ひとりぼっちの僕たちは
こんばんは。地震でめっきり太りました。めちゃくちゃな話だけども、一応理由がある。
そもそも、8月末締め切りの大きめな仕事があって、これが終わらなくって、これが終わらない間はもう飯は解禁! ということにして、コンビニ弁当は食うわ、おかしは貪るわの生活をしていた。これが9月3日までは続いていた。
そんで、まあ3日なんとかかんとかそれを出して、手直しは必要だけれども、それとは別に8日に中規模の仕事があるので、そっちを先にやって、そんで合間合間に手直しもする、みたいなことを深夜までやって、もう疲れたヨォ、知らん、進撃の巨人の感想でも書こう、と思ったところに揺れがきた。次いで停電が来た。
深夜三時だったが、まあみんな起きてるだろと思ってある程度近しい人間のグループラインに連絡入れたらみんな起きてた。みんな停電していた。
みんな停電してんのかよって思ってオートロックの自動ドアを手動解錠して、これ不用心だよなぁって思いながら外に出たら、信号まで停電してた。ハハーンこれはヤバイやつって思った。実家に一応連絡したら、実家も停電してた。実家は札幌の果てにあるので、これは札幌全滅だなと思った。
で、すぐに思ったのは、笛を探して交通整理でもしようかということだった。俺に流れる警官の血がそう発想させたかと思ったが、たぶん違って、なにかをしたかったんだと思う。やっぱビビってて、それを紛らわせるために。
はぁー参ったなこりゃ、と思いながら、エレファントカシマシの「友達がいるのさ」なんか口ずさみながら歩いてると(札幌中の電気を消して~♪)、ライングループの一人から「とりあえず合流しませんか」と連絡が来て、どう考えても外歩くの危ないんだけど、お互い不安があるもんだから、でもそれも言わずになんとなく暗闇の中で待ち合わせをした。そんで軽薄な話をしながらそこらをうろついていた。
ギリギリ開いてるコンビニで、食い物はなんか取っちゃうの悪いなぁと思って、水分さえありゃあ生きてけるだろと思って特茶(この期に及んで痩せようとしていた)を何本か、それから俺はIQOSの充電ができなくなりそうだなぁと思ってラッキーストライクのソフトを買って、同行人は「糖質制限してるから」という理由で素焼きのアーモンドを買っていた。店員さんはたぶん中国人で、めちゃくちゃ不安だろうにちゃんと会計をしてくれて、そこにふざけたような買い物をしてしまったことに少し申し訳ない気持ちになりながら、外に出たら朝の4時半に、職場の長みたいな人から電話がかかってきて、しかもどうでもいい話だった。
導入したソフトウェアがちゃんと動いているかとか、ボクは今日神戸に行かなきゃなんだけど、飛行機飛ぶかなぁとか(飛ぶわけねーだろと言っておいた)。でも俺もまさに今、どうでもいい行動をしているわけで、責める気持ちもなく、お互いの無事を祈って電話を切った。
朝が来て、たぶん少し不安も薄れたところで解散して帰宅した。本棚がぶっ倒れてて憂鬱になりながら、足元だけは確保して、そしたら職場から「地下の様子を見に行ってこい」とメールが来る。ふざけんなよなー、と思いながら、別件で処理してあるから大丈夫だと思うし、そもそも地下ってお前暗闇やぞと返信する。この人は、その後も停電が続く中恵庭から人を呼び付けようとしたりしていた。
そんでちょっと寝て、ずっと停電が続いてて、同期のライングループにデマが飛び交う。この情弱どもがと思うけど、何しろ同期なので、あんま茶化すのもどうかなと思って、中庸の返答などしていると(でもいよいよ鹿狩りチャンスですねとかは言った、ツイッターほどはウケなかった)(ツイッターもウケたとは言えないが)、ハタと気づいたことがある。冷凍庫も動いてないじゃん。
そんで、前に住んでた家で使ってたカセットコンロを引っ張り出して来て、冷凍ポテト、鶏肉、ネギ、ブロッコリーなどをとにかく煮て雑に味付けをして食う。水は幸い出てたので、お陰で食器を洗う踏ん切りがついた。風呂も洗って一応水を溜めた。
もうやることもないし、ネットも重くなってきた。掃除をする気力も減ってきた。割れ散った酒瓶は掃除したし、もういいかな。あと寝るしかないかな、というところに、連絡が来た。
「雅島さん、充電器とか食料とかあります?」
「充電器はないけど、めしはもう散々食ったよ」
「ホーマックに並んで、手回しラジオとか色々買ったんで、うち来ませんか? めしもあります。トランプかなんか持ってきてください」
まあ、そう言われりゃア、携帯は最後の砦感あるし、行ったほうがいいかもしれないな。それで、まだ停電の続く真っ暗な道を怯えながら進み、そいつの家に行った。買い込んだ特茶のペットボトルを持ち込んだ。
