AWAKENING
それじゃこの辺りで、World Treasure Hunter Association (世界トレジャー・ハンター協会:以下WTHAと略称) について、説明しておくわね。
WTHAは、世界中に隠され、事故や災害により埋もれたまま忘れ去られようと
している財宝・秘宝を探し出し、一攫千金を夢見る冒険者者たち・ トレジャーハンターをサポートする組織団体なの。
あたし達トレジャーハンターのミッションは、常に死と背中合わせの危険を伴っているわ。
サメの群れが取り巻く洋上や、人智の及ばぬ未開のジャングル、一つの文明が終焉を迎えた高地、飢えと渇きがつきまとう砂漠。
事故や災害だけでなく、盗掘を行う墓荒らしや窃盗団と間違われて原住民に襲われ、仲間の命を失う事さえある。
実際、今度のミッションでも危うかったしね。
そんな現況に悲哀と危機感を覚えていた、世界で五指に数えられる著名なトレジャー・ハンター、ウィリアム・ウォード・ウォルター氏(愛称トリプルビル)の得た多額の賞金と、彼の切実な願いの
元に、創設されたのがWTHAってワケ。
現在では、トレジャー・ハンターを引退し、財を成したOB有志らの寄附金、加盟会員の会費収入による運営を基本として成り立っているの。
もちろんあたし知念祐梨も加盟会員として認定を受けているわ。
協会が全面に出て広報を請け負う事により、ともすれば荒くれ者の集団と誤解を受けやすかったトレジャーハンターたちの世間の風評を改めるのにも一役買ってくれているの。
個人活動が主なトレジャーハンターらのとかく大雑把になりがちだった仕事に、規律と尊厳が重んじられる様になり、ハンター間の緻密な連携も可能となったお陰で、次第に互いの経験による知識やテクニック、サポートスタッフの貸し借りも盛んに行われる様になったわ。
特にデビューしたての頃のピチピチのルーキーだったあたしなどは重宝がられてよくお声が掛かり、プロフェッショナルな流儀を学ばせてもらう上で、勇猛果敢な先輩方にはとても世話になったものよ。
とまあそういった事情で、世界を股に掛けて飛び回る命知らずな荒くれ者どもを束ねる唯一の正規組織団体・WTHAの長であるトリプルビル(仲間達には畏敬と親しみを込めて“親父さん”なんて呼ばれている)から直々にお声が掛かったのだから、馳せ参じない訳にはいかないわよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます