That was it
快晴と共に迎えた朝、僕はまた朝蜘蛛を見た。最近は日課のように蜘蛛を見る。
虫は好きじゃないけど、だからこそ殺さない。触るのも嫌いだ。そもそも、朝蜘蛛は殺してはいけないらしい。母さんやお祖母ちゃん、それよりも昔に生きていた人達がそう言っている。殺すと縁起が悪いそうだ。
そしてある日の晩、僕は夜蜘蛛を見た。最悪のシチュエーションだ。言い伝えによると、夜蜘蛛は殺さなければならないらしい。そうしないと縁起が悪くなるのだ。僕はティッシュを何重にも重ねて夜蜘蛛を覆い、グルグル巻きにした後、目を瞑って指先に力を入れた。
殺せたかどうかは分からない。ティッシュを広げて確認する勇気がない。
でもどうやら、夜蜘蛛は死んだようだ。その夜以来、朝蜘蛛を見る事がなくなったのだ。
短編集 JUST A MAN @JUST-A-MAN
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