マウンテンクライマーのパラドクス

 リングフィットアドベンチャーは筋トレによって敵を攻撃する闇のゲームなのだが、BEST、GOOD、やってるつもりかお前それで? の三つの評価があり、BESTで最大ダメージ、GOODでそこそこ、やってるつもりかお前それで? だと実質筋トレ必要回数が一回減るだけで、ダメージはゴミ。


 最終的には(やってるつもりかお前それで?以外は)画面上にBEST! とかGOOD と表記されるので、最終出力結果は分かるが、ふつうは過程でも結果を予測できる。どうやって今自分がBESTなのか? GOODなのか? やってるつもりなのか? を予測するのかというと、画面の中の俺(プレイヤー)の光具合を見る。めっちゃ光ってる状態が続けばBEST、やや光ってる状態が挟まるとGOOD、ほとんど光らなければやってるつもり、になる。ちょっと苦手な運動にトライセプスというのがあって、なんか光る側に手を伸ばすと効きが悪いような気がしちゃって角度を微妙に変えてしまう、と光らなくなってGOODとかになる。でまあこれは苦手というか、効かない気がするな~というだけで、「それがだめなんだよ」ということは分かるので、減点も納得、どうすりゃあいいかもわかるわけ。


 ところがマウンテンクライマー、これがなんかうまくいってない気がする。「気がする」という生煮えな言い方をするのはなぜかというと、マウンテンクライマーは画面をあんまり見ないでする運動だからで、音聞いて判断するしかないからなんですね。BESTの時は「ベシッ」って言うんだが、なんかどうもBESTではない、「ぺしっ」て気の抜けた音がしている気がする。


 でじゃあまあなんかこれうまく行ってないのかな、と思ってつい画面を見ると、姿勢が乱れるのでなお悪くなる。しょうがないから視線を落としてまたやる。また「ぺしっ」というので画面を見る。見るが、見た時点で姿勢が崩れているので評価が下がりBESTが出せない。永遠に正しいフォームが分からないのだが……? これをマウンテンクライマーのパラドクスと呼ぶ。大したパラドクスではなかったな。


 だからそのー、自分自身とTV画面を両方収録して、どういう時にBEST表記が出て、どういう動き方をするとGOOD(以下)になるのかを確認するのが正攻法なんだと思うんですね。ミキサとビデオカメラを借りてきて、Switchとビデオの出力をオーバーラップして記録する。それを観察して、「良いフォーム」と「そうでないフォーム」を弁別し、「良いフォーム」を再現できるようにする。それができればマウンテンクライマーでパーフェクトを狙えるだろう……が、それをやるのか? たかがゲームの1つの技のために? うーむ。とここまで考えて気づいたが、よく考えたら誰かに見てもらえばいいんだよな。人間は一人じゃない。そのうちリングフィットパをしよう。


 話は変わるが、負荷レベルを1あげた。で、面白いなーと思ったのが、ワイドスクワットIIをやる。そうすると、ちょうど終了一回前で「ハァ……ハァ……ちょっと待って……タンマ…………」という状態になる。プランクIIもそう。はーーきっつい、これはもうダメかも……いやちょっとズルだけど腕の力で少し持ち上げればいけるか……!? やるぞやるぞやるぞ、うおー! って上げたら、「よく頑張ったね! ゆっくり立ち上がろう!」(終了の合図)って言われる。え、あと1回だったん? と思う。

 エアロビ系の運動については別にこういう現象(ラス1急激にきつくなる)が起こらず、もともと辛かったやつで生じるのだが、これはつまり身体がきっちり回数を覚えてるってことですよね。プランクはつらすぎたので回数覚えてる(今までが18回、今回から多分19回)のと、マウンテンクライマーも最初40回やらされたのは良く覚えているが、他の運動は、総回数ってあまり意識したことないんですよ。なんかゲージが出るし、回数を数えてようが数えてなかろうが、ゲージが0になるまではやめさせてもらえないから、意識しても大して意味ないし。と理性では思っていたが、身体はきっちり覚えていて、「よーしこれで終わりですよね!!」ってなる。ので辛くなる。そういうことかな。


 しかし俺の体はロクなことを覚えないというか、ロクでもないことしか覚えないな。バカソマティックマーカー(※)。なんかリングフィットの感想とかを読むと、「疲れなくなった」とか「通勤中の階段とかで疲労が減ったことを実感した」とか良くあるんだけど、そういうのはまったくないからな。前から自転車をこぐと大腿四頭筋が張る感じになっていたが、それは今も変わらない。スクワットなんてかれこれ2000回くらいしてんだよ。それでもまだ自転車ごときでダメージ受けるなよ。


 更に言うと、昨日ちょっと残業というかなんというか、とにかく仕事で、しかも平日に積み残してたやつを全部1日でまとめてやったので、なんなら普段より労働時間長いみたいな感じで最悪だったので、昼は回転寿司を食いに行った。で、昨日の職場はちょっとした山のふもとにあって、だから回転寿司とかがある人里に降りるには、ちょっとだけ下りがあって、職場に戻るには登りが必要になる。この帰りの登り、別に急いでたつもり全然ないし、ふつーに坂道を登ってただけなのに、自分でも分かるくらい心臓がバクバク言うんですよね。いやずっと引きこもってて半年ぶりに外に出たやつの感想かい。今月に入ってかなり外出(出勤)もしているし、リングフィットは一月半やってなんだその反応は。ホントにろくでもねえな。俺もなんか疲れにくくなったとか言いたい。


 2020年06月14日 09時41分の測定結果

 体重:102.20kg

 体脂肪率:32.80%

 筋肉量:65.10kg

 体内年齢:48歳


 ※まあ、その、エネルギー節約の観点から言うと悪くはないんだろうな。必要なエネルギーをしっかり記録して、それ以上はやらないようにする。ちょっとエネルギーを使うと、すぐ警告を送ってくる。余計なエネルギーを使わないようにしようという点では性能が高い。「バカソマティックマーカーと謗られてパーティを追放された僕が氷河期では超有能だった件について」みたいな。そういう。


 「そういうってなんだよ」と詳しく聞くのはやめてください。

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