第2話 匂いと臭い

お寺にお参りに行く日がある。月に一度。

駅から露店が並ぶので、誘惑にかられる人たちがうろうろして、学校に行く道が混む。ぎりぎりに登校だと遅刻だよ。裏道から行かないと。


境内に入るには必ず通る一等地に「奈良漬」の店が出店している。学校は境内の一角にあるから、避けては通れない。

あの特有のお酒の匂いが当時はだめで、その店の前だけダッシュで通り過ぎていた。

奈良に行ったとき、ワンコインできき酒ができる酒蔵で、途中で飲み休め(?)として奈良漬が出てきてどうしよう・・・と思ったけど、食べれました。日本酒が少し飲めるようになったから、奈良漬も大丈夫ってことか。ちなみに、きき酒はおちょこ5杯程飲めるんだよ。ならまちにある。


奈良漬の店はダッシュで通り過ぎても、1年の時の校舎の位置が悪かった。塀の向こう側に露店が並んでいる。いや、参道沿いに校舎があるので、露店ストーリートがすぐそばにあるのだ。屋台の屋根が見えてるんだから。窓を開けると、しょうゆとかベビーカステラの匂いなどがブレンドされて微妙な味わいになった香りが漂ってくる。

先生が黒板に書いたものを板書している時間、窓を開けて気分転換する先生が現る。

「いい匂いだな~」なんて言っているけど、6時間目の授業となると、こっちは胃もたれるするほどうんざり。匂いではなくて臭いの方だ。


そして、つわものが現れた!塀越しに、リンゴ飴を注文した人がおったそうな。どこのクラスかわからないけど。ホームルームでそういうことはしないようにと通達がありました。どこでばれたんだろう??密告??


今は塀沿いの校舎は取り壊されてしまったのでした。授業中、シロアリが隙間から出てきたことあったしね。

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