一号と二代目
翡翠
一号
私が藍と会ったのは中学三年生に上がる前の冬休みのことだった。
母親にお店に連れていかれ、テキパキと書類を書いていく母を眺めていた。暫らくすると、退屈だった私は店をうろちょろし始めた。店には目を惹かれるような物ばかりが並んでいた。
母に呼びつけられ急いで母の元に戻ると綺麗な子がいた。母は中学に上がって、色々な場所に行くようになった私のことが心配らしい。そのためのこの子はお守り役と言ったところだった。
友達の少ない私にとって、この子は恰好の遊び相手であった。彼に名前がないと聞くと、私は必死になって考え-藍-という名前を与えた。
学校の方にも連れていく許可は出ていたこともあり、1日のほぼすべてを藍と過ごした。笑えるような話だが、寝る時ですら自分と同じ部屋に入れていたのだ。風呂は流石に親に止められたが。
私と藍は二人でいくつもの思い出を作り、日々を楽しんでいた。二人で少し遠出もしてみたし、家でもゲームをし、日々を満喫していたはずだったのだ。ほんの一瞬だったのだ、そうたった一瞬、私の適当な行動一つで藍を傷つけてしまった。
藍は許してくれた。しかし、母は許さなかった。傷ついた藍は何をするかわからない。早く新しい子に取替えましょう。反論する間もなくまた、あの店にと連れていかれた。
一号と二代目 翡翠 @summer64
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。一号と二代目の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます