制服JAZZとマイ・プリンス!?
saitani
第1話
GWの初日、昼下がり。ディズニーには、今日もたくさんのディズニー・ファンが押し寄せていた。
その中には、チラホラと、制服の女子高生の集団が見受けられる。
沢田美月と大和田典子の二人組も、その一つだった。
「制服ディズニーできて、良かったね〜!」
「マジ良かったね〜。めっちゃ楽しいんだけど!」
二人ははしゃぎながら、次に目的としているアトラクションに向かう。
制服ディズニー。それは、ネット上で見た、JKの間で流行っているというものである。要は、制服を着て、ディズニーに行くということのようだった。
二人とも、確かに制服を着ている。ただし、それは学校指定の制服ではなかった。そう、なんちゃって制服。
では、二人ともなんちゃって女子高生なのだろうか。否。れっきとした、現役JKである。
二人とも、同じ、服装自由の高校に通っているのだ。だけど、制服ディズニーがしたくて、二人で一緒に所沢のイースト・ボーイに行って、なんちゃって制服を一式買い揃えてきたのだ。それなりのお値段はしたのだが、学校に着ていくという理由をつけて、大半はなんとかそれぞれの親に出してもらった。
二人とも、お揃いの紺色のブレザーに、白いブラウスと、青に白線入りのリボンタイを合わせて。スカートは、ブルー系のチェックで、ベルトのところで巻き上げ、膝上二十センチ以上にしている。で、靴は、もちろんローファーだ。美月はブラック、典子はブラウンのを履いている。ちなみに美月は赤いフレームのメガネ姿だ。
この日は春にしては暑い日だった。園内を歩き回り、二人とも汗をかいてきた。典子の方など、もうぐっしょりだ。たまらず二人とも、ブレザーを脱ぎ、ブラウス姿になった。
「やだ、典子、背中ブラ透けてるよ〜」
美月がスットンキョーな声を上げる。
確かに、典子のブラウスの背中が肌にピッチリと張り付き、黄色のブラがくっきりと浮き出ていた。
「背中だけでしょ、このくらい普通だよ〜。てか、アンタもじゃんか」
男慣れしている典子は、こともなげに答える。
「マジか〜…ってやばっ!」
美月は、ブレザーを着ていたので、つい油断して、キャミを着ていなかった。それに対して、典子は、フツーに着ていなかったのだが。
通りすがりの若い男たちが、いやらしい視線を投げかけてきた、気がした。
美月は慌てて再びブレザーを着ると、
「とにかく、一度涼しいところで休も。暑くてさ〜」
二人は、エアコンの効いているカフェコーナーに入った。
念願の、制服ディズニー。美月は元々根っからのディズニー・ファンだ。小学校時代からの親友の典子は、制服ディズニーが流行っていることもあり、付き合ってくれたのだった。
「やっぱJKってさー、制服ってカンジだよね〜」
典子のその言葉に、美月がうんうん、と同意する。
中学の時は、高速も親も厳しく、制服で友達だけでディズニーに来ることはできなかった。高校は高校で、制服なしの学校をよく考えずに選んでしまい、後悔していたところ、典子に教えられて、イースト・ボーイで制服もどきをゲットしたのだった。
ふと、鼻歌で、白雪姫のある曲を口ずさむ美月。
「美月、その曲マジ好きだよね〜」
「それな!子供の頃から好きなんだ。DVDで繰り返し観たもんな〜、白雪姫」
「汗も引いたし、そろそろ行こっか」
二人はどちらともなく立ち上がると、乗りたかったアトラクションへと向かった。
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