第134話 お父さんのこと、そんなにも気にかけてくださって、ありがとうございます…

「うわ~…どっちもめっちゃ可愛いな~」


「どうも初めまして~!こんな可愛い子達に会えて、お兄さん感激!」


「いや~、部長のお子さん達がこんなに可愛いどころ揃いとは」




この日の食事会と称した、高宮 翔羽の子供達のお披露目会。


その会の開始を待つべく、普段、自分達が業務をこなしているオフィスで待っていたところ…


その主賓となる、当の子供達がその場に現れ…




しかも、その子供達がまさに見目麗しく、しかも可愛らしさ満点の二人という…




初対面の人間が大勢いる中、人見知りである涼羽はおどおどとしながらも、懸命に妹を護るように抱きしめ…


羽月は、そんな兄にべったりと抱きつきながら、自分に向けられる興味の視線を避けるようにして、兄の胸に顔を埋めている。




涼羽の方は、保育のアルバイトをしたり、学校でも多くの生徒と交流したりするようになるなど…


いろいろと、他の人間と交流する機会が多くなったため、それまでの人見知りがいくらかは改善されているものの…


それでも、やはり周囲を初対面の人間で囲まれる、というのは落ち着かないようだ。




「あ…あの…いつもお父さんがお世話になってます…」




そんな、おどおどとした状態でありながらも…


父である翔羽が普段から一緒に仕事をしている社員達であるということで…


懸命に、その小さな頭を下げて、挨拶をする涼羽。




妹の羽月に、べったりと抱きつかれて、その小さな身体を抱きしめたまま…


目の前にいる、自分達を興味津々な目で無遠慮に見つめてくる社員達に…


精一杯、失礼のないようにと、丁寧な挨拶を見せる。




「…うわ~!もうなんつーか、可愛すぎ!」


「しかも、めっちゃしっかりしてるし!」


「それに、耳当たりのいい可愛らしい声!」


「丁寧な挨拶ありがとう!お嬢ちゃん!むしろお兄さん達が、君達のお父さんにい~っぱいお世話になってるからね~」




そんな涼羽がより一層可愛らしく見えて、どうしようもなくなったのか…


涼羽達を囲んでいる社員達のボルテージが、さらに上がっていく。




小柄で可愛らしく、それでいて健気で清楚な印象の涼羽の頭を、ついついなで始める社員が出始めることとなる。




「ひゃ…ぼ、僕、そんな小さな子供じゃないです…」




年上の男達に、小さな子供のように扱われて…


いつもの長男気質が顔を出してしまい、ついつい、ツンツンとした反応を返してしまう涼羽。




そんな反応も、また涼羽を可愛らしく見せてしまうことに、いつもながら本人が無自覚なのだが。




「いや~もう可愛いね~ほんとに」


「え?自分のこと、『僕』っていってんの?」


「へえ~、現実にいるんだな~、僕っ娘って」


「でも、それがまためっさ可愛いね~!」




当然のことながら、周囲の社員達が、そんな涼羽を見てますますその顔をだらしなく緩めてしまうこととなる。


自分達の好みと言える、可愛い異性を見つめる、男としての視線と…


先ほどからとにかく庇護欲をそそられるため、甘やかしたくなる、という、いわば歳の離れた妹を見つめる兄のような視線とが、入り混じっている。




「ほらほら、この子達、困ってるじゃない」




さすがにおたおたとしている涼羽と羽月を見かねたのか…


ここまでこの二人を連れてきた受付嬢が、ここの男性社員達から奪い去るかのように…


涼羽と羽月を優しく包み込んで、護るように抱きしめる。




「ほら、もう大丈夫よ。お姉さんが、護ってあげるからね」


「あ、ありがとうございます…」


「うふふ~…もう、本当に可愛いわね~、涼羽ちゃんったら」




しかし、自分の腕の中で健気にお礼を言う涼羽に心をくすぐられるのか…


もう我慢できない、といわんばかりに、涼羽の頭を優しくなで始める。




「うわ~…なんかめっさゆりゆりしい感じ…」


「美人と美少女の、いけないやりとりを見てしまっているかのような…」


