第8話 ソラの日記 一月二十二日

 今日ははるきとえいがをみた。リビングの照明を落として、かべのスクリーンを最大サイズにして。


 はるきがえらんだのは『アンデッド・フロント』というホラーアクションもの。はるきはほんとうにこういうB級アクションえいがに目がない。


 一時期はえいがにえいきょうされて、空手教室にかよっていたくらいだと言っていた。本当に男の子はたんじゅんだなと思う。


 そんな気の迷いみたいなれんしゅうで本当に強くなれるわけがないのに。本当に強くなりたいなら、いっしょうけんめいに願わないといけないのに。


 えいがは主人公が不死の仙人に生まれかわるところを経て、おそってくるヴァンパイアとカンフーでたたかうシーンに移っていった。刀やけんじゅうを駆使してあっとうてきなこうげきりょくを見せつけるヴァンパイアに対して、仙人──アンデッドはなかなか死なないという特性をうまく使ってかくとう戦にもちこんでいる。


 わたしは人どうしでも、動物どうしでも、こういう化け物どうしでも戦うキワモノでも戦う姿を見るのが好きだ。


 そこではうそやわなも勝つという目標のために正当化され、肉体だけではなく精神のギリギリの攻防が見られるからだ。どんなことでもいっしょうけんめいに行う姿は美しい。


 はるきはひざの上のくっしょんにわたしをのせて、からだをなでてマッサージしてくれながらえいがを見ている。こういうスキンシップを大事にしてくれるのははるきの美点だ。


 たまにえいがに気をとられて手が止まると、わたしはちょっとつめを立ててうでを引っかいて現実にはるきを少しひきもどす。


 はるきはえいがだけじゃなくて、人間の女の子にも気をとられることがおおくて、わたしはあるじとしていつもやきもきさせられる。


 でもちゃんとこういう二人の時間をつくってくれるはるきのマメさはちゃんとひょうかしてあげなくちゃ。


 とうやも家事のかんぺきなこなし方はとてもえらいのだけど、わたしにたいしてそっけないのが減点ポイントだ。


 そんなことを考えていたらえいがもちゅうばんにさしかかり、ヒロインがぜったいぜつめいの危機におちいっている。わたしもここからはえいがにひきこまれていった。


 えいがの感想は……これから見る人のために書かないでおくね。見てそんはないと思うよ!

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