甲状腺の病気
息子、バセドウ病と診断された。
経緯を書いておこう。もっとも、色々な事象の因果関係がいまいちはっきりしないのではあるが。
小学4年生の、7月初旬のある日を起点に、急に息子の髪の毛が抜け始めた。それはもうほろりほろりと。二週間ほどで、ほとんどの髪が抜けてしまった。
皮膚科に行った。円形脱毛症と言われた。
かかりつけの大学病院の小児科に、前月に血液検査をしてもらったので、その結果を確認したところ、甲状腺の値が高いので、内分泌の担当の先生にみてもらったほうがいいと言われた。翌日大学病院に行った。問診、血液検査、超音波検査を経て、診断された結果が、バセドウ病であった。
バセドウ病は、甲状腺分泌ホルモンの値が高くなることによって、呼吸が荒くなったり、眼球が飛び出したり、つかれやすくなったり、妙に活動的になったりする。
息子の最近の落ち着きのなさも、これが原因のひとつかと思われた。
同時に、これを治療すれば、落ち着きのなさも解消されるのではないかと思った。
もしそうであればバセドウ病の治療がうまくいけば、落ち着きのなさも解消されるのではないかと思った。
「落ち着きのなさ」とやんわり書いているが、我々が対峙していたのはもっと深刻な状況であった。
通学バスの中でとにかくじっとしていない。立ち歩き、靴を脱ぎ、靴を投げる。そのせいで、他の児童がおびえてしまってバスに乗れなくなり、どうも学校にクレームが入ったらしい。そこで、しばらく父親である僕が同乗することになったが、まあ止めようとしても止まらない。立ち歩く。靴下を脱ぐ。靴を脱ぐ。帽子をとる。投げようとする。エスカレートして、今度は服を脱ぐ。手に負えない。
そんな状態がずっと続いていた。
だが、甲状腺の治療もなかなか一筋縄ではいかなかった。値が上がったり下がったりするのである。
数ヶ月間の間投薬と検査を繰り返したところでの主治医のみたては、橋本病がベースにあり、一時的に甲状腺の活動が上がってホルモンを放出して戻ってまた放出してを繰り返しているのではないか。とのことだった。あんまりないらしいけれど。それと髪の毛が抜けるのも症例としてはあるけれど、その先生は初めての経験らしく、事例報告みたいなかたちで論文にさせてもらうかもしれないとも言われた。
つまり、珍しい事例のようだ。
中耳炎のこともそうだけれど、この子は珍しい症例のオンパレードだな。
落ち着きのなさについては、ADHDの投薬治療が変わって、年が明けたあたりからだいぶ落ち着いたのだが、それは別の項で。
甲状腺と落ち着きのなさは、まるっきり関係がないわけではないかもしれないが、根本的な原因ではなかったようだ。
治療を開始して一年と三ヶ月ほどたった現在、甲状腺機能の数字は落ち着いている。頭髪はむらがある。生えてきているところはそこそこ伸びているのだが、生えてこないところは生えてこない。難しいところだ。
頭髪については、やっぱり本人も(気にしていないようで)気にしているみたいで、やっぱり生えてきて欲しいと言っている。
二ヶ月に一回程度の通院は続いている。この先、いつまで続くのかは、さっぱり分からない。
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