第158話 さつまいもガチャでレアが来たのか……?




 10月13日は「さつまいもの日」らしい。

 さつまいもの別名は「十三里」なので、1987年に埼玉県川越市の「川越いも友の会」が、旬にあたる10月13日を「さつまいもの日」としたそうな。



 その旬のさつまいもを、私も日々ふかして食べている。

 買ってきたさつまいもを洗って、炊飯器にいもと適量の水を入れて炊いてしまうのが一番簡単。

 蒸し器を使うとガスの火を気にしなくてはいけないが、これだとご飯と同じで本当にスイッチを入れるだけである。

 夜炊いてそのまま寝てしまっても朝には保温状態になったホクホクのさつまいもを楽しめる。


 先日も、夜炊飯器でさつまいもをふかし、朝ウキウキと取りだした。

 そして、いもの一つ割ってみて仰天した。その側面が黒紫だったからである。

 最初は腐っているのかと思った。しかし、身はしっかりしているし変な匂いもしない。

 よくよく見ると、なんとそれは紫いもだった。

 慌ててゴミ箱を探り、いもが入っていた袋を拾ったが、ラベルにはちゃんと「さつまいも」と書いてある。

 確かに外見では全く見分けがつかない……。


 意図せず紫いもをふかしたのは初めてである。

 そもそも紫いも自体があまり見かけない食材であり、外食でしか食べたことがない。

 いや、外食でも滅多にない。せいぜいお菓子に混ざっていたりするくらいか。


 一般的に、紫いもはさつまいもより糖度が低く甘くないと言われている。

 私もどうしようかと迷ったが、ふかしてしまったからにはしょうがない。食べてみた。

 ……あれ? 意外と美味しいぞ。

 ちゃんと甘味もあるし、柔らかくてしっとり。味は全く問題ないのでそのまま一本食べてしまった。


 滅多にないことなので、翌日会った友人に紫いもをあげた。

 友人も紫いもの、まごうことなき紫色に驚いていた。私も紫いもを人にあげたのは初めてである。

 でも友人も同じく美味しいと言ってくれた。

 ……なら、まあいいか。


 というわけで、さつまいもが紫いもだった件は、買ったスーパーに伝えなかった。

(全部食べてしまって証拠がないというのもある)


 数日後、ドキドキしながら前回と同じスーパーでさつまいもを買ってみた。

 また炊飯器で炊いてみたところ、今度は黄土色の断面で、いつものさつまいもだった。

 食べてみたが普通に美味しい。


 いや、あの紫いもはなんだったのだろうか。

 もしや、さつまいもガチャのレアを引き当ててしまったのか……?

 そんなところに運を使いたくないのだけど。


 それともあれはさつまいもの新種、突然変異だったのだろうか……?

 謎はつきないが、今日はさつまいもの日なので、やっぱりさつまいもを食べている。

 美味しい。最高。何本でもいけてしまう。


 ……ちょっと身体のガス的な排出が心配だけどね。


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