生きるたそがれ、人生の岐路
蒼筆野猫
第1話
私はとある駅前で、喫茶店を営む男である。
年齢にして四十一歳、独身貴族と書けば聞こえはいいが実際はとんとそういった縁がない。
訪れる客以外の異性と最後に話したことなど何十年ほど前だろうか。
ただこうして気ままに独り、この店を続けれることには縁がないことを感謝している。
この店の客層はわりと様々と言えるだろうが、共通するのはだいたい悩みを抱えてここに来ること。
この店の名前通りと、言わんばかりに私の言葉を頼りにして。
若きに言葉を出せても老いに言葉を出すのはいかがなものかと思うが
それが私に求められている役割なのなら受けるしかないのかもしれない。
実際、頼られるのも悪くないのが本音なのだ。
虚栄心だとか、そういうのには縁がないと思っていたが……
これはそういう欲なのだろうか?
そんな私の店の名は「岐路」。
一番大事にしていることは、もし悩みを抱えた人が来たならば
その選択に悩んで、人生の選択という道を選んで帰って貰う事。
岐路は複雑だからこそ、しっかりと悩んでもらいたい。
時に人の言葉も必要だから手を貸そう。
もしも貴方が悩みに悩んで、それでも答えを出せなかったのなら
私はここを、「岐路」を開いて貴方を待っています。
……ほんのすこし、気まぐれに休んでしまいますけどもね。
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