第251話 …っあ…ありがとう…ございます…

「ねーねー、おねえちゃん」

「あ、あの…俺、男だから『お兄ちゃん』なの…」

「うっそだー、こんなにきれいでかわいいのにー」

「そーそー、かみのけもながくてきれいー」

「あたち、おねえたんみたいにきえいになりたいもん」


孤児院の経営について、提案があると誠一から告げられた蓮は、誠一と涼羽の二人を孤児院の中に迎え入れ、誠一と蓮の二人は蓮が普段から自分の城としている事務室の方へと誠一を案内する。

提案に関しては誠一から話をする、ということになり、特にすることのなくなった涼羽は、せっかくだからとこの孤児院にいる子供達のお相手をすることに。


誠一と今後の経営に関する話をする前に、蓮が涼羽を孤児達が普段寛いでいる部屋へと案内し、子供達に涼羽を志郎の親友として紹介。

涼羽も普段から秋月保育園の園児達に接する時の笑顔をその顔に浮かべて、挨拶をする。


誠一との話し合いがあるため、そそくさと子供部屋から蓮が退出し、自分と子供達だけになった涼羽。

そのとたんに、幼い子供達がわらわらと寄ってきて…

どこからどう見ても童顔で極上の美少女にしか見えない涼羽に、べったりとくっついてくる。


まるで、TVでしか見たことのないほどの美少女に出会えたかのようなハイテンションで。


その為、涼羽本人がいくら、自分は男だと自己申告しても、まるで信じてもらえず、ただただ、TVに出てくるアイドルよりも可愛い女の子として扱われてしまっている。


「いやーまじびっくり。志郎兄ちゃんにこんなに可愛い彼女がいたなんて」

「志郎兄ちゃん、いっつも僕らのことばっかり気にして、全然青春満喫できてないんじゃないかなあって思ってたけど…」

「涼羽お姉ちゃんみたいな綺麗で可愛い女の子が彼女になってくれてたなんて…志郎兄ちゃん、隅に置けないね」

「だ、だから俺、男だってば…」


秋月保育園にいるような幼子よりも上の年齢になる、小学校低学年から中学年くらいの子供達も、涼羽のことは見たままの美少女だと信じて疑わず、しかも志郎の彼女とまで思い込んでしまっている。


自分よりも年下の子供達にひたすら女の子、それも美少女扱いされて…

その要因となっている涼羽の顔は恥じらいで染まり、俯いてしまっている。


「あう…う…うあ~~~~~~~~ん…」


そんな中、今いる中で最も幼い、一歳にも満たない赤ちゃんが…

周囲が騒がしくなり、せっかく気持ちよく眠っていたところを起こされる形となったためか、大きな声を上げて泣き出してしまう。


「あ、やば…起きちゃった」

「早く、早くなだめてあげないと…」


泣き出した赤ちゃんを見て、この中では年長になる女の子達が慌てて赤ちゃんをなだめようとする。

だが、それよりも早く…


「おーよしよし…そうだよね…せっかく寝てたのに、起こしちゃってごめんね」


泣き声が聞こえたその瞬間、その母性本能がそうさせたかのように赤ちゃんを優しく抱き上げて、壊れ物を扱うかのような繊細さと、底抜けの慈愛で包み込むようになだめていくのは、それまで羞恥に身悶えしていたはずの涼羽。


「うああ……あう?」

「ふふ、可愛い…うるさくてごめんね?」


その有り余るほどの母性と慈愛を感じ取ったのか、火が付いたように泣き出したはずの赤ちゃんから、泣き声がぱったりと止まる。

根っからの子供好きで、もちろん赤ちゃんも大好きな涼羽は、秋月保育園で培った経験もフルに活かして、優しく頭を撫でながら、自分の胸に包み込むように抱きしめ…

ゆりかごを揺らすかのようなリズムで、ゆーらゆーらと赤ちゃんを軽く揺らしていく。


「…あ~…」


そのリズムが本当に心地いいのか、泣き声も涙もすぐに止まり、心地よさげな声が上がってくる。

そして、その心地よさをくれる涼羽に懐いてしまったのか、涼羽の胸にその小さな手を伸ばして、涼羽が来ている黒のトレーナーの襟をぎゅっと掴んでくる。


まるで、離さないでね、と言わんばかりに。


「ふふ…ほんとに可愛い…ん…」


そんな風に甘えてくる赤ちゃんが可愛くてたまらなかったのか、涼羽はついつい赤ちゃんの額にその唇を落とし、まるで本当の母親のような愛情を惜しみなく赤ちゃんに与えていく。


