23.ハレーション - フリーを選んだ
まぁ、そんなこんなで色々な症状が出て、大学から離れて、何か自分でもできる仕事はないかって探し始めたのよね。文章を書くのは好きだったし、小さいけれど小説賞も三回くらい取ったから、ライターやってみたいと思って。それでいばらきクリエイターズハウスの入居者募集に手を挙げて、駆け出しライターとして入居したんだ。
何もかも手探りだけど、どこに居たって何もかも手探りよ。共感覚に翻弄されず、むしろ活かせる方法が見つかるなら。そんな希望があるのなら。とりあえず今はそれで充分!
体調安定してきたみたい。せっかくいい天気だし、カーテンと窓を開けようか。
こうやって差し込んでくる光が苦手なの。さっきも言ったけど蛍光灯の光も苦手なの。というか、そもそも室内の光が苦手なのかな?
家具や壁や色々な物で反射して、その色を少しだけ含んで、白くぼんやりと滲んでいく。光と色の奔流で気分が悪くなるわ。しかも人がいっぱいいると、それぞれの声の色や気配の色、数の色が鳴り響いてるわけだし。
だから、色々な物とカラフルな人が強烈な蛍光灯の下ですし詰めになってる「オフィス」っていう環境に、馴染めるか不安だったの。だからインターンでもバイトでもなくフリーランスに手を出したのよ。
オフィス仕事、やってみなきゃ分からない? またまた。英語漬けの時みたいに、取り返しのつかない傷を負うのは嫌だったもの。最初から避けるに越したことはないよ。
でも、アーレンレンズが手に入ったから、今は「オフィス仕事やってみてもいいかな」と思えているよ。いろいろな職場で働いてみたいな。
そういえばアーレンレンズの話、まだしてないね。私をこれだけ前向きにしてくれたレンズとの、出会いの話。これは解決の話になるから、まずは問題の話、共感覚の話を網羅していこうか。
物と人が光の下ですし詰め、代表格は学校よね。
高校まではマシだったわ。みんな同じ服と髪色だから。大学に入ってからは……。
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