彼らは寿司を愛し過ぎてる

 『美味しんぼ』が好きなので、トンポーローとか出てくると、味の良し悪しとは全く無関係に「この豚バラ煮込みはできそこないだ、食べられないよ」とか言いたくなってしまう(が、当然良くないので、小さい声でだけ言う)(言うんかい)。これは俺特有の悪癖かと思っていたが、実際は割に汎人類的な性質なのだなあというのを強烈に意識したのは20年ほど前に何人かでキャンプに行った時で、夜眠くなってウトウトしてたら、なんか女性二人が「親方! 空から女の子が!」とか言ってて、「ああラピュタの名シーンでも話してるのかな」と思いつつ寝て、次目覚めたら「バルス」とか言ってた。それで、「ああ、さっきの話題が続いてるのか、ってことは全然目をつぶっただけだな」って思ってスマホだっけ、携帯だっけ、忘れたがとにかく時間がわかるもの見たら、とにかく1時間以上経過してて、ええ!? って思った。なんかすごいバグったというか、世界がおかしくなったか……? って混乱してその女性二人の会話を良く良く聞いたところ、実際は『天空の城ラピュタ』セリフ完全再現をしていたのであった。つまり、時間経過は正常で、全セリフを網羅しているから、それだけの時間が経ってもまだラピュタの話をしていると。率直に言うと、「ええ……キモ……」と思ったのでいまだに覚えている。しかし、まあキモいというのはちょっとなんか失礼な感想だとして、「こういうの」って、みんなやるんだなあと思った。でよくよく考えてみると、まあそうねえ、例えば松島行ったら「松島や ああ松島や 松島や」って言いたくなるでしょう。もし菜の花畑にでくわしたら、「いちめんのなのはな」とか言いたくなるし、その時に月でも浮かんでいようものなら、「菜の花や 月は東に 日は西に」とか言いたくなる。それと同じで、記憶したことに近いことがあったらそれを言いたくなるっていうのは汎人類的な現象なのであろうと。まあ、記憶したことの種類によって「キモ度」は変わるのだろうなと思うが。あと、何を暗記したがるかには性差があるような気がしていて、これは俺の極めて狭い見聞に依るものだが、女性は結構ジブリ記憶力が高い気がする。どうでしょうか。


 それでその、この時『天空の城ラピュタ』完全再現してた女性の一人が結婚するという。めでたい!! 何せ途切れ途切れとは言い条、20年来の付き合いなので、結構嬉しい。それで結婚祝いでも買いに行こうかなって思った。のは良いが、ハテ何を贈ろうかと迷ったので、これはもう当人に聞くかあと思って、家電とか、家具とか、食器とか、なんか欲しいものある? って聞いたところ、仕事終わりに合流できるから、直接選ぶという話になった。それで思い出したが、俺の通っていた大学(全体なのか、俺の学部だけなのかは知らんが)、意味わかんないんだけど「ホームルーム」って時間があるんだよね。で、俺はその「ホームルーム」の存在を知らず、ボケーっと暮らしていたのだが、ある日食堂で飯を呑気に食ってたらこの女史が恐る恐るといった様子で話しかけてきた。その時何を言われたかというと、「雅島くん、ホームルームに出ないのはなんか信条があるの?」ということで、いやいや僕はノンポリで、単にホームルームなるものを知らなかっただけですって答えて爾来ホームルームに通うようになった。そんで、このエピソードからもわかる通り、俺は「書いてあるものをちゃんと読んで理解する」ってのが結構苦手なのである。それで、だから、現代に比べれば格段に「緩い」設計ではあるものの、結構複雑な履修登録というのを独力で行うことは俺の知能を以ってしては到底不可能であった。じゃあどうしたかというと、この人と他二名ほどの履修登録を完全に模倣してどうにかしたのであった。という恩があるので、まあ、なんでも買いますよってルンバくらいまでは覚悟して行ったのであるが、なんかPARCOに行くと言うわけですね。ずいぶん若向けの店だなあ、三越の食器屋とかじゃあなくて良いのか? って思ってずんずんエスカレーター昇っていくと、果たしてここにはジブリ屋があるのであった。へえ〜! こんなところに!! 全然知らんかった。


 それでまあ、言われるがままになんかトトロのカップとかソーサーとかエコバッグとか色々買って、おめでとうつった後、まあせっかく久しぶりに会ったし飯でも食うかということで、とりあえずPARCO最上階に向かった。そこに結構前だがスシローが入ったんだよね。で、スシローといえば醤油を舐めるやつらの巣窟で、そういう場所であるから不人気であろう……って思ったら爆混みで、多分店内でなんか受付カードみたいなのを取って待つんだろうが、その受付カードを取るのすら並んでいるというワヤな状態で、ひえええ〜って言って撤退した。で別に俺はなんでもいんで、それこそ叙々苑とか行きます? って聞いたが、まあ、なんかこうなったら寿司が食いてえと。まあもう今日はあなたの日だから任せますよってことで、今度札幌駅行って、はなまる寿司は当然の大混雑。これも無理そうだねって四季彩館行ったら、これはまあ入れそう。じゃ、ここにしますかあって受付カード貰って並んでたら、まーーー忙しそうでね。店員もう一人増やしてもいいと思うんだが……。


 カウンター席に案内されたんだが、まず入ったらデカい皿積みワゴンみたいなのが置いてあって、座れない。いやこれ勝手によけるのもなあ。。っておしゃべりしながら佇んでいたが、結構すごい事態だなと思ったのが、「少々お待ちください」的なことを声かけられるまでに、「いやそういえば5月に名古屋行くんで、時間あったらジブリランド行ってみようかな」って言ったら、「ジブリに行くには数ヶ月前から事前予約が必須で、当日フラって入ろうとしているお前は舐めすぎだ」みたいなことを言われて、そんな人気あんの!? って会話が完了した。いやまあ他の作業もあるだろうから、ワゴン避けるのに手が回らない、まではわかるよ。俺ら立ってんの、目で見てわかるやろ。すいませ〜ん、少々お待ちください〜! すらないんかと思って驚いた。


 その後も、隣の一家? が帰っていったあと、エビフライ握りが届いてずっとコールされており、しょうがないから店員呼び出して、「隣帰ったと思うんですが、エビフライ握りが届いていますよ」って教えたら、「え、帰られましたかね!?」って聞かれて、いやいないから帰ってるだろって思ったところに、そこはどうも「空き席」認定されてたらしく、まだ皿とか片付いてないのに次の客がやってきて、その客に「あ、お客様これ注文しました!?」とか聞いてて、その人も驚いてたよね。「い、いや今来たところで……」みたいな。


 これがまあ、ゴールデンウィークど真ん中の夕方とかならわかりますよ。平日の夜だからね。それでこんな「キャパオーバー」を絵に描いた様な状態になるのすごいなと思って。でも考えてみると、我々はすでに「より混んでいる」スシロー、はなまる寿司を横目にここまで来たのであった。いやー。札幌市民回転寿司好きすぎじゃないですか? 俺らも食いに来といて言うのもなんですけど。


 2023年03月23日 10時41分の測定結果

 体重:104.20kg 体脂肪率:34.00% 筋肉量:65.20kg 体内年齢:51歳


 唐突に減りました。時代の風は、ジブリ寿司ダイエットに吹く……か。『借りぐらしのアリエッティ』とか、タイトルがなんかもじられやすいなあくらいしか知らんので、ちょっと見聞を深めていこうかなと思っています。あと今の今まで忘れてたが、ジブリパークも予約しよ。それではまた。



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