「…あー♪…きゃ、きゃ♪」

「もお、すっごく可愛い…やっぱり赤ちゃんって、可愛いなあ…」


涼羽に愛情たっぷりのキスをしてもらえて、非常にご機嫌さんになる赤ちゃん。

純粋で天真爛漫な笑顔を浮かべて、涼羽にべったりと抱き着いてくる。


そんな赤ちゃんが可愛くて、涼羽の顔にも本当に幸せそうな笑顔が浮かんでくる。


すると、それを見ていた子供達のうち、年少の方になる幼い子達が次々と涼羽のそばに近づいて、涼羽のトレーナーの裾をくいくいと引っ張ってくる。


「?どうしたの?」


その幸福感と優しさを目いっぱい詰め込んだかのような笑顔のまま、涼羽は自分に寄ってきた子供達に問いかける。


「!~~~~~~えいっ!」


そんな涼羽の笑顔に思わず顔を赤らめてしまい、一人の男の子がついつい涼羽にべったりと抱き着いてしまう。

身長差があるため、男の子は涼羽のお腹に顔を埋める形になっている。


「…もしかして、甘えさせてほしいの?」

「!う、うん…」


いきなりべったりと抱き着かれて、少々呆気にとられた表情になってしまう涼羽だったが…

自分にべったりと抱き着いている男の子が、恥ずかしそうな声で甘えさせてほしいと言ってくる姿に、またしても母性と慈愛に満ち溢れた笑顔が浮かんでくる。


「可愛い…」


そして、赤ちゃんを右腕で抱えたまま、空いた左手で優しく髪を梳くかのように男の子の頭を撫で始める。


「!ふあ…」


それがよほど心地よかったのか、男の子から声が漏れてしまう。

そして、その心地よさをアピールするかのように、ますます涼羽の身体をぎゅうっと抱きしめてしまう。


まるで、離れたくない、と言わんばかりに。


「うん、いいよ…い~っぱい甘えてね?」


まるで自分を束縛しようとするかのように、男の子の抱擁がきつくなったことが…

本当に自分に甘えてくれてて嬉しいと感じたのか、涼羽は男の子の小さな身体を包み込むように左腕で抱きしめる。


年長者が蓮と志郎と、男性ばかりということもあり、無意識のうちに母性を求めていたのだろう。

男の子が涼羽のお腹に埋めている顔には、心底心地いい、という思いと、心底嬉しいという思いが同時に笑顔として浮かんでいる。


「あ~!!じゅる~い!!」

「ぼくも、りょうおねえたんになでなでしてほちい~!!」

「わたちもしてほちい~!!」


涼羽にべったりと抱き着いて甘えている男の子を見ていて羨ましくなったのか…

年少の幼子達が自分も涼羽に甘えさせてほしいと、涼羽の周囲を取り囲むようにべったりと抱き着いてくる。


「ふふ…みんな可愛い…大丈夫だよ?みんなも、い~っぱい甘えてね?」


幼い盛りの子供達がべったりと抱き着いて甘えてくるのが本当に可愛いのか…

涼羽は母性と慈愛に満ち溢れたその笑顔を一人一人に向け、一人一人を平等に、それでいて目いっぱい甘えさせていく。


「ふあ~~~~…」

「しゅっごく、ちあわちぇ~…」

「りょうおねえたん、らあいちゅき~…」


涼羽がくれる母性と慈愛が本当に心地よくて、本当に嬉しくて、本当に幸せな気持ちでいっぱいになっている幼子達。

結構な人数いるはずの自分達を、誰一人贔屓などせず平等に愛してくれて、甘えさせてくれる涼羽のことを、幼子達は心底大好きになってしまう。


もう幼子達の誰もが、涼羽のことを離したくなくて、その小さな手がぎゅうっと涼羽の衣服を掴んで離そうとしない。


「あ、あの…」


そうして、幼子達にとっても、涼羽にとっても幸せのひと時を過ごしているところに、年長組となる子供達が寄ってきて、おずおずと涼羽に声をかける。


