第260話 【修介視点】さ、僕ももっと仕事するぞ!

「ふう……」


週の始めとなる、月曜日の午前中。

山のように積み上げられていく仕事を、淡々と消化し続けていき…

一区切りがついたので、一息をつく。


周囲を見れば、僕と同じように他の同僚達も仕事をこなしている。


高宮部長の部下である、僕達以外の社員なら間違いなく溺れてしまうであろうほどの作業量を。


僕は佐々木 修介。

尊敬してやまない高宮部長の部下であり、一人の子の父親でもある。


身体の弱かった最愛の妻、香織の命と引き換えに生まれてきた…

僕にとっては目に入れても痛くないと断言できるほどに可愛い娘である香澄。


その香澄のためにも、日々業務に励んでいる。


「よっしゃ!今の時点でこんだけ消化できた!」

「甘い甘い!オレはもっと消化できてるぜ!」

「なにい!くっそ、もっと頑張らないと!」


同じ部署の仲間である同僚達は、まるで競い合うかのように仕事をどんどん消化していっている。

山積みの仕事を前にしても気が重くなるどころか、まるでゲームを楽しむみたいにこなしていく。


これは、この部署ではもはや当たり前の光景。


「オレがもっともっと仕事ができるようになって、高宮部長に楽になってもらうんだ!」

「いやいや!お前だけにいいカッコなんかさせねえ!」

「ボクも、高宮部長のお手伝いできるように!」


他の部署も、競い合い自体こそあるものの…

うちの部署のような、傍から見ていて気分のいいものではなく、やはりギスギスとした、足の引っ張り合いが多いらしい。


それも、上司と部下のいがみ合いも非常に多く、そのせいでこなせる仕事量もいまいち伸びてこないらしい。

実際、こなせている業務量で言えば、うちの部署は全社的に見てもダントツでトップらしく…

その部を率いる長である高宮部長は、社内でも有数の貢献度を誇っていて、この本社に栄転されてから、もう何回も上層部から表彰のようなものをされている。


ただ、高宮部長は本当に控えめで目立つことが嫌いで…

その上、いつも部下である僕達を立ててくれている。

直近の表彰でも、『評価されるべきは自分ではなく、自分の元でこれほどの結果を出してくれている部下達です』と言い切って、部下である僕達の表彰を、上層部に直訴までしてくれたのを、僕はこの目で見ている。


この部署の一員である僕が見ているのだから、当然部署仲間の同僚達も見ているわけで…


もともと部下の僕達に決して無理はさせず、本当に仕事がやりやすい環境まで作ってくださって、なのにこなしている業務量は本人が一番多いのだから…

僕はもちろん、他の同僚達も高宮部長のことは心の底から尊敬し、心酔し切っている。


いつも僕達が、部長以外だと絶対に溺れてしまいそうな程の圧倒的な量の業務を少しでもお手伝いできるように志願までしているのだが…


高宮部長は『これはあくまで自分の仕事だ』と言って、やんわりとではあるものの、絶対に僕達に振ってくれない。


だからこそこの部署の人間は高宮部長には一生ついていく、なんて本気で言えるほど部長に心酔しているし、それゆえに高宮部長に頼ってもらうにはまだまだ実力が足りないと、不甲斐なさを感じている。


「へへ!高宮部長のお手伝いを最初にさせてもらえるのは、オレだ!」

「ふざけんな!それだけは絶対に譲らねえ!」

「ボクだって、それだけは譲る気はないからね!」


だから、この部署の一体感、結束の強さは半端じゃない。

そして、高宮部長がこの本社に来てからの僕達の伸び具合が凄まじいって、上層部からも評価を頂けている。


「(もっと僕も、仕事ができるようになって、高宮部長のお手伝いを少しでも…!!)」


すでに高宮部長率いる僕達のチームだけで独立しても、成功間違いなしとまで評価をもらえている。

だからこそ、上層部は高宮部長をこの会社に引き留めようと必死になっている。


最近は、涼羽君のおかげで専務と常務が、部長とすごく仲が良くなってくれて、ますますこの部署の雰囲気がよくなった。

それだけじゃなくて、上層部のピリピリとした感じもどんどん薄れて、本当に高宮部長がこの会社の中心となっていってる感まである。


しかも、高宮部長はその能力ゆえに他部署のトラブル対応に動くことも多く…

そんな時、高宮部長は、他の管理職なんか束になっても足元すら見せない、と言えるほどの圧倒的な実力を見せつけて戻ってくるから、他部署の一般社員達からも高宮部長の下で働きたいって声が絶えないらしい。


