第254話 お兄ちゃん…寂しかったよ~!!

「りょうおねえたん、かえっちゃや~」

「涼羽お姉ちゃん、寂しいよ~」

「りょうおねえたん、いっちょにいよ?」

「涼羽お姉ちゃん、いかないでよ~」


孤児院の院長である蓮、そして孤児の中で最も年長である志郎を交えての、今後の展望についての話し合いも、非常にスムースに進み、お互いに見返りのあるWin-Winな契約も円満に結ぶことができた誠一と涼羽。


実際に行動に移すのは今後だが、予想以上に話を円滑に進めることができたため、誠一の顔には達成感に満ちた笑顔が浮かんでいる。

涼羽も、これでこの孤児院と志郎を助けることができる、ということに喜びの笑顔を浮かべている。


ひとまずこの日の目的は全て達成できたと言えるため、涼羽と誠一は孤児院を後にしようとした、まさにその時。


この一日で涼羽にすっかり懐いてしまった子供達が、涼羽と離れることに非常に抵抗を覚えてしまい…

今後、ちょくちょく涼羽自身がここに来る、と宣言しているにも関わらず、このままここにいてほしいと、可愛らしい懇願をしてくる始末。

涼羽にべったりと抱き着いて、上目遣いで懇願してくる子供達を可愛く思う涼羽なのだが…

もうとっくに日は暮れてすっかり夜になってしまっており、父、翔羽も最近はめっきり多忙で、この時間帯でも家に帰ってきているかが分からない状況。

そのため、現在自宅にいるのが妹、羽月一人ということもあり、さすがにこれ以上家を空けるわけにはいかないのだ。


この一日ですっかり自分に懐いてくれた子供達が可愛いからこそ、その子供達の懇願に困った表情を浮かべてしまう涼羽。

どうしようかと思っていた、まさにその時。


「ほらほら、涼羽はもう自分のお家に帰らなきゃだめなんだから」

「そうですよ?涼羽君は、妹さんがお家でお留守番してくれてるから、早く帰ってあげないといけないですからね?」


涼羽にべったりと抱き着いて懇願する子供達をやんわりと引き離して、からからと笑顔を浮かべながら優しく言い聞かせる志郎と…

同じように、おっとりとしながらもまるで本当の父親のように、言うべきことはきちんと言う蓮が、涼羽に助け船を出す。


「え~…でも~…」

「大丈夫だって。涼羽はまた、ここに来てくれるって言ってただろ?」

「そうだけど~…」

「君達が大好きな涼羽君は、その約束を破るような人ですか?」

「…ん~ん…ちあう…」

「だろ?」

「せっかく涼羽君が君達を気に入って、またここに来てくれると言ってくれているのに、君達が駄々をこねてては、その涼羽君を困らせることになりますよ?」

「そうだぜ?涼羽を困らせて嬉しいのか?」

「ち、違うよ!」

「わたし、涼羽お姉ちゃんのこと困らせたくなんかない!」

「りょうおねえたんこまるの、や!」

「そうだな、だったら、今お前らがしてることは、違うよな?」

「そうですね、今君達がしてることは、涼羽君を困らせること、ですよね?」

「!う、うん…」

「そう、だよ…」

「あう…」


自分達にとっては父である蓮と、兄である志郎に優しくも、しっかりと言い聞かせられて、自分達のしてることが大好きな涼羽を困らせることだと、気づくことができた子供達。


純粋で素直な子供達であるからこそ、気づいたなら行動も早く…

まだ名残惜しそうに涼羽の服の裾などを掴んでいた手を、ぱっと離す。


「涼羽お姉ちゃん!また来てね!」

「りょうおねえたん、またぎゅ~っちて、なでなで、ちてね!」

「涼羽お姉ちゃん!また一緒にお料理、してね!」

「りょうおねえちゃん!だいちゅき!」


今日はもう、これで終わりだけど…

またそのうち、来てくれるって涼羽が言ってくれたから。

だからこそ、無邪気で天真爛漫な笑顔を浮かべて、『またね』と言える子供達。


「うん、また来るね」


そんな子供達が本当に可愛いのか、涼羽自身またここに来て、この子供達といろいろなことをしたいと思えるようになり、にこにこ笑顔を浮かべながら、次またここに来ることを言葉にする。