「?なあに?」


自分よりも年下。

それだけで庇護の対象としてしまう涼羽は、そんな声にも目いっぱいの笑顔と優しい声で反応する。


「僕達も…」

「私達も…」

「涼羽お姉ちゃんに、甘えさせてほしい…です…」


さすがに面と向かって言うのが恥ずかしいのか、どの子もその顔を赤らめてしまっているものの…

やはり年少組の幸せそうな様子を見て我慢ができなくなったのか、自分達も甘えさせてほしいとおねだりをしてくる。


「…うん、いいよ」


年長組のそんなおねだりも、涼羽は可愛くてたまらなくなったのか…

もう幸せいっぱいな笑顔を浮かべながら、了承の意を声として響かせる。


「!嬉しい!ありがとう!涼羽お姉ちゃん!」


そんな涼羽の言葉が嬉しくてたまらず、年長組の少女の一人が涼羽の胸に顔を埋めて、べったりと抱き着いて甘えてくる。

どの子供も孤児ということもあり、普段は蓮が父として、志郎が兄として接してはいるものの、母として接してくれる人物がいないため、母親に餓えているのだろう。


だからこそ、その母性で目いっぱい包み込んでくれる涼羽に、思いっきり甘えたくなってしまう。


「~えへへ…涼羽お姉ちゃんに甘えるの…すっごく幸せ~…」


涼羽の胸に顔を埋めて甘えている少女は、それだけで涼羽の溢れんばかりの母性と慈愛に包み込まれている感覚が芽生え…

それがたまらないほどの幸福感を生み出してくれるため、もう離れたくないと言わんばかりにべったりと抱き着いてしまっている。


「もう…みんなほんとに可愛い…」


本当に幸せそうに自分にべったりと抱き着いて甘えてくる子供達が、涼羽は本当に可愛くてその顔から優し気な笑顔が絶えないでいる。


まさに母性と慈愛の女神、と言っても過言ではないほどに奇麗で可愛い涼羽に、年長の男の子達はドキドキさせられてしまうものの…

それでも涼羽に甘えたい、という本能の叫びに抗えず、涼羽にべったりと抱き着いてくる。


孤児院の子供達が、その溢れんばかりの母性を求めて涼羽に甘えるのは、子供達が目いっぱい甘えて落ち着くまで、続くこととなるので、あった。




――――




「やっべ…とんとん拍子に進むから仕事に夢中になりすぎた…あいつらのメシ、準備しなきゃ…」


この日はひたすら解体系の作業ばかりだったため、その圧倒的な体力と身体能力を駆使して驚くほどの件数をこなすこととなった志郎。

当然、件数をこなせばこなすほど給料も高くなるため、少しでも孤児院の苦しい経営を助けようといつもより長い時間、アルバイトに勤しんでいたのだ。


気が付けば、いつもなら孤児院で子供達の食事を用意する時間になってしまっている。

孤児院では、こんな自分を兄と慕ってくれる子供達が大勢いるため…

少しでも早く、食事の準備をしなければ、という使命感の元、愛用の自転車をまるで車でもそうそう下道では出さないほどの速度で乗り進めながら、孤児院への帰路を急いでいた。

食材自体は前日までにタイムセールのあるスーパーをはしごして安く買いこんでいるため、この日は買い物は不要ということもあり、真っすぐに孤児院に向かえている。


食事の準備自体は院長である蓮も普通にできるため、蓮は志郎に毎回する必要はないと言っているのだが…

今蓮がどれほど大変な状況なのかを痛いほどに知っているため、そんな蓮にわざわざ食事の準備までさせるわけにはいかないと、それは俺の仕事だと断固譲ることなく、蓮の負担を少しでも減らそうと奮闘している。


