第4章 隠された湖11

『当たり前です。簡単に人間に教えていいはずないでしょう。しばらく同行させていただいてもいいですか?確かめたいことがあります。』



『ラウクシナが契約するまでは、こうして会話が出来るな。要件や質問はこっちの会話で聞こう』



『わかりました。では、人の姿になりましょう。このまま同行を願い出ます。』




そう言うとラウクシナの身体が光に包まれ、人の姿へと変わった。


ルーナとハワンドはただ驚いた顔をして、ラウクシナを見ている。


背中までの青く長い髪、澄んだ青い瞳。


その青は彼が水竜であるという証明になる。


けれど、髪と瞳が青という珍しい色をしている以外、彼が水竜だと言われなければ誰も気づくことはなく、竜の人型を知るものはそう多くもなく、僅かに知る者は契約者であり、口外することは出来ない。


それほど、見た目は人に違いない姿といえる180を超える長身の男性が、湖から陸へと移動する。


ルーナの目の前に来たラウクシナはルーナに話しかける。




「先ほどは突然の攻撃すまなかった。ひとつ聞きたいことがある。なぜこの場所に来ることができた?ここは結界が張ってある。簡単には入ってこれる場所ではない。」



「わかりません。なぜかこっちに呼ばれている気がして。気づいたらここにいました。」



ルーナの言ったことの意味。


もしかすると互いに呼び合ったのかもしれない。


予想通りなら、ルーナはラウクシナの・・・。




「なるほど。ここは街からは離れた場所にある。君たちは冒険者か?」



「はい。そうです。あの・・・。私とお友達になってくれませんか?」




本来、竜と人は会話が可能ではある。


けれど、竜が独自の会話方法を編み出し、それは竜か竜が認めた契約者以外にはたとえ魔族であっても聞き取ることは出来ない。


竜には共通の会話方法と竜独自の会話方法の2種類あることになる。


それは人型になれない一般竜も同じである。




「それは君次第だな。だが・・・、少し気になることはある。しばらく君たちに同行してもいいだろうか?私が竜であることは伏せてということになるが。それが無理なら私はこのまま自分の世界へ帰ることにする。」




竜と近づけるという機会をみすみす逃す冒険者は殆どいないだろう。


それも竜から願い出てくれている。


近くにきたハワンドは快諾した。


俺とメリアも頷く。




「一緒に旅をしましょう。もちろん貴方が竜であることは黙っておきます。私ルーナです。よろしくお願いします。」




ルーナはペコリと頭を下げた。


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