「しかし、めっさ目の保養になる!」




そんな受付嬢と涼羽とのやりとりがまた、目の保養となるようで…


食い入るように、二人のやりとりを周囲から見つめている男性社員達。




「あ、ちなみにいっとくけど…」


「?」


「え?」


「な、なんだ?」




いきなり、含み笑いを浮かべながら勿体つけるような口調で言葉を紡ぎ始める受付嬢。


そんな受付嬢の声に、周囲の男性社員達がいっせいに視線を向ける。




そして――――








「この子、男の子だから」








――――とびっきりのいたずらっこな笑顔のまま、告げられる真実。




その真実に、ざわめいていた周囲の男性社員達が、静まり返ってしまう。




「…え?」


「……な、なんだって?」


「………も、もう一度、言ってくれないか?」


「…………な、なんか、耳がおかしくなったとしか思えないような一言が聞こえてきた気がするんだが…」




受付嬢から告げられた真実の一言が、まさに晴天の霹靂とも言えるほどのことであったのか…


一体、何を言われたのかが、全く分からないと言わんばかりに、さび付いた歯車のような、ぎくしゃくとした感じで、次々と問いかけの言葉を音としてその場に響かせる。




「この子、お・と・こ・の・こ、だから」




そんな男性社員達の問いかけに嬉々とした…


まさに、してやったりの表情で答える受付嬢。




それも、一字一字を分かりやすく区切って、強調しながら。




「…う、うそだろ?」


「いやいや!どっからどう見てもとびっきりの美少女にしか見えないんだけど!?」


「髪もこんなに長くて綺麗だし、体つきも、胸はないけどすっげー華奢で、丸みがあるし!」


「声なんか、食堂の菫ちゃんと比べても遜色ないくらい可愛いんだけど!?」




その返された言葉が、やはり聞き間違いではなかったということを改めて突きつけられてしまい…


周囲の男性社員一同、盛大に驚愕の表情を浮かべながら、それぞれ驚きの声をあげてしまう。




「いやいや、冗談だよね?」


「君みたいな、本当に可愛らしい女の子が、男だなんて!」


「こいつの悪い冗談なんでしょ?」




やはり、どこからどう見ても童顔で可愛らしい美少女な容姿の涼羽が男などという事実は受け入れられないのか…


今度は、実際にそれを告げた受付嬢をよそに、その当人である涼羽の方に、それぞれ問いかけてくる。




まさに、藁にもすがる、という言葉が当てはまる姿で。




「…ほ、本当です。僕、男です」




しかし、当の涼羽から返ってきたのは、受付嬢の言葉が本当に真実である、という言葉。


いつもいつも女の子に見間違えられていることもあり、もはやそう答えるのが当たり前、と言わんばかりに…


少しおどおどとしながらも、しっかりと答える。




そこは、譲れない、とでも言わんばかりに。




「(…え?え?マジ?この可愛い子が、マジで男?)」


「(どっからどう見ても、とびっきりの美少女にしか見えないのに?)」


「(え?なんのドッキリ?これ?)」


「(お、俺は夢でも見ているのか?こんなところに、こんな、二次元でしかいないはずの男の娘がいるなんて…)」




涼羽の確かな返答に、全員が言葉も出せずに固まってしまう。


そして、その意識が混乱の渦に飲まれてしまう。




だが、ここにも、男の娘属性を持っている人間がいたようで…


まさに、二次元から飛び出してきたかのような容姿の涼羽を見て、思わず顔がデレデレに緩みそうになってしまっている。




「そういえば、涼羽ちゃん?」


「?は、はい…なんですか?」


「あの時は聞けなかったから、あれなんだけど…涼羽ちゃんって、今いくつなの?」




ここで、受付嬢がふとした疑問を、声に出してしまう。


これだけ幼げで美少女な容姿だから、まだ成り立ての中学生…


下手をすれば、まだ小学生くらいじゃないか、という予想を立てながら。




声にしても、全然声変わりを感じさせないソプラノな声であるため…


一体涼羽が今何歳なのか、気になってしまったのである。




「今年誕生日が来たら、十八歳になります」




そんなちょっとした受付嬢の疑問に、特に何も思うこともなく…


ただただ、事実をそのまま告げる涼羽。




しかし、その発言から告げられる事実は、すでに混乱の渦に陥っている周囲を、さらに混乱へと引きずり込むものとなってしまった。




「………え?」


「?ど、どうかしましたか?」


「つ、つまり…りょ、涼羽ちゃんって、今十七歳なの?」


「は、はい」


「し、しかも今年十八歳ってことは…今、高校三年生なの?」


「は、はい。そうですけど」




周囲の男性社員と同様に、混乱の渦に巻き込まれた受付嬢からのぎこちなさを隠せない疑問の声。


その声に、ただただ、事実を告げるごとく、答えていく涼羽。




しかし、その度に、受付嬢の顔が呆気に取られたようになってしまう。




それも、無理のないことと言えるだろう。




なにせ、どこからどう見ても、せいぜい中学生くらいだろうという容姿の涼羽が…


まさかの高校三年生で、今年十八歳の男子だなんて。




もうすぐ、大人の仲間入りをするという年齢だと聞いてしまい…


もはや、驚きの表情を隠せないでいる受付嬢。




「……マ、マジで!?」


「……こ、この可愛らしさで、男ってだけでも驚きなのに!?」


「……そのうえ、今年十八歳の、現役男子高校生だって!?」




周囲の男性社員達から、驚愕の声が次々と漏れ出てくる。


どこからどう見ても、現実の存在とは思えない涼羽に、無遠慮な興味本位の視線が、容赦なく向けられてしまう。




「…あ、あの…」


「?な、なに?」


「?ど、どうした?」


「…あ、あんまりジロジロ見られたら、恥ずかしいです…」




そんな周囲の視線に耐えられなくなってしまったのか…


その丸みを帯びた頬をうっすらと染めて、俯いて恥らってしまう涼羽。




目立つこと、人に注目されることが苦手であるため…


こんな風に注目の的となってしまうと、ついつい恥ずかしくなってしまう。




「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」




そんな涼羽は、本人は本当に無自覚なのだが…


もはやあざといといえるほどに可愛らしくなってしまう。




それも、計算も何もない、天然で小細工なしの純粋な可愛らしさ。


それを、惜しげもなく、無自覚に見せてしまうのだから…




「…いい!」


「…なんか、この子なら俺、男でもいいって、思えちまう!」


「…もうまさに、可愛いは正義!ってやつじゃん!」


「…もうマジで、現実に興味なかったけど!でも、三次元にまさかこんなにも可愛い男の娘がいるなんて!」




いきなり、こんな美少女が男だと聞かされ、戸惑っていた社員達だが…


目の前の存在のあまりの可愛らしさに、心を奪われてしまったようで…


全員で、この存在を可愛がって、堪能しようと…


わらわらと、涼羽のそばへと集まってきてしまう。




「いや~マジで可愛いね!キミ!」


「え~っと、涼羽ちゃん、でよかったかな?」


「俺、キミならもうどっちでもいいよ!マジで!」


「ありがとう!現実に希望を持たせてくれて、ありがとう!」




そして、普段はブラウン管の中でしか見られないようなアイドルを、間近で見れているかのような…


本当に、そんなミーハーな感じで、次々と涼羽に迫ってくる男性社員達。




特に、男の娘属性持ちのオタク社員の食いつきっぷりが半端ではなく…


この現実に希望を持てたという台詞からも、それがうかがい知れてしまう。




「…おい、お前ら」




もはや涼羽が男だということなど、完全に飛んでしまっているかのように浮かれて、涼羽に言い寄っている社員達。




その背後から、恐ろしいほどに底冷えした声が、響いてくる。




「!!……」


「!!……」


「!!……」


