先輩と後輩

ぺんなす

第1話 先輩

教室から出ると、先輩が座ったまま寝ていた。

「先輩、何してるんですか?」

「んんん…ん?君は…えっと」

寝ぼけた様子の先輩は、俺がだれなのか認識できていない様子だった。

「先輩俺ですよ」

「その声は後輩君。おはよう」

先輩はやっと気が付いた様子で、笑顔であいさつされた。

全然おはようとは違う時間だけれど。

「おはようございます先輩。先輩、なんでこんなところで寝ていたんですか?」

「教室に戻ってきたら、教室で誰かが話しているのが聞こえて…邪魔したらいけないと思って外で待ってたの」

「そうだったんですね」

「後輩君はどうしてここにいるの?」

「実はその教室で話してたのたぶん俺です」

「そうなの?」

「はい」

「でも1年生の君がどうして2年生の教室でお話を?」

「先輩に呼び出されて」

「そうなんだ!!」

先輩はいつも俺の話を楽しそうにニコニコしながら聞く。

俺はそんな先輩が大好きだ。


「それより先輩!!一緒に帰りませんか?」

「私と?」

「はい!!」

「私でよければいいよ」

「じゃあ帰りましょう」

「あっ待って、カバンまだ教室の中だから取りに行ってくるね」

「はい」

そう言って先輩は教室へとはいっていった。

先輩はカバンを持ち

「じゃあ帰ろっか」

笑顔でそう言った。

門を出てから、先輩がこんなことを言った。

「あのね私ねびっくりしたんだよ」

「何がですか?」

「だって目を開けたら目の前に後輩君がいるんだよ。びっくりするよ」

「そうですか?」

「うん。でも起こしてくれてありがとうね。あのまま寝てたらずっと起きなかったかも。えへへ。」

先輩はそう言いながら恥ずかしそうにしていた。

俺はそう言った先輩の一つ一つのしぐさとか、言葉が大好きである。

「後輩君。どんな話してたの?」

「えっ。えっと」

「あっごめんね。無神経だよねこんな質問」

「いえ、全然大丈夫です。話っていうのは告白のことでした」 

「告白?」

「はい。好きだから付き合ってほしいって言われました」

「そうなんだ。後輩君は人気者だね」

「そんなことないです。あっちなみにその告白は断りました」

「どうして?」

「俺、好きな人いるんで」

「そうなんだ」

「先輩は好きな人とかいるんですか?」

「私?うーん私は…しいて言うなら…後輩君かな〜♪」

先輩は笑顔でそう言ってきた。

「後輩君は、私とお話してくれるし、仲良くしてくれるし、優しいし、一緒に帰ってくれるし!!」

「ホントに俺だけですか?」

「もちろん家族も好きだよ!!勘違いしないでね!」

「家族とかその…身内以外は俺だけですか?」

「ん?うんそうだよ」

先輩は不思議そうに俺のほうを見てくる。

「あれ?もしかして嫌だった?私に好きとか言われるの」

「いえ。そんなことないです。むしろその、嬉しいです」

「そっか、嬉しいならこれからどんどん言っていくね!」

「はい!言ってくれるのは嬉しいです」

そんな会話をしてその日の、先輩との会話は、終わった。

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