9.カフェイン - 共感覚を弱める食べ物
ふー。美味しかった。
食後の珈琲頼んでいい? あなたも何か頼む? はい、デザートメニュー。
ここ、デザートドリンクも美味しいのよ。甘さの暴力って感じで。あ、これ褒めてるからね。特にホット・ココアが絶品よ。私はホワイト・ホットココアが好きだな。ただでさえ甘いホワイトチョコ・ドリンクに山ほどマシュマロと練乳が盛ってあるの。のんびり飲んでいると疲れが取れるよ。
でも今日は珈琲でいいわ。カフェイン切れてきちゃったから。
さっき「共感覚抜きで考えることはできない」でも「できないは言い過ぎね」って言ったじゃん。やろうと思えばできなくもないのよ。共感覚を抜くこと。
どうやるのって? もう答え言ったよ。カフェインを沢山摂れば、できるの。珈琲飲めばいいのよ。不思議でしょ?
気付いたのは大学一年のときだったかなぁ。つい最近よ。友達と食事に行ったとき、友達が残した珈琲を飲んだら、急に視界が真っ白になって。
うううん。説明がいるよね。真っ白っていうのは、えーっと。
私、数字だけじゃなく、物の数や概念や時間にも共感覚があるのよ。一番強いのは数の色。物が1個置いてあれば赤。2個置いてあれば黄色。大体の物は1個で置いてあるから、私の世界はいつも真っ赤なの。赤の気配に満たされているのよ。
それが珈琲のガブ飲みで消えて、壁や床の白がやたら目立った。私にはそれが「視界が真っ白」になったように感じたの。
それ以来、共感覚が作業の邪魔にならぬよう、毎朝珈琲を飲むようになったわ。
違いはどうかって? やっぱり楽だよ。色に惑わされず文字を読める。普段はどうしても綺麗な色の字や派手な色の字に視線が吸い寄せられちゃうからね。特に英語と数字は、すごく集中しないと読めない。
カフェイン抜けてくるとすぐ色見えてきちゃうから、完全に消えている時間はごくごく僅かだけれどね。弱まっているだけで随分違う。
逆に音を扱う作業のときは共感覚弱まってると無理ね。趣味の作曲とか、カラオケとか。カラオケでうっかりアイスコーヒー飲んじゃって、急に音が取れなくなったこともあるわ。
あ、うん、音にも共感覚あるのよ。その話はまた後でね。
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