たまごのころ
萩
たまごのころ
たまごのころは ちいさなたまご
かわいい”から”と ほそいてあし
たまごのころはちいさなこども
いつもずっとかわいいこども
たまごのころのともだちは かわいいちいさな あひるのこ
たまごのころのともだちは かわいいちいさな うさぎのこ
にひきと いっこは まいにあそぶ
きのぼり かけっこ さかなつり
あ あぶない
たまごのころはみんながだいすき
でもね ふゆのあるひ みんなはいった
「これから ふゆになるからね
ぼくたちみんな ねむらないといけないの」
たまごのころはひとりぼっち
しんしんとふるゆきのなか みんながおきるのをまっていた
はるだ
たまごのころは あるいていく
だいすきなともだちに あいに
「おや ころちゃん」
そこにはりっぱなはくちょうと おおきなうさぎがまっていた
「ころちゃん ぼくはこれからみんなととおくへいかないといけないんだ」
と はくちょう
「ころちゃん わたしはこれから かぞくをもってこどもをうむの」
と うさぎ
たまごのころはひとりぼっち
そこへ つばめがやってきた
「おや どうしたんだい たまごちゃん からがうまくわれないの」
とんとん
つばめがからをたたいたら たまごのころはわれちゃった
そこにはなんにもなかったよ
われたかけらをあつめて たまごのころはあるきだす
「どこへ いけば いいのかな どうすればいいのかな」
たまごのころは はるののはらをあるいていく
ほそいてあしに ひびだらけのまるいたまご
たまごのころは あるいていく
たんぽぽのもりを きらきらしたおがわを
ずっとずっとあるいていく
ぽろっ
ときどきからがおちたけど ころはむちゅうであるいていく
ないてるとりのひな
おかあさんかえるをおいかける ちいさなかわいいおたまじゃくし
はなのあいだをいそがしそうにとぶ みつばち
ねむそうに つちのあいだからかおをだす もぐら
とんとんと たのしげに きをつつく きつつき
はるののはら はるのもり はるのやま
ずっとずっとあるいていくうちに たまごのころのからは どんどんどんどんおちて
どんどんどんどん おちて
やまのうえについたとき さいごのからが ぽとりとおちた
あおいそら きらきらかがやく げんきなたいよう
「きれいだな」
たまごのころは やまをおりた
どんどんどんどん おりるうち
ちいさなおがわにたどりついた
「あっ」
おがわには ぴかぴかで ちいさくかわいい たまごがうつっていた
たまごのころ 萩 @ni_3
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