第14話 ユズハ師匠との別れ




ユズハ師匠は突然いなくなった。





ある日、ユズハ師匠は、行くところがあると言い、今生の別れになるかもしれないと言いだした。次の日、ささやかながら送迎会を開くことになった。


ユズハ「大海ちゃん、泣かないで」

ユズハ師匠は大海をなだめるように抱きしめて頭を撫でた。

大海「・・・どうして」


ユズハ「あ・・えーと、そう色々と・・・」

孝一(なんで、はぐらかす?)




孝一「師匠・・・お世話になりました。俺に『はたく』を見せてくれた人、顔も性別も思い出せないですけど、ユズハ師匠みたいな人物だったってそんな気がします。」

ユズハ「・・・一応、それ褒められているのかしら・・・」

孝一「褒めてます。」





ユズハ(まあ、水上君からしたら最大限の賛辞なのか・・・)




ユズハ「じゃあね。二人とも元気で」

孝一「はい」

大海「はい」




その日から、ユズハ師匠とも大海ともしばらく会うことはなかった。





$$$





それから数日が過ぎた。



母(近頃・・・孝一が壁を殴るって言って外出することが少なくなったわね・・・)



ユズハ師匠がいなくなってから急にやる気がなくなった。

前にもこんなことがあった。




いつのことだったっけ・・・




『はたく』を見た直後の気分にそっくりだ・・・

『はたく』を見た日から、ずっと壁を殴ってきたわけじゃない。そうだ、1日、1日と経過していく中で、徐々にそうしたいという気持ちが強くなって・・・1ヶ月後ぐらい経ってからやり始めたんだっけ・・・

今じゃあの時『教えてください』って言わなかったことを後悔してる。



そんな日々とダブるんだ。



孝一「ちょっと壁のところに行って来る。」


母(そんなこともなかったか・・・)





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