第349話 無精の雨音
3月初めから一ヶ月以上咳が止まらなくて地味にしんどい。
熱や嘔吐など他の症状はないけれど、咳をするのには体力がいる。咳で体力を削られる。
治ったかなと思うと雨が降る日にでる。気温が下がるからだろうか。
微睡みの中で雨の降る音を聞いているのは好きだけど、それに咳の音が加わるのはいかにも不粋。
咳をしながら、松尾芭蕉の一句を思い出す。
不精さや かき起されし 春の雨
「めざめると、春雨のしっとりした音が耳に入る。その音についうとうとと不精をきめこんでいるうち、とうとう人に掻き起こされてしまった」という意味。
うん、わかるその気持ち……。
雨の音は眠気を誘う。春なら尚更。
でも咳の音が不協和音すぎて、無精を決めこんでいたいところを不承不承起き上がるのだ。
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