素直で聞き分けのいい子供達が可愛いのは蓮と志郎も同じだったようで…

志郎は子供達をその大きな身体で包み込むように抱きしめ、蓮は子供達の頭を優しく撫でてあげる。


「いやあ…お利口さんで可愛い子供達ですなあ…この子達の将来のためにも、すぐにでも今回の提案を形にしていきたいですのう…」

「丹波社長!私も御社のお力になれるよう、微力ながら尽くさせて頂きます!」

「こちらこそ、この孤児院のためにも、協力は惜しみませんぞ!」


そんな心温まる光景を見ていた誠一も、この子供達のためにも今回の提案はすぐにでも形にしたいと、決意を新たにする。

その言葉に蓮も誠一の会社に貢献できるようにと宣言。

誠一もこの孤児院のために協力は惜しまないと宣言。

非常に良好な関係を構築できていることが、傍から見てもすぐに分かるほど。


「涼羽!」

「?どうしたの?志郎?」

「本当に、本当にありがとうな!」

「!?ど、どうしたの?」


その精悍で整った顔に、眩いばかりの笑顔を浮かべながら、志郎は涼羽の小柄で華奢な身体を包み込むように抱きしめてしまう。


いきなりな志郎の行動に、涼羽はさすがに驚きを隠せないでいる。


「お前のおかげで、この孤児院の未来が明るくなったよ!」

「そ、それは俺じゃなくて、おじいちゃん達とお父さんのおかげで…」

「何言ってんだ!確かに丹波社長に藤堂専務、そして高宮さんが尽力してくれたおかげだけど、でもそのきっかけを作ってくれたのは、他でもない涼羽、お前じゃねえか!」

「そ、そんなこと…」

「涼羽!お前は俺にとって、生涯かけて恩返ししなきゃならない恩人だ!だから、こんな俺でよかったら、何でも言ってくれ!お前が困ってたら、俺がいつだって助けにいくからよ!」


自分の腕の中にいる涼羽をまるで宝物のように抱きしめながら、志郎はこの日の喜びを素直な気持ちで涼羽に言葉としてぶつけ、そして今後絶対に涼羽のためにいつだって助けに行くと、本来の志郎らしい竹を割ったようなさっぱりとした口調で宣言する。


「…もお…俺はいつだって志郎に助けられてるってば…」

「俺はそのお前以上に助けられてるよ!」

「…ふふ…ありがとう、志郎…志郎が親友で、俺、本当によかった…」

「!その言葉だけですっげえ嬉しいじゃねえか!涼羽!俺もお前が親友で、本当によかった!ありがとう!」


志郎の胸の中で、志郎の顔を見上げながら、照れくさくも志郎が親友でよかったと、嘘偽りない、純粋な思いを伝える涼羽。

そんな涼羽の言葉がまた嬉しくて、志郎はより涼羽のことをぎゅっと抱きしめながら、また言葉でもその喜びを伝えてくる。


本当に仲のいい涼羽と志郎のやりとりに、蓮と誠一も笑顔が絶えず…

まるで自分のことのように喜びを隠せないでいる。


そして、孤児院の面々に惜しまれながらも、涼羽と誠一は孤児院を後にするので、あった。




――――




「誠一おじいちゃん、ほんとにありがとう」

「?ほ?どうしたんじゃ?いきなり」


孤児院を後にし、今は涼羽の自宅である高宮家へと、足を進めている涼羽と誠一。

その最中、涼羽が笑顔で誠一にお礼の言葉を紡ぐ。

そんな涼羽が可愛くて頬が緩みながらも、いきなりの言葉に優しい口調で涼羽に問いかける誠一。


「誠一おじいちゃんのおかげで、院長先生がこの提案、受けてくれたから」

「!ほほほ!そんなの、わしの方がありがとうじゃよ!」

「?え?」

「涼羽君が本当にいい提案を出してくれたからじゃよ。涼羽君のおかげで、あの孤児院の先行きが明るくなっただけでなく、わしの会社にも大きなメリットが出てきたんじゃ。ちょうど我が社の問題点を最高の形で解消できる、な」