まさにその実力と結果で、上層部のみならず、多くの社員の信頼を勝ち取っているって言っても過言じゃない。

それも自社だけに留まらなくて、うちの社の取引先も高宮部長の名を当てにしていて、高宮部長ありきの契約が最近はほとんど。


最近営業部の同僚からも、高宮部長の名を出したら一発で契約もらえた、なんて話も聞くくらい。

それどころか、営業に行ったらまず高宮部長のことを聞かれて、そこから契約内容の話になることがほとんどだって言ってたな…

しかも、よほど持っていくプレゼンの内容がひどくない限りはそのまま契約締結まで行きつく、とまで言ってたし。


もう高宮部長のおかげで、社の利益はうなぎのぼりと言えるほど右肩上がりになっていて、今期はすでに目標を大きく上回る黒字が確約されている。


僕も、もはや雲の上の人と言っても過言じゃない高宮部長に並ぶ…

なんておこがましいことは言えないけど、少しでも部長に楽になってもらえるように、自分を向上させていきたい。




――――




「佐々木さん…お願いされていた仕事、終わりました!」

「!沢北さん!ありがとうございます!」


彼は、沢北 明洋さん。

最近、中途入社で入ってきた人。


中肉中背で、地味な感じはするし、お世辞にも美形とはいえないけど…

なんか愛嬌はあって、すごく人はいいし、仕事も早い。


話を聞くと、彼は高宮部長が自らこの会社にスカウトする形で入社してもらったということ。

最初の紹介の時から、高宮部長がやけに彼のことを気に入っているのが、目に見えて分かったくらいだから、この社の人間からすれば、それがいかに驚くべきことかは火を見るより明らか。