空いてるホーマックがあって、3時間並んで買い物をしたそうだ。偉いやつだと思った。手回しラジオを回してラジオを聴いたり、電池式の充電器で携帯を充電したりした。懐中電灯に特茶のペットボトルを載せたり、スピード(トランプゲームだ)をやったり、ガスは通ってて、この家はガスコンロだったので、ガスコンロで茹でたパスタと、ここも冷凍庫は駄目なので、冷凍庫にあった食材を混ぜて、スープパスタっていうか、なんかそういう物質を作って食べた。家でめしを散々食ったのに、である。
それでもやることが無くなって外に出たら、星が綺麗だった。うひゃー、星が綺麗だぞって言って星を見てたら、流れ星が見えた。すごいテンションがあがって、うおお、流れ星とか見えるんだ札幌、やるじゃん、停電復旧願おうぜってマンションの駐車場でアホみたいに空を眺めていた。二つ目の流れ星はなかなか見つからない。
そうこうしているうちに街灯が点いた。あれ、街灯点いてね? ってなって、家に戻ってブレーカーを上げたら復電していた。ワーヤッター! って言って、とりあえずテレビをつけると、普通にケンミンショーとかやってて、いや世の中は普通に運行してるんだなあとしみじみした。で、不謹慎と謗られるかもしれないが、Wiiスポーツをひとしきり遊んだ。久しぶりにやったら面白かった。俺はスポーツ苦手だが、チャンバラの居合い切りだけは結構いけることが分かった。
もう一回外に出てみたら、もうさっきほど星は見えなかった。ちょっとあたりを散策してみると、区画によって電気が点いたり点かなかったりしていて、家のあたりがついてるかは賭けだなと思ったけど、まあ帰ってみようかと思った。帰りしな、そいつが言った。
「もしこの後余震とかがあって、どっちかが死んだとしてですよ。生き残った方は、遺族には『地震があって不安だったりしたかもしれないけど、最後の夜は楽しそうにWiiスポーツをやっていたので、不安だけではなくて、それは良かったですね』って伝えましょうね」
「縁起でもなさすぎない?」
それで家に帰ったら、まだ復電してなかった。まだしてないわ、って連絡をして、「このまま寝るけど、俺がもしなんかで死んだら、『安らかな顔ですね。Wiiスポーツの居合い切りの夢をみていたのかもしれません』って言っておいてね」と伝えておいた。
翌朝、まだ自宅は復電せず。鶏肉などを煮た謎煮をコンロであっためなおして食べて、そろそろ困ってくるかもしれないなと思う。思った矢先、カラオケ屋から営業しているよLINEが届いたので、まあカラオケ屋でじゃあ充電でもするか、あとポテトフライとかも配ってるところあるっていうから、その辺も寄ってみよ、と思って自転車で走ってたら、ぱちんこ屋が空いている。ぱちんこ屋空いてるんかい、と思いながら、そこで充電したり、クレアの秘宝伝の新しいのが出てたのでそれを触ってみたりして(ちょっと勝った)、まあ一通り充電したので、さて、この調子だと漫画喫茶も開いてそうだから、この際進撃の巨人でも読み進めるかね、と思ったところで、たまに会う一人の人間の顔を思い出した。あんまり友達のいなそうなやつなので、アイツ大丈夫かなと思ったのだ。
本人は大丈夫だった。家も問題ないということだった。
ただ、なんかもごもごしているので、どうしたんだよと尋ねると、実は今ホテルに泊まっていると言われた。
ホテル? 何で? 水とか出ないから? って聞いたら、そうではなくて、家で一人でいると不安で結構いたたまれなくなり、悩んだ挙句、ホテルだったらフロントには人がいるから、多少気が紛れる、ってそういう理由だったそうだ。
なんかわからんけど聞いた瞬間ちょっと涙が出てしまった。
それでなんか一本線が繋がった気がした。4時半に電話をかけてきた上長とか、無意味に深夜徘徊したあいつとか、メールで執拗に人を呼ぼうとした上司とか、Wiiスポーツをやった人間とか、そして俺とか、多分、結構不安で、そんで人間、不安なときにひとりぼっちでいるというのは結構しんどいんだな、と思った。
それでホテルまで迎えにいって、近くをまた彷徨って、空いてる居酒屋でまたくだらない話をして(「逃げ恥」をまだ見てないことをめちゃくちゃ怒られた)、家に帰ったら復電していた。良かったなあ、と思ったけれど、どうもまだ人心は不安定だったみたいで、その後も、馴染みの店が復旧したと聞いては飯を食いに行き、いきなりステーキが復旧したと聞いてはステーキを食いに行き、狸小路をふらついて、もう大丈夫だねっていろんな人と何度も確認をした。
その結果がこれだ。
2018年09月10日 10時13分の測定結果
体重:89.85kg
体脂肪率:27.90%
筋肉量:61.45kg
体内年齢:41歳
いやでもさ。これはさ。仕方なくねえ?
