死に連なる御噺

霧宮夢深

プロローグ

生きるという事は、看取るという事だ。

齢16にして僕、天羽あもう勇樹ゆうきはそう考えるようになっていた。

小学校に入る頃、父親が35の若さで死んだ。悪性の末期ガンだった。母は悲しむ暇も無く働き始めた。心配した祖母が家に来て世話をしてくれるが持病で心臓が弱く、心不全で小学三年生の頃死んでしまった。

母に心配させまいと家のことをやろうとする僕を、幼馴染として育った隣に住む浅田あさだ優花ゆうかの両親が面倒を見てくれた。そのせいか優花とは兄妹のように育ったとも言える。

それもまた中学に入る頃に事態が変わる。優花の父が交通事故で亡くなってしまう。葬儀の時僕は悲しいのに泣けず、ただ泣き続ける優花と一緒にいることしかできなかった。

そして僕と優花は奨学金の資格を得て高校に入学する………予定だった。優花は倒れてしまった。医者が言うには原因不明らしく、いつまで生きることが出来るかは医者にもわからないという。それでもやはり僕は泣けずただ立ち尽くすことしかできなかった。そうして僕は1人高校へと入学した。

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