折れた鍵【二四〇文字】
扉を閉ざす時というのは、あまり気持ちのいいものではない。その中に輝く黄金があると知っているから。いいや、だからこそ閉じなくてはならないから。
しっかりと扉を閉ざし、鍵を掛けて、ほんの少し鍵穴に力を込める。
ぱきりと音を響かせて、頼りない鍵が折れて壊れる。
その小さな隙間から黄金が漏れ出すことがないようにそうして封をする。
あとには感情だけが残る。
それをプレートに刻み込んで、扉に打ち付けて、私はその場を去るのだ。
鍵束は、少し軽い。
たった一本、それでも私には重いものだったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます