第40話 いざ別府、地獄巡り開始編
久々の肉料理をガッツリ堪能した後、私達は早々に別府へと向かった。
「向こうに到着するのは4時近くかなぁ。今日宿泊する会社の保養所のチェックイン時間を考えると立ち寄れるのは1,2箇所くらいになるかも」
旦那がカーナビをちら見しながら呟く。
いや、カーナビがあるとはいえ不慣れな土地で方向音痴二人が初めていく場所に向かおうとしているのである。最低でも『いまきん食堂』の時と同程度くらいは道に迷うだろう。下手したらどこの地獄にも辿りつけず、宿に行く時間になってしまう可能性だってかなりあるのだ。
「一箇所でも見れたら御の字じゃない?それぞれの地獄が離れているかもしれないし」
方向音痴なんだし下手したら見つけられないかも、という言葉を飲み込みつつ、私は出来るだけ明るく言う。最悪別府の街中をドライブするだけになるかもしれないが、その時はその時だ。
そんな会話をしているうちに車は別府の市街地に入った。山道とは違いかなり車の通りも多く、観光地としてきちんと整備されている。こんな場所ならばきっと『地獄めぐり』の解りやすい看板が立っているかもしれない・・・そんな風に私が思った、まさにその時である。
「あ、あった!坊主地獄!!」
運転しながら旦那が叫び、私は旦那の視線を追った。すると進路方向左側に『坊主地獄』の看板がでかでかとあるではないか。しかも駐車場入口もその看板の近くにあり、車を入れやすそうである。時間的にもここを逃したら地獄巡りは不可能だ。
私達は早々に坊主地獄の駐車場に車を滑り込ませ、外に出る。すると刺激のある独特の臭気が鼻を突いた。
「あ~硫黄の匂い!やっぱりこの匂いを嗅ぐと温泉地って感じがするよね~♪」
嗅ぎ慣れた温泉地の匂いに私は安堵を覚えたが、次の瞬間それはすぐに掻き消えてしまった。
「ねぇ・・・ここにお賽銭が置いてあるんだけど、何で青色に変色してるの?」
私は旦那の服の裾を引っ張って問題の場所を指し示す。そこには小さな祠があり、そこに置かれていた賽銭は、どれも今まで見たこともない鮮やかな青色に染まっていた。
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