「っと…ようやく着いた……?……」


自転車の乗りこなしにも自信があるため、必要ならば県外にまで足をのばしてアルバイトに行くこともある志郎。

この日も県外まで走り回って作業をしてきたため、かなりの距離を自転車で走ってきたのだが、息も切らさず涼しい顔で孤児院に到着。


いつもよりは遅くなってしまったが、これから準備を始めれば、と意気込んで孤児院に入ろうとする志郎だったのだが…

とあることに気が付いて、思わずその足が止まってしまう。


「なんか…いい匂いがする…」


夕食時となる孤児院から、志郎の鼻がつい嗅いでしまいたくなるような匂いを感じ取る。

それも、嗅いでいるだけで美味しそうな料理の匂いを。


「うわ…もしかして院長先生が用意してくれてるのか?…」


孤児院の中にそそくさと入り、匂いの発生源となるキッチンへと足を進める志郎。

大人数の食事を用意する想定で作られた、一般家庭よりもかなり広いキッチンから、自分にとっては弟妹である子供達の、嬉しそうで楽しそうな声まで響いている。


これはいったい何事なんだと、志郎はキッチンにたどり着き、その幸せな雰囲気一杯の光景を目の当たりにする。


「!!!!え…なんで…」

「あ、おかえり。志郎」


志郎の目に飛び込んできたのは、孤児院の子供達が一人を中心に、とても楽しそうに食事の準備をしている光景。

中心となっているその人物が、見事な手際でてきぱきと料理を作りつつ、そこにいる子供達にもできることを割り振って手伝いをしてもらいながら夕食の準備をしている。


そして、その人物は本来ならここにはいないはずの…

今、志郎がこの世で唯一無二の親友と呼べる、高宮 涼羽。


その母性と慈愛に満ち溢れた笑顔を絶やすことなく、てきぱきと料理の手を進めながら、本当に優しく子供達にお手伝いをお願いし、できたら本当に我が子を包むこむかのように褒めて、『ありがとう』と感謝の言葉を贈るその姿。


