一号と二代目

翡翠

一号

私が藍と会ったのは中学三年生に上がる前の冬休みのことだった。


母親にお店に連れていかれ、テキパキと書類を書いていく母を眺めていた。暫らくすると、退屈だった私は店をうろちょろし始めた。店には目を惹かれるような物ばかりが並んでいた。


母に呼びつけられ急いで母の元に戻ると綺麗な子がいた。母は中学に上がって、色々な場所に行くようになった私のことが心配らしい。そのためのこの子はお守り役と言ったところだった。


友達の少ない私にとって、この子は恰好の遊び相手であった。彼に名前がないと聞くと、私は必死になって考え-藍-という名前を与えた。


学校の方にも連れていく許可は出ていたこともあり、1日のほぼすべてを藍と過ごした。笑えるような話だが、寝る時ですら自分と同じ部屋に入れていたのだ。風呂は流石に親に止められたが。


私と藍は二人でいくつもの思い出を作り、日々を楽しんでいた。二人で少し遠出もしてみたし、家でもゲームをし、日々を満喫していたはずだったのだ。ほんの一瞬だったのだ、そうたった一瞬、私の適当な行動一つで藍を傷つけてしまった。


藍は許してくれた。しかし、母は許さなかった。傷ついた藍は何をするかわからない。早く新しい子に取替えましょう。反論する間もなくまた、あの店にと連れていかれた。




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一号と二代目 翡翠 @summer64

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