自由律俳句を楽しむ

鹿江路傍

君を待たしたよ桜ちる中をあるく

君を待たしたよ桜ちる中をあるく


――河東かわひがし碧梧桐へきごとう



 最初にこの句を知ったときの衝撃は中々のものでした。俳句とは思えないほどの瑞々しい甘酸っぱさ。碧梧桐の他の句と並べても際立っているように思います。むしろ句集の中でこの句だけが浮いているレベルです。

 桜並木を歩く男女。ふと、桜吹雪に目を奪われて足を止めてしまう。先を行く彼女から、声がかかる。小走りで彼女の方に駆けていく。そんな情景が目に浮かぶようです。


 実際には俳句仲間数人と歩いていた時の句らしいですが、そんなことはどうでもいいのです。私は青春の句として解釈します。こんなにも青春度の高い句はそうはないですよ!

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