マフィアだけど子供を買ってみた。

@SEG0134

第1話「闇市で買ってみたぜ‼」

 やぁみなさんこんにちは。


 こんにちは、とは便利な言葉だとは思わない?


 朝昼晩いつの時間でも通用するからね。


 ん?別にこんにちはじゃなくてもいいじゃないかって?その時間にあった言葉を使えばいいんじゃんって?


 ん~それはちょっと難しいかな。


 だって今俺は………


「これが今回の目玉‼ホテサル種の女だ‼」


 地下の闇市に来てるから時間何て分からないんだもん。


 闇市は地下の大きなホールで行われており、いくつものテーブルと大きなステージがある。


 テーブルには豪華な料理が沢山置かれており、ステージでは司会を務めている男と『商品』が並べられている。


 ホールに多くの貴金属を付けた富豪たちが何人もおり、あーだこーだぺちゃくちゃとお喋りをいていた。


 闇市は様々な物を非合法で買えるところであり、今回の商品は『人』。つまり奴隷と言われる者たちが商品として売られている。


 俺はその奴隷を買いにこの闇市に来ているのだが…


「基本金額は10000ゴールド。ここから欲しい人でどんどん釣り上げていくぞぉ‼」


「だー‼高ぇ‼買えねーよコンチクショウ。」


 お金が足りずに買えていなかった


「なぁ~オフィスのボス~シャト、眠くなってきたよ~帰ろうよ~。」


「もうちょい我慢しろって。もしかしたら買える奴隷がいるかもしれないんだから。」


 俺の名前はオフィス。


 この街のマフィアのボスをやってる。


 マフィアって言っても構成員3人の超弱小。一応4年ほど前からやってはいるけどメンバーが増えた試しがない。


 一応理由はあるんだけど今は別にいいや。


「そうだぞ。あと、もうちょっとシャキッとしろ。他の奴らに嘗められたらどうする。」


 最初に俺に話してきただらけている奴がシャトナ。


 メンバーの一人で癖っ毛がチャーミングポイントの可愛い女の子。


 次に話した真面目そうなのがオルガ。


 猫耳が生えたスラっとした男性。


 小心者でいつもビクビクしてる。


 今もあんな事言っているけど小刻みに震えてる。


「次はこちら‼オーガ種の男性‼」


「お‼オーガ種じゃん。基準値段は…予算より二ケタもちげー…」


「どうせこんな予算じゃ買えませんって~。あと一人で今回のオークション終了ですよ~。」


「そもそもこんなところで、しかも奴隷なんかを仲間にするなんて間違ってると思うのです。」


 二人が言っていることは合っている。


「でも、このままじゃずっと弱小マフィアだぜ?しかもあいつらのせいで仲間何て手に入らねーし。」


 先ほども言ったが、とある理由から俺達は正攻法でメンバーを増やすことができなかった。


 メンバーが増えて強くなれば一応正攻法で集められるようにはなれるんだけど…


 メンバーが増えない→弱いまま→理由→メンバーが増えない


 この負のスパイラルだ。


「それはそうだけどさ~」


「それではラストの商品だ‼」


「お、ほら。次でラストだからさ。残り物にはなんとやらって言うだろ?」


 俺はワクワクしながら、二人は半ば呆れたように商品が並んでいるステージに目をやった。


「ラートワ種の少女。しかもまだ7歳。あーあと病気持ち。ぶっちゃけ処分したいから誰か買ってくれない?」


 オークションの司会をやっている男は全くやる気がなさそうにダラダラと説明をした。


 ステージの上には死んだ目をした丸っこい耳の少女が立っていた。


 一瞬目があったような気がするが目が死んでいるのでよくわからない。


「ラートワか~しかもまだ7歳とかなんの役にも立ちませんね~やっぱり無駄足でしたね~」


 シャトナは手をぶらぶらと振りながらホールの出口へ歩き始めた。


「どのような病気かわからないが、俺たちの経済状況じゃ薬も買えるか分からないですしね。」


 オルガも溜め息をついて下を向いている。


 しかし俺は、


「……った」


「「え?」」


「買った‼」


「「はぁ~⁉」」


 大きく手を挙げてその奴隷を買った。

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