「魚をあげるのではなく、釣り方を教えろ」とは言うが

 土曜日に色々あった信号機の故障について技術の人と相談することになった。で、中間事情は色々あるんだが、とにかく、形式的には「新入りの人」が窓口になって、技術者と話すことになった。とはいえ、新入りが聞いても分からんことが多いだろうからって話になって、俺も立ち会うことにする。


 まあだから、これ一番手っ取り早い話は、俺と技術者が直で話して解決することなんだよね。そんで別にそれでもいいかなあとは思ったのだが、色々な事情があってこの新入りの人が前面に出ることになったワケ。その理由の一つは「教育」なんですよね。つまり、できれば機械についてある程度学習して欲しい。だから話を聞かないのは論外で、最低限同席はしてて欲しい。でも単に同席するというだけでは、自分事にならなそうな気がするんで、じゃあ窓口になって実操作を担当すればちょっとは分かるんじゃあないですか。他にも理由はあるが、まあ、この理由はそんなに異常な判断ではないと思う。


 ってなわけで操作をお願いしたんだけども、これがですねえ、明らかにその人の現能力を超えてるんですよ。言うてそんなに難しいことではなく、まあそうだなあ……。ちゃんとやったことないが、パソコン自作くらい? CPU作れって言われたら「できるわけねえだろ」と思うが、買って来たCPUを説明書見て繋ぐのはまあできるでしょ。まして最近では動画とかもあるしね。って、俺の中ではそのくらいの難しさに見えるんだが、一方で、パソコン自作ってなんですか? ここどこですか、なんでわたし連れてこられたんですか、何で、かか鍵を閉めるんですか?  みたいになる人がいることも良く分かる(鍵は閉めていません)。さてここで問題です。つうか普通に教えてください。この状態のみくるちゃんに対して、どうすれば落ち着いて「学習」をしてもらえるのでありましょうか?


 いやなんかさあ、もう、見てて気の毒な固まり方をしているんですよ。まさに「固まって」いる。実際にあったことで言うと、パソコンにUSBケーブル変換機を繋ぐのね。で、このパソコンの方が若干ポンコツで、USBポートが4つあるんだが、その1つは普通に挿入できないくらい破損していて(何でそんなことになったんだろうとは思うが、事実としてそうなっている)、そのうち1つは、これもなんでかうまく認識されないことがある。なので、残った2つのうちどっちかを使うことになっている。のだよ、ということは事前に説明していたはずなんだけど、「うまく認識されない」ポートに変換機を繋いでいたわけです。で、技術者の人に、「変換機認識された?」って聞かれている。

 これまず、「変換機が認識されてない」ってことが多分分かってないというか、「変換機が認識されたかされてないか」ということをどうやって判断していいか分かってないと思うんですね。そのうえで、「されてない」わけなんですが、じゃあ「された」状態にするためには、「このUSBポートに挿しているから変換機が認識されてないんだな」ということに気づくか教わるかして、別のUSBポートに挿して、認識されたことを確認しないといけない。


 しかし、分からなさが多分閾値を超えているんでしょうな。何もできなくなってそ固まってしまう。それでしょうがないから、「まず、変換機繋がってるかってどこ見れば分かる?」って聞いてみる。それでもなんか硬直しているので(これは良くなかったかもしれないが)「新入り君!」って名前を呼んでみる。そしたらハッとなって、慌てて「あ、つ、繋いでます!!」って答える。それを聞いた技術者が、「じゃあ次にこの信号を送るんで」みたいな説明を始めようとするので、「ちょちょちょちょちょーい、ちょい待って! 新入り君、変換機が繋がってるかどうかってどこ見たら分かるかな?」と聞くと、USBポートを恐る恐る指さすんですよ。


 アアーミスった。確かに。そうだわ。物理的にはな。まあそこ実は物理的にも繋がってねえと思うんだが。「あーーー、じゃなくて、えーっと、コンピュータがその変換機を認識しているかどうかなんだけど」って言うと、また「え?」みたいな顔してあおざめてしまうので、こっちも慌ててしまって、えっとえっと、まず、そのUSBポートはさっきも言ったんだけどうまく動かないんだよね、だからこっちに挿して、で、このアプリを立ち上げて貰って、それで、ああ、ここに書いているこのCOM6ってのがこの変換機のことなので、今繋がってます!! って結局全部指示してしまうという。当然のことだが、この指示通りに動いて、じゃあここで何やったか理解できたか? って言ったら出来るわけねえですよね。となると、俺が作業してそれを見学してもらったほうが、自分で操作するよりは理解度は遥かに落ちるであろうが、今まさにそれと同じことをあたふたしながらやるよりは理解できるはずで、だったら心理的安全性的なものを担保出来る分、そっちのが良かったんじゃあないですか? いやでもそれは結果論であってさあ。事前に分からんかったからしょうがなくないですか? って言い訳したい気持ちもある。

  

 あのー、断っておきますが、能力(知識・経験)がないってことについて怒ってるとか、バカにしているとか、そういうことではないんです。「知らんだろうな」って思うし。思うんだが、この状況に追い込まれてしまった人に対して、どうすれば「一個一個学習すればOKだぜ」って思って貰えるかって話なんすよ。


 そんで午後に、今度は別の人にプログラムでちょっと質問がありますって言われて、まあ、いいよって受けたら、「なんかイチから全部分かりません」みたいな話になって。「ちょっと質問」て何? じゃあ。ねえ。で、午前の反省があるから、「じゃあやるから見ててね」って結局俺が作ったわけだが、そうするとこの人、おそらく次も「イチから全部分かりません」になるわけですよ。で、確実にもう1回2回はプログラムを改修するなり、新たに作ったりすることになるわけだね。じゃあ、今日、今、ここでもう少し自分で手を動かして、そして解決する方法を教えるべきだったのかもしれないが、でもさ~。朝にやらかしてるからさあ……。


 そのだから、「魚を贈るのではなくて釣りを教えろ」って言うじゃあないですか。ところがこの人が、なんかだからホラ、エサを見たらもう「虫キモすぎ」みたいになって固まるとか、俺がまさにそうだが、「釣り」という行為が根本的にヘタすぎる(釣り堀にも海釣りにも川釣りにもワカサギ釣りにも行ったことあるが、生涯で魚を「釣りあげた」の多分1回しかないと思う。それで「また行こう」と思うメンタルどうなってるんだ、とは自分でもちょっと思う)人で、もーどうにもならん、どけ、俺が竿を持つ!! みたいになる場合も結構あると思うんすよね。その時どうしたらいいのってそういう話です。そんなことを考えていました。


 2022年09月22日 11時33分の測定結果

 体重:103.40kg 体脂肪率:33.50% 筋肉量:65.25kg 体内年齢:50歳


 あと、7年ダイエットしてて(「ダイエットしている」と発言していて)、今年100 kg切った日1日くらいしかない人とか、どうしたらいいのって話ですね。こういう人を教育しようとしてももうしょうがねえんじゃあねえか、出来るやつだけやればいいんじゃあないのって、なんか、今ちょっとそっち寄りの立場です。

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