なぜ、高宮部長が彼をそこまで気に入っていたのかを、他でもない高宮部長が話してくれて…

その話によると、彼は涼羽君と羽月ちゃんがタチの悪いチンピラ達に絡まれていたところを、その身を挺して護り抜いてくれたんだとか。


僕らにとって、涼羽君と羽月ちゃんは尊敬してやまない高宮部長の子供であり、専務・常務と部長の仲を良きものとしてくれている恩人達。

しかも、涼羽君に至っては専務が直々にうちの部署の負担を減らすべく、仕事をお願いしてるのだとか。

ただでさえ日頃忙しいはずの涼羽君なのに、隙間時間の対応で並の社員四~五人分の仕事をこなしてくれている、とまで聞いている。


僕の場合、涼羽君も羽月ちゃんも香澄がものすごく懐いていて、結構な頻度で香澄のお世話もしてくれているから、本当にありがたくてたまらない。


だからこそ、そんな涼羽君と羽月ちゃんを護ってくれたという、その話だけで、もう部署の誰もが彼をヒーロー扱いし、すぐに仲間として認め…

まだ右も左も分からない彼に、全員がとても親切にしていった。


沢北さんは、ここで働くようになってすぐにこれまでの過去を包み隠さず僕らに話してくれている。


今までずっと見下されて生きてきたため、対人恐怖症でニートだったこと。

そのせいで、三十路に入ってようやく、人生で初めて就職できたこと。

そんな自分を、涼羽君が変えてくれたこと。


それを聞いて、僕らはむしろすごいとさえ思った。

そんなどん底の状態から、ここまで社会復帰できたことが。

涼羽君と羽月ちゃんをかばって負った怪我も、数か月以上の入院が必要なほどの重症だったって聞いたし。


だから、僕達は沢北さんの過去を聞いて、より仲間として一緒に仕事がしたいと思うようになった。


そんな僕達に恩返しと言わんばかりに、彼はその技術力を活かしてとてもテキパキと仕事をしてくれる。

本当に痒い所に手が届く感じで僕らのサポートをしてくれるので、以前よりも仕事の効率が上がっている。

技術的な面で分からないことは、すぐに沢北さんが教えてくれるおかげで、この部署の面々の技術力も底上げされていっている。


高宮部長は、すごい人を仲間として引き入れてくれた。

涼羽君と羽月ちゃんは、すごい人と部長との縁を結んでくれた。


入院中に涼羽君と技術的な話で盛り上がって、お互いの知識を共有しながら足りないところを補い合っていったっていうのも、本当にすごいと思った。

だって、一介の高校生なのにソフトウェアの開発までこなせる涼羽君と、対等に技術の話ができるなんて。


だから、入社してそう時間も経たないうちに沢北さんはこのチームにとってなくてはならない存在になってくれている。

沢北さん自身、これまでの社会人としての遅れを取り戻そうと、いつも一生懸命に仕事をしてくれて、僕らのサポートも嫌な顔どころか笑顔でしてくれる。


「沢北さん」

「?はい、なんでしょう?」

「沢北さんがここに来てくれて、本当によかったです」

「?え?…」

「沢北さん、ここに来てまだ日が浅いのに…仕事は早いし、僕らのサポートも的確にこなしてくれて…以前よりもずっと効率よく仕事ができるようになりました」

「!い、いえ、そんな…」

「僕だけじゃありません。ここにいるみんながそう思ってます…だよね?みんな?」

「ああ!」

「もちろん!」

「沢北さん、さすがあの高宮部長が直々にスカウトしてきたほどの人だし!」

「オレらいっつも沢北さんにサポートしてもらって、もっと仕事できるようになってるもんな!」

「…皆さん…」


この中だと、沢北さんから見れば僕も含めて年下が多いのに、沢北さんはあくまで新米の後輩として、僕らを立てて仕事してくれる。

本当に縁の下の力持ちとして、僕らを支えてくれている。


僕らが沢北さんがここになくてはならない存在だと、一人一人が言葉にすると、沢北さんはなんだかむずがゆいような、でも嬉しそうな表情を浮かべる。


「…ここでは僕が、一番新米なので…皆さんの足を引っ張らないように頑張っている…ただ、それだけですから…」

「うわ!めっちゃ謙虚!」

「でもそんな沢北さん、マジカッコいい!」

「だから俺ら、沢北さんのこと尊敬してるし!」

「…こんな僕のこと、ここまで認めてくださって、本当にありがとうございます…そんな皆さんのためにも、もっと頑張っていきます!」

「もお!だから沢北さん好き!」

「こんないい人がここに来てくれて、マジ嬉しい!」

「よおーし!オレらも沢北さんに頼りっぱなしにならねえようにしねえと!」

「ボクらがもっと仕事できるようになって、部長も沢北さんも楽になってもらわないと!」


他の部署は未だに醜い足の引っ張り合いとか、ギスギスした空気になってるって聞くけど…

うちの部署は、そんなのとは全くの無縁。


そんな僕らを見て、普段は能面みたいに無表情な部長の顔にも、優しい笑顔が浮かんでいる。

それでも作業ペースが落ちるどころか、逆に加速してるところが部長らしいけど。


「沢北さん!ちょっとこれ、手伝ってもらってもいいですか?」

「沢北さん!あたしも!」


チームの女子社員達も、もうすっかり沢北さんが頼りになるって分かっちゃってて…

ことあるごとに沢北さんにサポートをお願いするようになっちゃってる。


「分かりました!すぐ行きます!」


沢北さんも頼られて嬉しいみたいで、柔和な笑顔でうんって言ってくれる。

でも、女子社員だからと言って鼻の下を伸ばしたり、贔屓で男子社員とサポートの質に差をつけるようなことは一切しない。


だから男子女子問わず、部署全体が沢北さんに好印象を抱いている。


僕も負けてらんないな!


