第13話 職人か、作家か。

仕事とやりたいことが必ずしもイコールにはならない。わたしは、しばしば、これで悩みます。


ですが、今夜思い出した言葉にひとり手を叩きました。


鋳金工芸師曰く、

「売り物と作品は分けて創る」

と。


学生時代に出会ったその方は、銅鍋と彫刻作品と、どちらも創る方でした。人が買い求めるものと自分が創りたいものと両方つくって成り立つのだとおっしゃっていました。と言っても、売りものも質の良いものでした。


思い起こせば、大学の工芸の先生方もそうでした。もちろん暮らしの道具メインの先生も、ひたすらファインアートの先生もいらっしゃいました。


自分は人に求められる道具創りが好きでした。

だからオーダーに合ったものを書いています。


ですが今思うのは、

やっぱり自分の作品も創りたい。何の条件にも左右されないものを。


結論は、道具も作品も書く。これが工芸仕込みの自分の選択です。

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