下紅戯屋邪喰い

清見ヶ原遊市

序、ある日の午後

「それで、君はどうしてうちに就職を希望したの?」

欠伸を噛み殺したのがありありと分かる顔の筋肉の動きを見ながら、口を開く。

これで玉砕か、と。確信を持ちながら、きっぱりと。

「特に理由はないです。私は肉体労働がしたいと思っています。御社ならそれが可能だと考えました」

 残念ながらという答えを聞いたのはその日の夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る