かしい感じがする女の子だった。
どうしてだろうか、私は無意識の内にその女の子に話し掛けていた。
「迷子なの?ママとはぐれちゃったのかな?」
「…。」
「ここのマンションに住んでるのかな?」
「…。」
その女の子は首を振るだけで話さなかった。
知らない人だから恐がっているのかもしれないが、なんだか自分が情けなくなってきたので、その場を後にして自分の家に帰ろうとした。その時
「…ちよっていうの。あたしちよ。」
小さな女の子は突然しゃべった。
「…あっちから来たの。」
その小さな懐かしい感じの女の子はちよと言う名前で、マンションの向かいにある公園の方を指差して言った。
私はちよという女の子の前でしゃがんで言った。
「ちよちゃんって言うのか〜、お姉さんは奈々って言うんだよ。ママの所戻らなくて大丈夫?一人でいたら危ないから、にママの所まで送っててあげようか?」
「ううん、もう少しいる。奈々ちゃんといていい?」
「お姉ちゃんは構わないけど…。」
さっきまで口も聞いてくれなかった子に懐かれてしまった私。
ちよは不思議なほど懐かしい匂いがした。
だからかも知れないが、公園のブランコで少し遊んであげることにした。
1時間ほど経って夕暮れ時になったので
「もう遅くなっちゃったし帰ろっか。ちよちゃん、送ってあげるよ。」
と私は優しく言った。
「ううん、自分で帰る。また来るね。」
ってちよがにこっと笑って可愛い声で言った。
『いつ?』と考えている間にちよは私の前からいなくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます