俺を信じたお前を信じるよ

 38歳になってようやく自他分離が出来るようになりつつあり、自分が知ってることを他人が知らないということをかなり実感を伴って理解できるようになってきた。普通はこの感覚を2歳とか3歳で獲得するって本当ですか!? 人間賢すぎるだろ……。ビビるわ……。


 で、この感覚を獲得すると、こんだ相手を一切信頼できなくなる。幼児の行う指さしには要求の指さしと叙述の指さしがあり、叙述の指さしというのはまさにこの感覚の表れとされる。すなわち、「俺が見てるものをお前は見てないであろうから、見ろ!」という一種の命令である。幼児がやってりゃあ可愛いが、38歳104キロの男がやってたら恐怖すぎる。というのもまあ推測できる程度には発達しているので、信頼はしてないが指もささないようにして、そうすると何が起こるかというと心がささくれだっていく。これくらいは許して欲しいよ。


 そんな心の傷を癒すべく、マリオワンダーをやってるわけだが、W2のスペシャルステージ、「レッツ♪チャレンジ♪ジャンピング SP」の難易度イカれてると思う。都合50秒のコースで35人のマリオが命を散らした。序盤はまあ「覚え」なんだけど、後半は反射神経つうか、シンプル高速操作なので、正しいルートを最適に進んでても、「遅い」というだけで死ぬ。難しすぎる〜! と思うが、一旦ゲームオーバーして、1upキノコを買い占めて、なんとかクリアした。ゴールバーのトップを取れなかったら、これもう一回やり直しか……と思うと目も眩むくらい怖かったが、なんとかトップも取れた。ハァハァハァ。結局W3のSPステージまでクリアしたが、今んとこここが最難関。とんでもなかったぜ。


 と思う一方で、任天堂は、「この難易度なら万人が——ってのはすなわち俺が——クリアできると信じてる」って事実に、ちょっと打ちのめされるくらい驚嘆した。その信念、眩しすぎる。俺だったら「これは無理だろうなあ」って思ってしまう。指をささなきゃコイツは見ないだろ。一方で指をさすのは恐怖だよな。じゃあ見られなくても仕方ないよね。というのは一見人を大事にしているように見えて、他人を軽んじてるとも言えるわけだ。任天堂は別に指をさしまくれと言ってるわけではなくて、「信じろ」と言っている。信じているということを伝えろと言っている。

 「君ならここをクリアできるよね?」と言ってる。で現に、任天堂が言うならできるんだろうと思う。そしたらクリアできるはずのないステージがクリアできる。なるほどねえ。俺を信じたお前を信じる気持ち。これを形成しろってワケか。いやあ、俺には難しい……けど、任天堂は言ってるもんね。お前にはできるって。やるしか……ねえか! へへッ!(勝手に任天堂の信頼範囲を拡張する男)


 2023年10月29日 12時00分の測定結果

 体重:103.80kg 体脂肪率:33.20% 筋肉量:65.75kg 体内年齢:50歳

 

 結局深夜までゲームしてるので生活リズムが狂う。マリオは一日1ステージまで! なるべく守ろうと思います。それではまた。

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