「お、俺はちょっとした思い付きを伝えただけで…最終的に形にしてくれたのは、誠一おじいちゃんと幸介おじいちゃんと、お父さんだったし…」

「その思い付きが本当に素晴らしかったからこそじゃよ。その土台があったからこそ、わしらはそこに足りないものを埋めていくだけで、よかったんじゃからのう…それに、幸介と高宮君の会社も、うちへの請負を増やせるし、今後の人材育成も見込めるから、もうみんながみんな、よき方向へ向かうことができる…わしはただ、それを院長先生にお伝えしただけ。院長先生も『この提案を断る理由など微塵もない』、と言い切っておられたからのう」

「そ、そうなんだ…なんか、恥ずかしいな…」

「ほほほ!涼羽君は相変わらず控えめで奥ゆかしいのう。そんなところも可愛くてたまらんわい」

「!も、もお!誠一おじいちゃんってば!」


むしろ自分の方がありがとう、と言い切る誠一の言葉に、涼羽はなんだか恥ずかしくなって、その童顔な美少女顔を赤らめてしまう。

そんな奥ゆかしいところも可愛いと誠一はつい言葉にしてしまうが、『可愛い』と言われることに抵抗のなる涼羽であるがゆえに、ついその言葉にツンツンとしてしまう。


そんなやりとりをしながら二人は足を進めていき、高宮家はもう目前と言うところまで来たのだが――――




「お兄ちゃん!!」




涼羽にとっては息をするのと同じくらい聞きなれた、鈴のなるような可愛らしい声が、自分の方に向かって響いてくる。


涼羽と誠一が声のする方へと視線を向けると、部屋着である純白のトレーナーに、紺色のオーバーオールに身を包んだ羽月が、見ただけで寂しくてたまらないと言うことが分かってしまう泣き顔を浮かべて、高宮家の前で待っていた。


そして、大好きで大好きでたまらない、最愛の兄である涼羽の姿を見た途端、その小さな身体を目いっぱい動かして、涼羽の元へと走っていき…

その勢いで、涼羽にべったりと抱き着いて、もう離さないと言わんばかりに涼羽の身体を抱きしめる。


「お兄ちゃん、お帰り……遅いよ~」

「…ただいま、羽月。ごめんね」


よほど寂しくて寂しくてたまらなかったのか、涼羽の胸に顔を埋めて、これまでの寂しさを全部埋めてしまおうとせんがごとくに頬ずりまでしてしまっている。

涼羽が着ている黒のトレーナーが、羽月の涙で濡れてしまっているが、羽月は一向に涼羽から離れる素振りも見せない。


そんな妹、羽月が可愛くてたまらず、涼羽は羽月の身体を優しく包み込むように抱きしめて、その頭を優しく撫で始める。


「ほほほ…羽月ちゃんは本当に涼羽君のことが大好きで大好きでたまらんのじゃなあ…」


いつも通り兄である涼羽にべったりな妹、羽月の甘えん坊っぷりを見て、誠一はほっこりとしてしまう。

この可愛いの化身と言っても過言ではない、高宮兄妹の仲睦まじいやりとりは誠一も見ているだけで心に癒しを与えてもらえるような感じなので、いつでも見たくなってしまう。


「羽月、ご飯は食べた?」

「うん、食べた」

「そっか、よかった…ごめんね?まだお父さんも帰ってきてないから、一人で寂しかったでしょ?」


この日は遅くまで外出することになるだろうと思っていた涼羽は、ちゃんと家族の分の食事を朝方に作り置きしていたのだ。

なので、羽月はそれを温めて食べるだけで済んだ。


自分が用意した食事をちゃんと食べたかを聞いて、羽月から肯定の意が返ってきたことに、涼羽は安堵の表情を見せる。

そして、父、翔羽が非常に多忙であるため、未だ帰宅できていないこともあって、やはり甘えん坊で寂しがりやな羽月は寂しくてたまらなかったんじゃないかと、涼羽は聞いてしまう。