「!!……」




その声に、一同揃って動きが止まってしまい…


恐る恐る、声のする方へと振り向くこととなってしまう。




振り向いた先にいたのは、自分達が普段から尊敬し…


それと同時に、目指すべき高みとしてあがめている上司であり…


そして、今目の前にいるこの可愛いの化身の父親である、高宮 翔羽その人であった。




だが、普段の淡々としながらも、人情味溢れる雰囲気からかけ離れた…


まさに、害虫を見るかのような、恐ろしく底冷えした視線を、向けている。




「…俺の息子と娘にちょっかいかけるとは、いい度胸だな、お前ら」


「!そ、そんな…」


「!あ、あんなにも可愛いから…」


「!つ、つい…」


「…なんならお前ら、明日からそんなことも考えられなくなるくらいの作業量に、溺れてみるか?」


「!ぶ、部長!」


「!そ、それだけはご勘弁を!」


「!も、申し訳ございませんでした!」




普段は、こんな職権乱用な台詞など、絶対に吐くことなどない翔羽なのだが…


自分の可愛い可愛い子供達が関わってくれば、それは別の話。




そして、普段から翔羽がしている作業量が、自分達では絶対に溺れてしまうほどのものだということを嫌と言うほどに知っているため…


あの作業量をそのままこちらに持ってこられたら、文字通り詰んでしまうことを実感している。




ゆえに、そんな上司の底冷えする声に怯え、たまらず土下座までしてしまう社員まで出てしまっている。




受付嬢の方は、そんな親馬鹿な翔羽を見て、思わずくすりと笑ってしまっている。




「ふむ…君達が、高宮君の子供さん達か」


「うむ…本当に素直そうで、可愛らしい」




そんな中、するりと、という言葉がまさに当てはまる感じで…


翔羽との交流を目的としていた専務と常務の二人が…


涼羽と羽月のそばへと寄ってきて、声をかけてくる。




「!あ、あなた達は?…」


「ああ、これは失礼。初めまして。私は、この会社の役員で、今は専務の席に座っている者だよ」


「初めまして。私は、同じくこの会社の役員で、常務の席に座っている」


「!じゃ、じゃあ…お父さんの、上司の方ですよね?…」


「うむ、そうなるね」


「ど、どうも初めまして!僕、高宮 翔羽の長男で、涼羽と申します!こっちが、僕の妹の羽月です!」




人見知りの割には、こういうところでの礼節にそつがない涼羽。


自分の父親の上司ということで、すぐに失礼のないようにと、慌てて自己紹介を返す。




まだ在学中の高校生とは思えないその反応に、役員二人の頬も思わず緩んでしまう。




「いつも、父がお世話になってます」


「いやいや、むしろこちらの方が、君達のお父上には本当に世話になっているくらいだよ」


「君達のお父上は、本当に優秀な存在でね。まさにこの会社にとって、なくてはならない存在だよ」


「!そうですか…そう言っていただけると、僕も嬉しいです…ありがとうございます」




形式上の建前などなく、文字通りの本音で、翔羽のことをなくてはならない存在だと語る役員の声に…


涼羽は、自分の父が本当に認められている存在だと知って、嘘偽りなどない、素直な喜びの声、そして表情を浮かべてしまう。




自身の父の上司であるということで、再び頭を下げて、役員の二人にお礼の言葉を贈る涼羽。




そんな涼羽の姿を見て、ますます二人の顔が、可愛い孫を見るかのような好々爺の表情になっていく。




「…高宮君にも、そして、君達にも、本当に済まない事をしたね」


「?え?」


「…わが社が、君のお父上に命じた転勤の辞令のおかげで、君達親子の、かけがえのない触れ合いの時間を奪うこととなってしまって」


「!………」


「…それも、よりによって、彼の奥方が亡くなってしまった直後だったと聞いて、ね」


「…今更、君達が本来得るはずだった時間が戻ってくるはずもないし、それを戻すことなどできないのだが…」


「…こんなにも可愛い子供達と、彼を離れ離れにさせてしまったのは、わが社の責任だよ」