孤児院の子供達も、それが楽しくて、嬉しくてたまらないのか…

『つぎ、なに?』『何すればいいの?』と、自分が自分がの勢いで涼羽に手伝ってほしいことを要求している。


「おお、志郎おかえり…アルバイトお疲れ様」

「ん?おお!!志郎君!!おかえり!!」


そして、キッチンには手持無沙汰でただただ、この幸せな光景を頬を緩めながら見つめている二人…

院長である蓮に、やはり本来ならここにはいないはずの丹波 誠一までいるのが、志郎の目に入ってくる。


「!え!?た、丹波社長!ご無沙汰してます!」


誠一と会うのは、あのキャンペーンでモデルとしての仕事をした時以来となるため、志郎は慌てて姿勢を正して挨拶をする。


誠一は、汚れの目立つ作業着姿で帰ってきた志郎を見つめ…

相変わらず気持ちのいい挨拶を返してくれることに微笑ましさと好感を覚えてしまう。

そして、それゆえに尋常とは言えないほどの高負荷な労働を、志郎がしていることに歯がゆさも覚えてしまう。


誠一は、自分よりも背の高い志郎の両肩に手を伸ばし、その労働を労うかのようにその肩を掴む。


「た、丹波社長?」

「志郎君…わしにとっては、涼羽君だけでなく君も、孫同然の存在なんじゃよ」

「え?」

「水臭いぞ!どうしてここまでの状況になっていること、わしに相談してくれなかったのかね!」

「!!」

「わしだけではない!幸介だって君のことは孫同然に思っているし、高宮君も君のことは息子同然に思っている!」

「あ…」

「そして、わしにとって君は、社の絶望を希望に変えてくれたかけがえのない恩人…その恩人のこのような状況を聞かされて、黙っているわけなかろう!」

「た…丹波…社長…」


言葉が、出ない。

どうしようもないほどの嬉しい気持ちが、志郎から言葉を奪ってしまう。


そして、言葉よりも涙を零させてしまう。


誠一…

ひいては、幸介や翔羽の思いまで引き継いだ、誠一のどこまでも熱いその言葉に、志郎は心を激しく揺さぶられ、その端正な顔がくしゃくしゃになり…

涙が溢れて止まらない。


「…っあ…ありがとう…ございます…」


やっとの思いで、志郎はその一言を絞り出す。

誠一の、幸介の、翔羽のその思いが、志郎にとってはかけがえのない宝物のようで、嬉しくて嬉しくてたまらない。

誠一も、そんな志郎が可愛いのか、思わずその頭をなでてしまう。


「志郎…」

「っ…、い、院長…先生…」

「この度、丹波社長が来てくださったのは、この孤児院の経営難を救うことのできる提案を持ってきてくださったからなんだよ」

「!!ほ、本当なんですか!?」

「ああ…しかも、その提案の雛形を作ってくれたのは、他でもない…あそこにいる涼羽君なんだよ」

「!!りょ、涼羽が…」

「そうなんじゃ!涼羽君がわしや幸介…そして父上である高宮君に相談があると言ってきてのう…涼羽君は、心底君のことを心配し、気遣っておったよ」

「そ、そんな…」

「涼羽君は自分のことは自分でこなす子じゃからのう…そんな涼羽君から相談、などと連絡が来て、わしはようやくこの大恩を少しでも返せると思ったのじゃが…相談の内容は君のことじゃったからのう…しかも、話し合いを進めていく内にこの提案が固まった時には、これで君のことを助けてあげられる、と…心底喜んでおったわい」

「りょ…涼羽お~…」


かつて、この世の全てを憎み、全てを敵視していた志郎。

そんな自分を、こんなにも助けようとしてくれる存在がいることを実感…

痛感することとなる。

それは、喧嘩魔時代の冷え切った心にはあまりにも温かすぎて…

志郎の切れ長の目からは、涙が溢れて止まらない。

溢れても溢れても、いまだ残っているその心のわだかまりを溶かしていくかのように、溢れて止まらない。


そんな志郎を慈しむように、蓮と誠一が志郎を抱きしめる。


「しろうにいちゃん…ないてるの?」

「志郎兄ちゃん…どこか痛いの?」


そんな志郎が心配になったのか、子供達が不安げな声をあげてしまう。

自分達にとって、最も頼りになる兄、志郎。

その志郎の儚げな姿に、『志郎兄ちゃんに何してあげたら、いいんだろう』と、純粋な思いが浮かんでくる。


「大丈夫だよ…」

「?りょうおねえちゃん?」

「ほんと?志郎兄ちゃん、大丈夫?」

「うん…志郎はね、今すっごく嬉しいんだよ」

「そうなの?」

「うん、志郎ってすごく頑張り屋さんだから、いっつも一人で頑張っちゃってるけど…志郎を助けてくれる人がいるって分かって、嬉しいんだよ?」

「ほんと?しろうにいちゃん、うれしいの?」

「うん、ほんと」

「じゃあわたし達も、志郎兄ちゃんのお手伝いしたら、嬉しいってなってくれるの?」

「うん、絶対なってくれる」

「じゃあぼく、しろうにいちゃんのこと、い~っぱいおてつだいする!」

「僕も!」

「わたしも!」


普段の志郎がまず見せることのない涙を見て、子供達は志郎のことを心配してしまう。

しかし、涼羽が優しく志郎のことを分かりやすく伝えてあげると、子供達はすぐに志郎のお手伝いをすると、嬉しそうな顔をして言葉にする。

大好きな大好きなお兄ちゃんである志郎が喜んでくれるならと、子供達一人一人が、志郎のお手伝いをしようとやる気になっている。


純粋で優しい子供達が本当に可愛くて、涼羽はそんな子供達…

そして志郎を、母性と慈愛に満ち溢れた優しい笑顔を見つめるので、あった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る