This is YOUR bathroom

 職場のトイレの個室の内側に、「KEEP BATHROOM CLEAN」という貼り紙が貼られていた。汚く使うやつがいたのであろうか。俺か? いやでもそんな異常な使い方した覚えはねえしなあ。などと考えてトイレを出て、手を洗いながら考えた。


 「いつもトイレを綺麗に使っていただきありがとうございます」という貼り紙があって、これは批判されがちであるように思う。俺もどっちかって言うと、「まあ、その意見を表明されたところで行動変容はしないが?」と思ってしまいがちなタイプではある。というわけで、「天使が見ていますよ」とか言われるよりは、「トイレは清潔に」とか「便器汚すな」とか直截に言われたほうがいいような気がしてる。ただ、「便器にはトイレットペーパー以外流さないでください」は、要求は明瞭だが、「便は?」と思うので実行不能だと思う。


 まあとにかく、行動変容を期待するのならば期待する行動を明確に言わんかいと思うわけね。これ、結構賛同する人が多いのではないかと思うがどうでしょう。しかし、これに賛同する場合、「遠慮してください」という指示に、「本来ゴリゴリ実行したいところだが、"遠慮"して少数だけ実行することにした」は、「適切!」と判断する以外なくなると思う。ところが、世間的には「不適切な理解」と判断する声が多いように思う。これなんか不思議な気がしませんか?


 「いつもトイレを綺麗に使っていただきありがとうございます」は、プラグマティックには「便器汚すな」を意味する。これについては否定的に捉える。「トイレットペーパーの持ち帰りはご遠慮ください」は、プラグマティックには「トイレットペーパー持ち帰るな」だが、こっちについてはプラグマティックな理解を「しない」ことを否定的に捉える。めちゃくちゃ自己矛盾してませんか? と思うのだが、これってどういうことなのだろうか。


 1.「トイレを綺麗に〜」にキレてる人は実は少数派である。


 そう……かなあ。そうかも。まあ、「なんとも思ってない」という人が大多数なのかもしれない。でも少なくとも伊集院光はエッセイで「だからなんなんだよ」的捉えをしてる的なことを書いていた気がする。伊集院光の感性が国民の代表か? と言われるとそんなこたない気がするが、、じゃあ実は少数派なのか?? だとしたらちょっと悲しい。


 2.歴史的な問題である。

 「いつもトイレを綺麗につかっていただきありがとうございます」は、わりに最近現れた表現である。一方、「遠慮」と「禁止」は古くから結びついている(本当にそうかは知りませんが、そんな「気がする」)。そういう歴史的事象というか、時の試練に耐えた表現に抵触する場合は怒る。


 これはちょっと分かるかもしれない。まあそのー、地蔵を壊したら器物損壊罪とかだが、地蔵の頭の上に足を置いて靴紐を結びなおすのは刑法には抵触しなかろうと思う。というわけで、「ベンチに足載せたら次座る人に迷惑をかけるかもしれないが、地蔵の頭の上に足を乗せても迷惑をこうむる人間はいないし、法にも触れてないから、まあこっちの方がいいよね」って地蔵の頭に足を乗せる人間、いるかもしれないが、これは怒られてもしょうがないなあと思う。それはやっぱ、「地蔵」というのが歴史的に果たしてきた意味とか、歴史的に敬意を向けられるものとして存在してきたということを無視しすぎじゃん? って思うからな気がする。


 じゃあ不思議じゃあないのかなあ。というようなことを、かなり直接的なメッセージを眺めながら思ったのであった。


 ところで、Keep bathroom cleanで検索すると、面白い表現が見つかる。それが表題に書いたThis is YOUR bathroomである。へえ~~~~~。おもろ。こういうのがあるんだ。で、英語圏でも、「俺のトイレだと言うなら、俺が好き勝手使っても文句ないよなあ?」みたいな、俺みたいな奴がいて、きっと太ってるんだろうなと思う。世の中の表現に寛容であれ。人の気持ち、婉曲表現で気分を悪くしないようにしようというあたたかさ、やさしさに寄り添え。それが「痩せる」ということだ。


 2023年04月27日 08時30分の測定結果

体重:105.80kg 体脂肪率:32.90% 筋肉量:67.30kg 体内年齢:49歳


 というわけで、やさしさを無碍にしているので当然痩せませんでした。ただ、山菜でちょっとデトックスしたんですかねえ。めちゃ久しぶりの体内年齢40代でした。そうかあ。野菜を食った方がいいんだねえ。と思いました。それではまた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る