第260話 戦闘力15000~30000(推定)




 以前、Aさんというライターさんがグループの物書き仲間に私を紹介してくれたことがある。

 それが第一声からして「八島さんはすごいんだよ。めっちゃ強い。近所を歩いてたら、ベジータに出くわしたかんじ」と、敵なのか味方なのかネタなのか何が強いのかよくわからない紹介だった。どんな近所だよ。

 ベジータ。勿論、ドラゴンボールに出てくるあのベジータである。


 しかし、ドラゴンボールのキャラに例えると、私は案外ベジータかもしれない。

 ライバル意識が強く、才能ある人間に嫉妬して強くなるタイプ。

 カカロットォ! サイヤ人は戦闘種族だっ! なめるなよーっ!!

 なのだが、一体誰に嫉妬をしているのかというと、いわゆる文豪と呼ばれる有名作家だったり、故人だったり、物書きでもなんでもない人だったりで、たぶんここに書くと「何言ってんだコイツ……」と思われるのでやめておく。身の程知らずと人に誹られたくない場合は黙っているに限る。テヘペロ。

 とにかく戦闘力は15000~30000くらい。解放時はもっと上がるし、かなり強いキャラであることは間違いない。ベジータ。いいじゃないか。王子で血筋もいいし、若い頃はヤンチャもしたけど戦闘バカの悟空に対抗したゆえに強くなるし、最後の方は穏健派になって地球に定住するし、息子はイケメンだし、全然働かないけどお料理できるし!(キャラソン)


 これがもし「八島さんはヤムチャ」と紹介されていたら非常に微妙である。

 ヤムチャは別に悪くないし、ヤムチャをdisる気もないのだが、ヤムチャと言われて嬉しいかというと正直嬉しくはない。ヤムチャは美形で明るくていい奴だ。しかし、弱い。弱いの代名詞ヤムチャ。ヤムチャと書いてネタと読む。話が進むにつれてどんどん脇役になっていく。情けないが俺が一番役に立ちそうにない。その通りだ。

「いい奴だけど無職」「いい奴だけど使えない」と大体同じ意味であるところのヤムチャ。いかんせんこの世は弱肉強食であるから、弱き者は許されない。アカン。ヤムチャと紹介されなかったことに感謝したい。


 ……と気分はそこそこ強いベジータモードでいたのだが、先日またAさんが他のライターさんに私のことを「八島さんはすごいんだよ。めっちゃ強い。近所を歩いてたら、フリーザに出くわしたかんじ」と紹介したので、戦闘力は突然530000(第一形態)に跳ね上がった。


 なので、私の戦闘力は530000です。

 ですがもちろんフルパワーであなたと戦う気はありませんからご心配なく…(ってそもそも何と戦ってんだろ……)

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