「…もう今後は、こんなことのないようにと取り組んではいるのだけれど、まだまだ我々の力不足でね…彼に認めてもらえるような結果には、至っていない」


「…だから、せめて言葉だけでも、謝罪させて欲しい」


「…本当に、済まなかった」




ぽつぽつと、優しくも、その後悔を見せる眼差しをじっと涼羽に向けて、語り始める二人。


さらには、一介の高校生であり、社内隋一の優秀な社員とはいえ、部下の子供にすぎない涼羽に対し…


その腰を折り曲げて、頭頂部が全て見えるくらいに、その頭を涼羽に向けて、下げてくる。


その二人の、懺悔とも言える言葉。


そして、その姿勢。




「…………」




その言葉を、ただ黙って聞いている涼羽。


しかし、その表情には、怒りや憎しみ、といったものはまるで見られず…


むしろ、相手の二人を気遣うかのような、痛ましい表情が、浮かんでいる。




「…頭を、上げてください」


「?…」


「…正直、思うところがないわけではないですけれど…」


「…」


「…」


「…僕のお父さんが、上司の人にこんなにもしてもらえるっていうのが、すごく嬉しくて…」


「!…」


「!…」


「それに…お父さんの転勤って、お二人が命じられたものではない、っていうのは、なんとなくわかるんです…こんな風に、いくら負い目があるっていっても、一介の高校生に頭を下げるなんてことができる人達が、そんな理不尽なことをするはずがないって、思えるんです」


「!!…」


「!!…」


「…今は、お父さんも帰ってきてくれて、親子三人で暮らすことができてますから、本当にそれだけで十分で、幸せなんです」


「…おお…」


「…むしろ、そのお父さんの一件があったからこそ、そんなにもお二人が、この会社のために取り組んでこられたって思うと…そのくらい、お父さんがこの会社で認められている存在なんだって思えて…すごく嬉しいし…その反面、自分のしたことではないことで、本当に頑張ってらっしゃるお二人は、すごく辛い思いをされてるのかな、って思えて…」


「!君は…」


「…ですから、むしろ僕達親子のことで、そんなにも思いつめないで下さい…僕達は、こうして元の親子三人の生活に戻ることができていますから…」


「!なんと…」


「…ありがとうございます…お父さんのこと、そんなにも認めてくださって…そして、そんなにも気にかけてくださって…」




ふんわりとした、慈愛に満ちた笑顔で、役員の二人にかける涼羽の言葉。


その言葉一つ一つが、二人にとっては救いと言えるものばかりであった。




むしろ、包み込んで護っていく側であるはずの自分達が、あべこべに包み込まれているような感覚にさえ、陥ってしまう。


そんな風に、自分達に救いを与えてくれる涼羽のことが、まるで本当の孫のように可愛らしく思えてしまい…




「君は、なんていい子なんだ」


「君のような、本当に純粋で心の綺麗な子を見たのは、初めてだよ」




思わず、涼羽の頭を幼子にするかのように、優しく撫でてしまう。


そうでもしていないと、その目から涙腺が崩壊してしまいそうで…


もうとにかく、そうならないようにと、そして、純粋にそうしたいから…


その二つの思いで、涼羽のことを孫のように可愛がってしまう二人。




「わ…」




そして、祖父という存在がいなかった涼羽は、この二人になでられるのを最初は驚きながらも…


いつもと違い、そのまま受け入れてしまっている。




自分に、おじいさんがいたら、こんな風にしてくれてたのかな。




そう思うと、いつものようなツンツンとした反応が出せなくなってしまっている。




一般社員達が、底冷えするような視線を声を向け続ける翔羽に対して懸命に謝罪を繰り返している中…


その社のトップクラスの地位にいる存在二人と、涼羽との温かでほのぼのとしたやりとりが、しばらくの間、続けられることとなった。

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