「寂しかった!お兄ちゃんがいなくて、す~~~~~っごく寂しかった!」


最愛の兄である涼羽の胸に埋めていた顔を上げて、涼羽の方へと向き直ると、羽月はそのくりくりとした目から涙をぽろぽろ零して…

今日一日、涼羽がいなくて寂しくてたまらなかったことを言葉にして、涼羽にぶつける。


「お兄ちゃんがいないの、や!お兄ちゃん!わたしを一人にしないで!」


心にぽっかりと穴が空いてしまうとさえ思ってしまったほどの寂しさが、今また羽月の心を蝕んでしまう。

その寂しさが怖くて、苦しくて、たまらなくて…

もうどうしようもなくなって、羽月はまた、涼羽の胸に顔を埋めて、これまでの寂しさで空いてしまった心の穴を埋めようと目いっぱい甘えてくる。


「…もう…ほんとに羽月は甘えん坊さんなんだから…可愛いなあ…」


そんな妹が甘えん坊すぎて困ってしまうものの、だからこそ可愛くて可愛くてたまらないのか…

涼羽は懸命に兄である自分を求めてべったりと抱き着いて甘えてくる羽月を優しく抱きしめ、その頭を優しく撫で続ける。


「ぐす…お兄ちゃん…」

「?なあに?」

「もっと、もっとぎゅってして、なでなでして?」


よほど寂しかったのか、涼羽にべったりと甘えてもまだ涙がぽろぽろと零れて止まらない羽月。

そのためか、もっともっとと、涼羽に甘えてくる。


「うん…今日はい~っぱい寂しい思いさせちゃったから、い~っぱい甘えさせてあげるね?」

「!ほんと?」

「うん、ほんと」

「えへへ…お兄ちゃん、だいだいだいだいだあい好き♡」


そんな羽月のおねだりが、涼羽は可愛くて可愛くて仕方がなくなってしまったようで…

涼羽はよりぎゅうっと包み込むように羽月を抱きしめ、羽月を慈しむようにその頭をただただ、優しく撫で続ける。


大好きで大好きでたまらない兄である涼羽が、う~んと妹である自分のことを甘えさせてくれて…

羽月の心から、あんなにも居座っていたはずの寂しさが嘘のようになくなっていくのを感じる羽月。


羽月のお兄ちゃん大好きな気持ちが、またどうしようもないほどに大きくなっていくのを羽月自身感じてしまい…

その気持ちを表すかのように、羽月が涼羽を抱きしめる力が強くなってしまう。


「ふ~…やっと終わりましたね、専務」

「いや~大変だった…本当に助かったよ、高宮君」

「いえ、お役に立てたのでしたら、何よりです」


涼羽と羽月が仲睦まじくべったりと抱き合っている、まさにその時。

二人の父親である翔羽と、その上司である幸介がようやくこの日の仕事が終わったのか…

和気あいあいと話をしながら、この高宮家まで、帰ってきた。


「!おお!幸介に、高宮君!」

「!丹波社長!」

「!おお!誠一じゃないか!そっちは終わったのか?」

「おお!終わったとも!」

「そうか!で、どうだったんだ?」


翔羽と幸介の二人に真っ先に誠一が反応し、声をかける。

その声に、翔羽と幸介も反応し、幸介がこの日の首尾を誠一に聞いてくる。


その問いかけに、誠一は笑顔で左手の親指を立てることで返す。


「そうですか!うまくいったんですね!」

「よかったよかった!これで涼羽君が出してくれた提案の通りに、動いていけるということだな!」

「そうじゃよ!院長先生は、『この提案を断る理由など、微塵もございません』と二つ返事で受けてくれたからのう!」

「おお、そんなに絶賛してもらえたのか!」

「さすがは涼羽が出してくれた提案ですね!」

「その通りじゃよ!さあ、これからは忙しくなるぞ!」

「だが、志郎君の孤児院、誠一の会社、そして我が社の先行き明るい未来につながる忙しさなら大歓迎だな!」