「さ、僕ももっと仕事するぞ!」


非常に和気あいあいと、しかしそれでいて非常にテキパキと効率的に仕事をこなしていく。

それが、僕らがいるこの部署の日常の風景。


今日も、その日常の風景に溶け込むように、僕は仕事をこなしていく。




――――




「ねえ、佐々木くん」

「?はい?」

「佐々木くんって、部長のお子さん達にちょくちょく会ってるのよね?」

「?え?ええ…」

「どんな子達なの?」


昼休憩の時間になって、僕は昼食を摂るために社員食堂に来ていた。

そして、持参してきた弁当の包みを開き、食事を始めようとしたところに…


他部署の先輩になる女子社員が数名、僕の周りを囲むように座ってくる。

そして、開口一番に、涼羽君と羽月ちゃんのことを聞いてくる。


ちなみに先輩達は、この食堂で注文した食事を食べている。

聞くところによると彼女達は料理が苦手らしく、食事は専ら外食かコンビニ弁当らしい。


なのに社の顔としても映える美人でスタイルもいいのだから、よほど美容に力を入れているのだろうか。


「そうですね…まず最初に言えるのは…」

「言えるのは?」

「もうとにかく可愛い、ってことですかね」

「そんなに可愛いの?」

「はい。上が男の子で、下が女の子なんですけど…どちらも本当に可愛くて、ついつい可愛がりたくなっちゃいますね」

「そうなんだ~」

「あたし達も見てみたいわ~」

「ね~」


やはり高宮部長の子供達、ということもあって、先輩達は興味津々の様子。

僕の場合、香澄の面倒を見てもらうことも多くなっていて、その兼ね合いで二人に会うことも多くなってるから…

そのことが噂になっていて、僕に二人のことを聞いてくる人が最近は後を絶たない。


「写真…ありますけど、見ます?」

「!え!?ほんと!?」

「ええ」

「見たい見たい!!」

「ねえ!早く!早く見せて!!」


娘の香澄を包み込んでくれている涼羽君と羽月ちゃんが可愛くて…

羽月ちゃんを甘えさせる涼羽君も、涼羽君に甘える羽月ちゃんも可愛くて…

涼羽君と羽月ちゃんに甘える香澄が可愛くて…


ついつい撮っちゃった写真が何枚も、僕のスマホに残っている。


その中でも、羽月ちゃんと香澄が一緒になって涼羽君に甘えてる様子を撮ったものを、先輩達に見せてみる。


「!!やだ~!!なにこれなにこれ~!?」

「!!もうめっちゃ可愛い~!!お人形さんみたい~!!」

「!!見てるだけで癒されちゃう!!あたしこの場にいたら、ぜ~ったいこの子達ぎゅ~ってしちゃう自信しかないもん!!」

「でも、部長のお子さんって、二人じゃなかった?」

「そうですよ」

「でも、三人いるけど…」

「ああ、この一番小さな子は、僕の娘です」

「!!この子、佐々木くんの子供なの~?」

「はい」

「やだ~めっちゃ可愛い!!」

「この子、将来すっごい美人さんになりそう!!」

「はは……ありがとうございます」

「あれ?でも部長のお子さんって、男の子と女の子だったよね?」

「でもこの写真、女の子しか映ってないよ?」


…やっぱり、初見じゃ分からないか。

これは仕方ないと思う。


現に僕だって、本人に自己申告されなかったら分からなかったんだから。


「ちゃんと映ってますよ」

「え?」

「ど、どこに?」

「ほら、ここに」


そう言って、僕は写真に写っている涼羽君…

腰の下までまっすぐに伸びている艶のいい黒髪を、いつものヘアゴムを取り去ってさらりとさせている、童顔で極上の美少女顔をした黒のトレーナーとジーンズの子を指さす。


「!!??え!?え!?ちょ、ちょっと待って!?」

「いやいやいやいや!!!!どっからどう見ても女の子じゃん!!!!」

「それも、TVに出てくるアイドルだって言われてもおかしくないくらいの美少女じゃん!!!!」


案の定、僕が指さした美少女が男の子だって言われて、先輩達は盛大に驚いてしまう。

