第24話 孝一、本来の目的を思い出す
大海さんと反省会
放課後、
大海は壁の前で呆けている孝一を見つけた。ずいぶんショックを受けているようだった。
孝一が大海に気づく。
孝一(金輪際、大海に近づくな・・か)
孝一は大海に背を向ける。そこからゆっくり離れようとした。
大海は孝一に後ろから抱き付いた。そして、絞るようなか細い声でつぶやく。
大海「あの言葉は・・・風切ちゃんの冗談だから・・・本気にしないで」
大海の胸のあたりの柔らかいものが自分の背中に当たるのを感じた。
おうふ
孝一「・・・ごめん、俺が悪かったから・・・少し離れて」
大海「?」
大海から差し出されたチョコレートを食べて、お茶を飲んで一息ついた。
孝一「・・・」
大海「・・・」
負けて落ち込んでるんだろうな・・・こんな時なんて声をかければいいんだろう・・・
大海「・・・うまく言えないけど・・・風切ちゃんに勝ったり・・・誰かに勝つことが、水上君のやりたいことなの?」
孝一「・・・」
大海「・・・」
孝一「・・・・そうえいば・・・そうじゃなかった。」
孝一「俺のやりたいことは壁を壊すことだけだ。じゃあ、別に誰かに負けても気にすることないな」
大海(・・・それで納得できちゃうんだ・・・)
孝一「・・・危うく本来の目的を見失ところだった・・・ありがとな、大海」
大海「・・・どういたしまして」
大海は少し照れていた。
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風切さんはいつものように竹藪で剣の稽古をしていた。
あいつ・・・この間よりも動きがスムーズだった。
何より間合いに入られて打撃を受けるなんて負けたのと同義だ。
風切は鞘から刀を走らせる・・・縦に2列に並ぶ竹がどちらも斬られて倒れる。
やっぱり駄目か・・・
前の竹を斬らずに、後ろの竹だけを斬り落とす・・・ゼン師匠の技・・・
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孝一は壁の前に寝転がって考える。
1000回に1回・・・壁がいい感じに振動する確率だ。
対人戦だと調子よかったから、普通に成功すると思い込んでいたけど、そう甘くないか・・・
立ち上がって壁を殴る。・・・また、失敗
まだまだ・・・先は長いな・・・
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