「昨日は楽しかったですね」というメールが来たので、僕は「そうですね」と返した

 仕事! するぞ!!


 理想的には昨日中に大まかに完成させてチェックに出したかったのだが、それは諦めることにした。ただただ間に合わないからです。仕方ないんで、4/4の〆切日には完成させて、「とりあえず出せというなら出すけど、できればチェックかけたいので、あと2-3日待ってくれ」という交渉で行こうかなと思った。つまり、チェック用に置いてた日付を実作業に回したということだ。というわけで、まだ粛々と書き物をしている。


 つっても日中は雑務も入るので完全に集中できるわけでもなく、カプ・テテフにはそんなに思い入れもないが、飯食いに出がてらカプ・テテフもやったりしてるから、そんなに轟轟と進むわけでははない。

 7時頃にようやく落ち着いて、作業にだけ取り組めるようになって、ある程度ノッて来たところで、21時半頃電話。うるせ~今仕事してんだよと思って一回切ったが、連続でかかってくる。電話切られた後に連続でかけてくんじゃねえよ、マジ最悪だなと思って出たところ、H(時々この日記で書いている人間で、俺の知人の中では珍しく性風俗店、いわゆる「エッチなお店」を好む人間なので、イニシアルをHで表記している)からだった。で、今、S(これは本名のイニシアルです)と飲んでて、飯が食いきれないから来てくれないか、と言う。「分かりました」と言って無視してたら、30分後くらいにまた電話がかかってきて、「今どこ?」と言われる。

「XXのあたりです(自宅と店の中間くらい)(大嘘)」と言ったら、

「いや実はSが飲みすぎてて帰ってしまい、で、若い女の子もいてその子は残ってるから一緒に飲んでるんだけど、二人だとセクハラになるかもしれないから早く来て欲しいんだよね」

 と言う。いや帰せし。ていうかそのSが帰るタイミングで解散しろし。と思うが、その子が気の毒で仕方ないので、しょうがない、会を終わらせに行くか……と思って店に行く。


 で、話を聞くと、HとSの職場でバイトで雇用してた女の子がいて、そんで、3月で契約が切れるのでその送別会をしていましたって言うんですね。いやじゃあマジで解散しろよ。the endの宴会じゃねえか。かわいそ。バイトの子。


 なので、その女の子に、とりあえず、

「じゃあもう帰っていいですよ、まずHはこの後のことを一切覚えてないと思いますし、仮に覚えててももう契約切れるんだから一切義理はないでしょ。付き合う必要全くないです、タクシー呼びますから乗って帰りましょう」

 と言ったんだけど、まあ、そこで帰る胆力はなかなかないよね……。「残る」というので、じゃあやっぱ俺がこの会を終わらせなくては……と思う。そんでもうHは支離滅裂なんですよ。何かエピソードトークをしているようだが、延々同じ話を繰り返して一人で楽しそうになっているだけで内容はほぼ分からない。しょうがないので、自分用には泡盛頼んで、残ってる飯を食べてカラにしながら、ある程度気を使って間を持たせて、酒の追加をコントロールして(重い酒を飲ませると長くなるので、俺がテーブルを片付ける間に飲み切れるくらいの酒を勧めるなど)、さあ帰りましょうってことにして、タクシーアプリ久々に起動してタクシー呼んでその子を乗せて帰して、ハーって一息をつく。そんでHに言う。


「ていうか、Hさんも4/4の〆切仕事ありますよね?」

「いやあ、忙しくて。仕事が多いんだよ! 全然進んでませんよお。もう一回〆切伸びないかなあ。いやでも大丈夫です、僕がメールしておきますから! はい。僕が怒られればいいんですよ、あのー、ねえ。あの人は温厚だから。いや、そうでもないか……。ままま、僕が怒られておきますから雅島君は大丈夫ですよ。あ、あの子は帰ったんですね。じゃあ、カネサビル(近所の雑居ビル、学生溜まり)でもう一杯、ラーメンだけ食べますか!」

「Hさん、家目の前ですよね」

「何言ってるんだキミぃ、ははは、キミ全然飲んでないでしょう。いや大丈夫、今日は現金がちゃんとありますからね。ま、カネサビルに行って、あのインスタントラーメンみたいなやつを食べて、もーう少し飲みなさいッ」

「まあ今日はもうさすがに帰るだけなんで、いいっちゃいいですけど、4/4ですよね? 〆切」

「ははは。いやあ、Sさんはもう、ろれつが回らなくなってねえ……。タクシーに乗せて強制送還したんですけど、いやあ、大丈夫かなあ……。明日、朝イチで、———————の担当だったと思うけど、ありゃ遅刻するねえ、ははは。じゃ、インスタントラーメンを、食べに行こう!!」


 うるせー。と思いながら、まあ、カネサ行って、ラーメン頼んで、あと二杯くらい飲んで、帰る。クソー。結構集中してたのになー。


 2022年03月31日 12時01分の測定結果

 体重:102.20kg 体脂肪率:33.90% 筋肉量:64.05kg 体内年齢:51歳


 しかし、夜中にチャーハン的なものを作って食うよりは罰が軽いのか。そうなのか……。良く分からんな、人体。で、今朝、あんまり最高の体調ではないな~と思いながら風呂入って、でも今日も少しは進めないとナ……って思ってたところに、このHから来たメールが本日のタイトルです。


「昨日は楽しかったですね! ○○の件ですが、8日に決まりました。時間は……」

 と書いてあって、よっぽど「楽しかったのはあなただけでは」とか皮肉の一つも言おうかと思ったのだが、僕は「そうですね。8日の件、了解です」とだけ返信したのだった。こういうのを大人になるって言うのかな。だとしたら、本当に大人になっていいのかな。37歳になっても、まだ僕には良く分からないのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る