切り取るカメラ

シャッターの音が鳴る

わたしは

それを聞いて

わくわくしながら

とれた写真を眺める

小さな画面には

わたしが切り取った風景があって

わたしはひどく高揚する


これはわたしだけの絵であり

これはわたしだけの窓であり

これはわたしが切り取った景色なのだ


晴れた空

雫をたらす庭の花

旅行先の景色

愛しい人の笑顔

永遠に色あせない

そのときの景色は

心にしまうには

あまりにも眩しすぎて

あまりに大きすぎて

わたしの頭から

わたしの心から

こぼれてしまう

忘れてしまう


だからわたしは

切り取る


忘れないように

こぼれないように

日常も

特別も

一度きりも

何度でも

このカメラで

全てを切り取る






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