第216話 今手もとにあるものが一番美味しい




 今年の初めに伊勢丹でウエッジウッドの紅茶福袋を買ったのだが、ここにきて茶葉がなくなりかけている。もう缶の底が見えていて、あと2、3回分というところ。

 さて次は何の紅茶にしようかなと思いつつ、今年中に飲みきって新年にまた紅茶福袋を買えばいいかも……などと考えていた。


 先日、友人と会ってお茶した時、クリスマスプレゼントだろうか、伊勢丹の箱包みを渡された。

 リボンをほどき、包装紙を剥がしてみたら(なんといっても開けている時が一番楽しいよね)「Chef-d’oeuvre (シェドゥーブル)」のクリスマススペシャルブレンド&アールグレイのセットだった。赤と白のクリスマス仕様の茶筒に入っている。

 なんと! 紅茶がなくなりかけたら、それを見計らったように紅茶が来た!

 茶葉が尽きかけていることは誰にも言わなかったのに、絶妙すぎるタイミング! 

 こんなに嬉しいことはない。これでまたしばらく快適な紅茶ライフを楽しめるのだから。


 やや興奮気味に「ウエッジウッドの茶葉が尽きかけていたので嬉しい」旨を伝えたら、

「ウエッジウッドの方が良かった?」

 と気を使われたが、

「いや、今手もとにあるものが一番美味しい。間違いない」

 と即座に答えた。それが素直な気持ちだった。


 もうこれで、あれこれ選ぶ必要もなくなったし。

 いただいたお茶を確実に飲むのだから、これが一番美味しいに決まっている。

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