涼羽君は、誰が見てもそう思っちゃうくらいの…

それも、誰の目をも惹いちゃうほどの美少女な容姿だから。


「ま、まあ言いたいことは分かるんですが…ほんとにこの子が、部長の長男さんなんですよ」

「う…うそでしょ~?…」

「これで男の子だなんて…詐欺もいいとこじゃない…」

「え?この子女装趣味なの?普段から女の子の恰好してるの?」

「そう思う気持ちも分かるんですが…むしろ自分が男だっていう意識が強い子なので、女装なんてしない子ですね…素で、この容姿なんですよ」

「!!これで、素なのね~…」

「佐々木くんの娘ちゃん、めっちゃこの子に懐いてるみたい!!」

「実際どうなの?佐々木くんの子供ちゃん、この子に懐いてるの?」

「ええ…もう親の僕が嫉妬しちゃいそうなくらい懐いてて…娘はこの子を見かけたら、もうひたすらべったりして離れようとしないですね」

「え~、そうなのね~…」

「で、でもでも~…」

「いくら見た目がこれでも、他人の男の子にそんなに懐いちゃうの?」

「男の子なのは間違いないんですが…まるで本当の母親のように娘を包み込んで甘えさせてくれるんですよ、この子…だから、男の子なのに娘はこの子を『おねえたん』なんて呼んでますからね~」

「!!や、やだそれ、めっちゃウケる!!」

「話聞いてるだけでめっちゃ可愛い!!」

「あと、佐々木くんの娘ちゃんとおんなじようにこの子に甘えてるのが、部長の娘さん?」

「そうですね。その子が部長の娘さんで、この子の妹になります」

「やっぱり!!顔そっくりだもん!!」

「兄妹揃って美少女…って、自分で言っててなんかおかしい~!!」

「見てる感じ、この妹ちゃんも、このお兄ちゃん?…にすっごく懐いてるの?」

「そうですね…もうほんとにお兄ちゃん大好きな子で…この子がお兄ちゃんから離れてるところなんて、見たことがないですね」

「やっぱりそうなのね~」

「このお兄ちゃん?…が二人に甘えられて、ほんとに幸せそうなんだもん」

「よっぽど優しいお兄ちゃんなのね~…」


涼羽君と羽月ちゃんの話だけで、先輩達とずいぶん盛り上がっちゃったな。

でも、僕も涼羽君と羽月ちゃんは本当に可愛く思っているし、香澄にとっても兄妹みたいに接してくれるから、恩人でもあるからね。


二人のことで話せることなんて、いくらでも出てくるし、話してるだけで楽しい。


「あら?佐々木くんって、いつもお弁当だったかしら?」

「いいえ、違いますよ。これは、部長の息子さんが作ってくれたものです」

「!え!?この子が!?」

「え?なんで佐々木くん、この子にお弁当なんて作ってもらえてるの?」

「娘のお世話をしてくれる時に、ついでに作ってくれたりするんですよ。さすがにたまに程度ですけどね」

「わ~…いいな~…」

「ねえ、このおかず、ちょっともらってもいい?」

「いいですよ」

「ありがとう!……!なにこれ!めっちゃ美味しい!」

「はい、この子は家事全般得意で、料理は本当に上手なんですよ」

「わ~…見た目まんま美少女で、女子力も高いなんて…」

「あたし、この子みたいな弟、欲しい~!!」


今日はたまたま涼羽君がお弁当を持たせてくれたので、それも話題になった。


ここ最近、涼羽君は、香澄のお世話をしてくれるばかりか、たまにだけど僕の弁当まで用意してくれるようになっている。

涼羽君の弁当は、毎日食べても飽きない、って断言できるほどに美味しくて…

涼羽君が弁当を持たせてくれた日は、本当に一日幸せで仕事も普段以上に身が入る。


涼羽君は、本当にこの世に降りてきてくれた、天使のような存在だって、僕は思ってる。

いつもいつも、本当にありがとう。

涼羽君。


これから少しずつでも、涼羽君にお返ししていくから…

期待しててね。

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