終わらない闇の刻

由文

悲劇は始まり、そして終わらない

続きでもある悪夢の始まり

 そこは小高い丘だった。


 陽は昇り今は昼だろうか。本来なら静かなその場所は、そこから望める村より聞こえる騒ぎによって汚されていた。

「遅かったか?」

 その場所にたたずむ四つの影。

「まだわからないわ、とにかく急ぎましょう。」

「そうだな。」

 四つの人影は煙の立ち上る村へと向かって歩き出した。



 そこは悲鳴と、人外の、何かの声が響き渡っていた。

 村の向こうには小高い丘が見える。この村は今、まさに地獄と化したいた。昼前だっただろうか、いつもと変わらない日常。それを壊したものはどこから来たのかわからない、異形な姿をした人型の生物だった。


 ―――数時間前のこと。


 村から少し離れたところ、ちょうど村の周りを見張っていた二人が目撃したのはまさに怪物といってよかった。

「か、怪物だ。集団で村に向かってるぞ。」

 一人の男が顔を蒼ざめて声を絞り出す。そしてもう一人の男も我に返って口を開いた。

「おい、急いで知らせ…。」

 だがその言葉は最後まで続かなかった、怪物たちが二人の後ろにもいた為に。そしてその怪物が二人の頭を潰してしまった為に。


 そして、怪物の群れは村を襲った。

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