「そうですとも!私も微力ながら、力を尽くしていきます!」

「おいおい、高宮君ほどの男が微力だなんていったら、他はどうなるんだ?」

「そうじゃそうじゃ!君が尽力してくれるほど心強いものなど、ないのじゃからな!」


志郎の孤児院との話し合いが非常にいい形で進み、とんとん拍子で契約締結までたどり着けたことを、三人で喜び合う。

これからの多忙は火を見るよりも明らかとなるのだが、それが明るい未来につながるものだと思えば、逆に望むところと言わんばかりにモチベーションがみなぎっていく。

ましてや、今や社内のみならず、社外においてもその類まれな能力で有名となり、取引先のほとんどがその人頼りとなっている高宮 翔羽が全力を尽くす、とまで言ってくれているのだから、幸介と誠一にとってはこれほど心強いものなどない、と言い切れるほどになってしまう。


「いえ、私はそこまででもありませんよ…私は涼羽がいてくれるからこそ、仕事に集中することができますから」

「…本当に君は謙虚だなあ…」

「…じゃが、それでこそ高宮君じゃわい」

「それに、涼羽がどれほどのものかは…すでにいろいろと仕事を任せている専務と丹波社長が一番、ご存じなのでは?」

「…ああ、本当にあの子はすごいよ…まだ高校生だというのに、あの処理能力に技術力…」

「…今回の提案も、涼羽君が出してくれたから成功したようなもんじゃからのう…」

「…でしょう?涼羽は普段から私や羽月の面倒を見て、しかも保育園でアルバイトして、それであの成果なのですから…普段から涼羽に仕事に集中させてもらっている私よりも、涼羽の方がよっぽどすごいですよ」

「そうなんだよ!だからこそ、涼羽君の進路が我が社に向いてくれないことが残念で仕方がない!」

「そうなのじゃ!涼羽君が我が社に来てくれたら、どれほどの貢献をもたらしてくれるのか…それを思うと、本当に残念で仕方ないわい!」


幸介も誠一も、涼羽自身が今後の進路を、現在アルバイトとして勤めている秋月保育園に、ほぼ決めていることを翔羽経由で聞かされている。

以前翔羽から、涼羽と志郎の進路は本人達の意思を尊重してほしいと釘を刺されたこともあり、二人は泣く泣くではあるものの、自社へのスカウト的なことは禁ずるようになっている。


だが、どうしても自社のリソースが足りなくて業務が回らない時に、涼羽に泣きつく形で業務応援をスポットでお願いすることが増えており…

しかもその仕事で、二人の期待を遥かに上回る成果を出してくれているのだから。

隙間時間のみでの対応で、並の社員の四~五人分は仕事をこなしてくれて、しかもその精度は毎回完璧と言えるものなのだから…

幸介と誠一が、涼羽を自社へスカウトしたくなるのも無理はないと言える。


最も、どちらにも属さないフリーの立場であるからこそ、両方の依頼に対応することができていることもあり、非常に残念に思いながらも幸介と誠一は無理に涼羽へのスカウトはしないようにしている。


「お兄ちゃん♡お兄ちゃん♡」

「よしよし…羽月が笑顔になってくれて、よかった」


こうして三人で今後の展望を語り合っている最中も、羽月は涼羽にひたすらに甘えており…

涼羽は羽月を甘えさせて、羽月が笑顔になるとまるで自分のことのように喜んでいる。


そんな仲睦まじい二人の様子を見ながら、翔羽、幸介、誠一の三人は涼羽が自分達のそばにいて、いつも縁の下の力持ちとして働いてくれていることに、これ以上ない感謝の念を、送るのであった。

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