人間の絆、とか、友情の力、とか、俺はいつも茶化したように口にする。
そんなもの俺は心底信じていないからである。そんなものはなくたって生きていけるし、そんなものは本当はないと思っている。かめはめ波とかは本当には撃てないけど、ゲームとかの中では撃てる。だからそういうときに、「気功の力」とか言って撃つ、みたいな気持ちで、人間の絆、とかそういうことを言っていた。
でもやっぱ、なんていうんですかね、本能的なところというか、根っこのところというか、そういうところ、特に弱ったときには、紐帯を求める性向があるな、というのはなんか身に染みて分かって、だからなんかなるべく人といようとしたということである。その過程でめしを食ってしまったのはこれやむなく、ここまでのダイエットが無駄になったのもこれやむなしと言うしかなかろう。ないよな。ないでしょ?
ところで、ずいぶん前にも、「ダイエットのためには絶縁が必要」みたいなことを書いたが、一方逆の意見もある。これだ。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1471015317301113
(Rotenberg, K. J., Bharathi, C., Davies, H., & Finch, T. (2017) Obesity and the Social Withdrawal Syndrome, Eating Behaviors, 26, pp.167-170.)
「デブと引きこもり症候群」。ひどいタイトルだ。
まずこの「Eating Behaviors」ってスゲー雑誌だなって思って。でこの話、思わず中まで読んじゃったんだけど、一文目、こうですからね。
そうなの。俺知らなかったよ世界のトレンド先取りしてたの。昔からファッションリーダー、ファッショニスタを気取ってはきたものの、まさか一番外っかわの次の層まで流行に敏感になってるとはおもわんかった。ナチュラルボーンなトレンドリーダーだ、なあ、おい、そうだろ。何シーンとしてんだ。せめて笑えよ。
ほいでね。まあデブは身体的にはそら不健康ですと。それは分かるよ。なんか、心理的問題もあるぜって報告があるらしいんですね。悲しすぎるでしょ。つーかどんどん知らない世界を切り開いてしまってすごいなんていうか気持ち的には高まってるんだけど、その報告ってのはこれらしい。
Papadopoulos, S. & Brennan, L (2015).Correlates of weight stigma in adults with overweight and obesity: A systematic literature review, Obesity, 23(9), pp.1743-1760.
掲載紙。お前。「デブ」って。
(※ニュアンス的には「肥満」だと思いますけどね)
いわゆる科学雑誌って、まあ色々例外もあるけど(PNASとか)、短いタイトルの方が権威がある感じすると思う。ほらネイチャーとか。サイエンス、とかね。俺は余計なもんはつけないぞ、その分野全部持って来い、その中でいいのだけ載せてやる、みたいな感じが出る。しかしこの、「デブ」一つと言うのはどうなんだろ。業界では権威があるんだろうか。誰か詳しい人教えてください。
でまあとにかく、このレビューによると、いくつかの文献で、「デブは社会的にひきこもりがちである」って言われてるって言うんですね。
そうなの? 前提が崩れてない? 前段の話なんだったの?
良く分からなくなってきて、このまま俺は紐帯の方に身をゆだねるべきなのか、それともやはり断固として全ての繋がりを絶つべきなのか、そんなことを考えながら夜に溶けていくのだった。
ちなみに、話逸れるので詳しくは書かないが、ジムは復旧したのであるが、昨日は自転車の鍵を失くして行けず(いや行けないことはなかったんだけど)、今日は明日からの出張の準備で行けず、で明日からは出張なので行けない。
ジョイフィット、「その月に最も長く滞在したジョイフィットを正規のジョイフィットとする」というルールがあって、今月札幌ジョイフィットたしかゼロ時間だと思うので、ここで出張先のジョイフィットに終夜滞在し、来月から俺はそっちの所属になってジョイフィットの事務の人を混乱させたいという欲望が発生したが、そういうことやってると今月後半も行けなくなるので、帰ってきたらちゃんと走論はやろうと思っている。
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