面白うてやがて悲しき旭川

 色々あって旭川に行った。13:30に駅前で集合という予定だったので、11時半くらいに札幌駅に行ってみたら、12時の便しかないと。そーゆーとこだよなーJRってのはよぉ! と思うが(「便数が少ねえよ」と文句を言っているという意味)、まあ、これで13:25に着くらしいし、向こうで飯とか食う余裕がないくらいだからまあいいや。とJR乗ったんだが、結論から先に言うとちょっと怒られた。13:30集合で13:25着の電車乗る奴がいるか! みたいなことを言われて、「いるさっ、ここにひとりな!」と思ったが、大人なので口には出しませんでした。


 でまあその「色々」をやって、ちょっと強火のオタクになったりもしたが、そこは説明ややこしいので割愛するとして。駅近くの飲み屋で飲み食いをした。帰らなきゃならないので、そんなに爆裂に食ったわけではないが、〆には旭川ラーメンを食いはした。それを「爆裂に食ってない」にカウントしていいのかは知りません。俺の「爆裂に食う」、10代の頃の胃袋をリファーしてる説はあり、そんなこと思ってたらいつになっても痩せるわけないわな、とは思う。


 ひとつ言い訳すると昼は食ってないスからね!! まあとにかく、そんなこんなで、ホテルで一泊してく人らと別れて駅に向かったわけです。ほんで、今旭川駅の真ン前には、超巨大イオンモールが建っている。でなんか丸井今井(いわゆる「丸井さん」。気になる人はググってください)とも合同店舗みたいになってて、大袈裟ではなく旭川のラフテルみたいになってる。探せ! この世の全てをそこに置いてきた!! ってことですね。


 それでまあ、ちょっとまずこのイオンモールでお手洗いを借りまして、しかるのちお茶かなんかを買って、帰りの電車で啜って帰ろうと思ったわけ。でイオンモール入ったら、いやー、俺の目には高校生に見えるな。大学生にしちゃ幼すぎると思うが、もうこの辺年齢見極められる気はしないので確実ではない。とにかく俺の目には高校生に見える若者が、なんか屯して、ピンッ、ピンッと何かを鳴らしてるわけ。イオンモールの中でだよ。なんか聞いたことある音だな〜って見てみると、ジッポライターを開いたり閉じたりしてんです。その音ね。


 いや喫煙所でやれし。と思うが(高校生だとしたらダメだよ)、別に火をつけてるわけではないんすよ。ただ蓋を開け閉めして音を鳴らしているだけ。で、ブワーっと過去の記憶が蘇って。これ、俺らの時で言う折り畳みナイフに相当する物なのではなかろうか!? って思ったんすよ。キムタクだっけ、窪塚洋介だっけ? なんかそのへんがドラマで指の間刺すゲームみたいなのやってて、流行ったんだよね。で、ちょっと憧れたわけだけど、まあ危ねえし当然禁止されていた。が、パタゴニアとか行くと十徳ナイフとかは売ってるわけですよ。ようするにキャンプ用品として。そういうのを買ってきて見せびらかす。見せびらかさないまでも「俺はナイフ持ってるし?」とか思うと少し肩で風を切って歩きたくなる。ってのの、旭川の「ワル」の今がジッポライター開閉なんじゃあないかと思うわけ。


 いや変な言い方だが、可愛いな〜って思ってね。そのまま真っ直ぐ育ってほしいと言うか。既に真っ直ぐではないかもしんないが、その程度のブレで生きて行って欲しいというか。なんかそんなことを思った後に、当初の目的であったトイレを借りたら、こんだトイレの中でなんかラップ・ミュージックが流れてるのよ。「?」と思ったら、なんかアレクサみたいなBluetoothスピーカーが洗面台のとこに置いてあって、そんでそこでまだ三人くらい子供が曲流して遊んでるわけ。「救急車のサイレンが二人だけのラブソングさ マンションのベランダは二人だけのゴンドラさ」みたいな。「旭川イオンのトイレは俺たちのDJブースさ」状態なんすよ。いやー。ちょっとゴメンよってトイレ使って手を洗って出たんだが、面白いなあ、旭川の子供はイオンモールで自己表現してんだなって思った後になんか少しだけ悲しくなって。いやイオンモールのトイレでDJやる青春、見ようによっちゃ閉塞感やばくないすか。


 今時なんかなんでもあんじゃんか。それこそスマートスピーカー持ってるんだろ。じゃあなんか、せめて人気のない公園とかで曲流しながらインスタライブやるとかよ。tiktokで発信するとかさ。何もイオンのトイレで集うことないだろよって。そのなんかどん詰まり感ね。いやまあそれが楽しくて、一夜の思い出として形成されてんだったら全然いいんだが、ううーん、ちょっと複雑な気持ちだなって思いました。


 ほんで、電車乗ろうと思ったら、「熊が衝突したんで、次の便が先発になります」って言われるわけ。18時頃、飯屋寄らずにまっすぐ帰った人の便は「先発便が鹿にぶっかったので遅延」つうんですよ。もうさあ。こんな街で、いつまでもトイレでDJやってらんねえと。俺は札幌出てビッグになるんだと(東京に出なよ、どうせなら)。そうやって小銭をかき集めて、愛用のスマートスピーカー抱えて夜の特急に飛び乗ったら、熊とぶつかって動かないんだってよ。俺、うずくまって泣いちゃうかもなって思ったよ。


 いやその、なんか、揶揄してるとか思ってほしくはないですよ。それを謳歌してるんだったら全然それでいいんだけど。つか勝手に悲しがるの、かなり失礼な行為かもしれないとも思う。だからまあ、ありのまま「そういうことがあったね」とだけ受け止めれば良いのだろうが、いやー。気持ちが動いちゃったよね。俺も誰かに悲しがられてるんだろうかね。なんでアイツは札幌/日本/地球なんかでいつまでものたくってるのだ。って言われてもだよな。たしかにな。


 2022年10月10日 10時08分の測定結果

 体重:102.60kg 体脂肪率:33.90% 筋肉量:64.35kg 体内年齢:51歳


 精神と同じだけ、肉体も老いました。まずいまずい。人は人、自分は自分。あんま気にしないことにしましょう。それではまた。

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