徒歩でトホホ、の段

 ほとんど世にも奇妙な物語なんだけど、怖くはないので安心して聞いてくれ。いや俺は怖いけど。ちょっとだけ。


 まあモノを失くす。こないだtileというアイテムを買って、かなり役立っている。ただ、自転車の鍵につけると吹っ飛んだり車輪に挟めてぶっ壊したりしそうなので、どうすっぺかなぁと思って、Karabinerっつうかナスカンっつうか、え、カラビナってこんなスペルなの。カッコ良すぎでは。とにかくカチャってやって取り外しができるキーホルダーを購入して、自転車の鍵を必ずそのキーホルダーに取り付けることを天と魔の双方に誓って(寿命の1/10を代償にした)、鍵セットごと見つかるようにしていた。


 んだけども。台所洗剤とか買って帰ってきて、自転車に鍵をかけた。で、郵便受けを開けた。オートロックの鍵を開けようと思ってポケットから鍵束を出して、そんでついでに自転車の鍵をつけようと思った。


 自転車の鍵が、ない。


 もう怪奇現象の域じゃん。つってもそんなに心配はしてなかった。というのは、良くやるからである。買い物をしてきて、自転車のカゴに袋とか入れてると、それ取り出して満足して自転車に鍵をかけ忘れてしまう。そのパターンだねェ〜って思いながら振り向き、自転車を見たら鍵がかかっている。エヘェ!? って声が出た。


 でまあ、落としたかなって辺りを探すが、全然ない。物を避けてみたりして結構見てみるが、ない。まあそれでもそこまで焦ってはいない。ああ、買い物袋にスッて入れてしまったかなぁとか、ポケットのどっかに無意識にしまったかなとか、そんなことを思いながらとりあえずエントランス、というほど高尚な場所ではないが、とにかく家入らないでゴソゴソしてるのも不審なので家に入って、全てのぽっけを総浚いしたが、まあ、出てこないですよね。tileに装着する前に失くなられると、こちらとしては手出し不能なので、完全誘導魔法は打たれる前に潰せということか……とか、バトル漫画の二回戦前、「蛇のようにしつこいチョロちゃん」との対戦でアイツのホーミング・ミサイルにどうやって対抗するか悩んでいる時だけ有効なことを考えて現実逃避したけど、いやおかしいよなぁ。だってここまで一緒に来たじゃあないか。


 と言ってもないもんはなく、トホホ……と言いながら徒歩でジムに行って徒歩で帰ってきた。ほトホと疲れたが、こトホぐような体重ではなく、トホうに暮れるばかりである。ショートホープでも吸ってやろうかと思う。


 しかし暑いね。汗をかく。人間の営みなんて自然の前では無力だと思う。こんな詩もあった。


國破れて 山河在り

城春にして 草木深し

時に感じて 花にも涙を濺ぎ

別れを恨んで 鳥にも心を驚かす

峰火 三月に連なり

家書 萬金に抵る

白頭掻いて 更に短かし

渾べて簪に 勝えざらんと欲す


 誰が書いたんでしたっけね。


2019年07月31日 00時39分の測定結果

体重:93.35kg

体脂肪率:29.40%

筋肉量:62.50kg

体内年齢:43歳

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