あかとんぼ日記

カオス饅頭

エルピナ歴170年一月 日記を付ける事にした

・一月一日

 日記を付ける事にした。人の社会から離れて等しいが、言葉を何かに収めないと人間であることを時たま忘れそうになるからだ。

 つまりこの日記は残す事を重視している訳では無いので、簡素な手帳形式になっている。

 

・一月二日

 外の世界は正月も明けて、中々忙しくなっているのだろうけど僕の日課は変わらない。

 車も空を飛ぶこのご時世に態々薪から炭を作ってまで原始的な生活をする。書き出してみると、凄く虚しいそんなキャラだけど、まあそういうのが居ても良いんじゃないかな。

 干し肉が硬い。

 

・一月三日

 山小屋風の家に取り付けた窓から外を見ると雪が降っていた。

 あの窓は初期型RD(リアクション・ドールの略。人型有人兵器)の頭部センサから流用したもので、今もその独特の趣に気に入っている。

 まだまだ連休だっていうのに、これは街の子供たちとしては不便だろうなぁ。森に住んでいる僕には関係ないけど。

 

・一月四日

 一面の銀世界が広がっていたが、僕にとっては苦行とも言えるだろう一日だった。

 オサレな外観に憧れてこの家作ったは良いけど、自作だし積もるとヤバイところがいっぱいあるからなぁ。身体の節々が痛い。

 これも一興と久しぶりに歌って踊ってみたが、骨から変な音がしたのでやめた。うん、ナニ考えていたんだろう僕。

 

・一月五日

 湿布を貼っておとなしくした。

 この湿布はナノマシンが含まれており、貼ったところから皮膚より染み込んで身体を健康な状態にしてくれるという、軍隊の緊急医療キットにも必ず入っている優れものだ。

 危なくなったら文明を使う。そこまで僕はエコロジストじゃないものさ。

 

・一月六日

 拳銃を何丁か吟味する。こんな時代なのにビームは撃てないものなのだと微笑した。

 西部開拓までとは云わないが、旧式の拳銃には味が合っていいものさ。

 愛銃である『スーパーレッドホーク』は名前も良いし、強度と威力も高めなので狩りではよく使っている。そんな事を思いながら、他幾つかも手入れをした。

 

・一月七日

 雪が降る中、不要な木材を並べ立てて拳銃の訓練をした。

 早撃ち、リロード、動きながらの射撃と色々試す。こういうのは訓練場で出来なかったことなので気持ちいいが、僕くらいじゃないと危ないのでやらない方が良いだろう。

 後、左片手の稲妻のような早撃ちは浪漫を感じて素晴らしかった。

 

・一月八日

 ニトロ化キットで昨日減った銃弾の再利用をする。

 最近は小学生の使うような理科の実験キット程度の装置でも、銃弾の推進剤になる無煙火薬が作れるんだから便利なものだ(このキットは本来、軍隊によって厳重に管理されている筈のものである)

 

・一月九日

 リュートの調律をする。

 気分が乗ってきたので外に向かってジャンジャンと弾いてみたら、窓の外で何か動くものがあった。兎でも居たのだろうか。

 

・一月十日

 まだ雪のシーズンは止みそうにない。だが、外を歩くのに特段問題はないので適当に散策をした。白兎を見つけたので、狩る。僕の拳銃の腕は生き物に対しても錆びていないらしい。

 すんなりと額を撃ち抜く事が出来た。兎は燻製にして、食べた。

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