第2話 根を詰めすぎて寝込んでしまう話
母は壁を殴ることを認めない・・・
微かな記憶を頼りに・・・ただひたすらに壁を殴り続けた。
壁が壊れるはずなどなく、手が血だらけになるだけだった・・・
そして2年が経過した。
何の成果もきっかけもつかめないまま、ただひたすらに時間だけが過ぎていく。
孝一は焦っていた。
担任の先生「水上、最近顔色が悪いが大丈夫か?」
孝一「ええ、問題ありません。ちょっと体調が悪くて、数学が手につかないですけれど」
担任の先生「それは問題だよ」
夕食
母と孝一は『はたく』の件で喧嘩をして以来、口をきいていなかった。
母(・・・最近食欲がないみたい。)
孝一「・・・ごちそうさま」
今夜も壁に行って殴らないと
・・・はやく・・・はやく・・・壁を破壊できるようにならないとダメなんだ。
こんなところで躓いていてどうする。
孝一「・・・あれ?」
孝一はめまいを起こして倒れた。
母は孝一をベットに運び込んだ。
母「熱があるわね・・・」
孝一「・・・」
ざまあないって思われているだろうか・・・ちくしょう・・・
母「・・・あなたがなぜ倒れたか・・・わかる?」
孝一「・・・」
母「・・・・あなた自身が自分を信じられなくなったからよ。だから自信を求めて無理をしてしまった。」
母「この世界であなたを信じてくれる他人なんてほとんどいないのよ。・・・・だったら自分自身ぐらいは自分のことを信じてあげてもいいんじゃないかしら。」
孝一(・・・壁を殴っていいよってことなのか?)
母「私は、・・・あなたを信じていないわ、あんな馬鹿なことやめて欲しいって思っている。」
孝一「・・・別に信じてくれなくてもいいし」
孝一は反論したあと、いつの間にか寝ていた。
その日を境に何かが変わったかといえばそうではない。ただ、毎食ご飯は食べるようになったし、夜もしっかり寝るようになった。
壁を殴ることに成果は全くでなかった。
孝一「いってきます。」
母「早く帰ってくるのよ」
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