君は芥川なんて知らない

 中国人の同僚が増えるので、旧知の中国人の同僚に歓迎会を企画してもらったところ、ガチ中華の店を設定した。いや別に俺はいいけど、本当にそれでいいんか?

 逆の立場で、俺が中国に就職すると。そっちにはすでに日本人のメンバーがいて、歓迎会を企画してくれる。その会場は中国に出店していた大戸屋だ! ってなったらどう思うかというと……まあちょっとおもろいなとは思うね。じゃあいいか。相当にガチで、なんかマジで食ったことないものばっか食った。


 で、中国って行ったことないので行ってみたいなあと思うが、多分俺が「行きたい」と思うような場所を総合すると、東京都民が北海道旅行したいって言う時みたいなイカレ行程になるんだろなあって言ったら、「そもそも、日本の行政区分で言うと『市』に相当する範囲で、北海道より広いところとかありますよ」と言われる。ナメててすいませんでした。「黙って上海見とけ」だそうです。そうします。


 それは良いんだが、とりあえず夢物語で見たいところを挙げていくターンをやって、まあ万里の長城とかね。紫禁城とか。と知ってる中学の地名挙げてる中で、「ああ、峨眉山も見てみたいかも」と言ったら、峨眉山? となり、漢字を見せたら、なんかこれでイメイシャンだかと読むらしい。そうなんすね。


 で、俺らは『杜子春』から入ってるので、杜子春の仙人がさあとか言うけど、まあ言われてみたら当たり前なんだろうが、杜子春知らないらしいんですよ。芥川龍之介でギリだと。まあそれはそうだよな。中国の『古典』というか『近代文学』? ったって、まあせいぜい俺らだって魯迅くらいしか知らんが(しかも二作しか知らないだろ)、まさか魯迅一人で中国近代文学全部書いてたわけもなく、他にもいっぱいいるわけですよね。でもそれらは知る由もない。なんか面白いなあと思った。


 それで言うと、そのガチ中華の店ではポップソングがかかってて、「これは中国人の僕の世代なら全員歌えるやつです」と言うので、「あーだから『クラーク亭』と同じ選曲ね?」と思ったが、これをどう伝えたらいいのかわからなくて困った。クラーク亭と言うのはしばしば名前を出す定食屋で、店内には1990-2000年くらいの大ヒットJ-popが流れている。『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』(B'z)とか。しかし、これを言ってもわかるわけないのよね。で、頑張って『世界に一つだけの花』を絞り出して、少なくとも同卓の日本人には意図するところが伝わったと思うが、日本人に伝わっても意味ねえんだよね。育ってきた環境が違うから〜ぁ〜あ(『セロリ』)というのをひしひしと感じた。


 思うにはじめから道はない。歩く人が多くなればそこが道になるのだ。(うろ覚え『故郷』ラストフレーズ)


 というのは本当で、なんつうか、各々の生まれによって通る道が違うので、俺たちは俺たちローカルの通学路に咲いてた花のこととか、変なアパートの名前とかで盛り上がれるわけだが、この道を通ってない人にはそれを芯から伝えることができない。できないんだなあ……と思ったのであった。


 当然くるりもそんなには知らんので、「上海蟹食べたい/あなたと食べたいよ」と歌ってもあんまり反応されないのであった。でもチャンスがあったら行きたいですねえ、上海。


 2024年04月08日 08時44分の測定結果

 体重:105.60kg 体脂肪率:34.90% 筋肉量:65.25kg 体内年齢:53歳


 満腹まで食った割には少し減りました。漢方パワーかも。そんな漢方漢方もしてなかったが(八角くらいは感じた)。それではまた。

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