とある宗教祖
とある国のとある場所にある、とある宗教が弾圧された。教えが否定され、邪教として扱われたのだ。信者達は皆狂信的で、家族の反対を押し切って教祖の下で教えを請った。その姿は世間から異様に思われ、否定された。
一言で言えば、周囲からの反感を買ったのである。
そして今日、教祖が自らの死を予言した。彼は教会から出る際に、こう言い残した。
「私は、今から家に帰る。しかしその途中で多くの人に石を投げられ、命を落とすだろう。だが私は、貴方達が石を投げないだけ幸いだ。だから私の死を嘆いたり、石を投げつける人を攻撃したり悪く言ったりするのは止めなさい。私の死を、見守りなさい。」
彼が教会を出ると、外には既に多くの人が集まっていた。
「この偽善者!」
そう言って若者が石を投げると、
「エセ教祖!」「ペテン師!」「嘘つき!」
様々な汚い言葉と共に、石が投げ続けられた。
団体には300人程の信者がいて、その内の100人が教祖の苦しむ姿を見ていた。しかし信者達は教えに従い、涙を流しながらそれを見守った。
そして教祖は…息途絶えた。
彼は死に、布教活動もなくなった。しかし300人の信者は教えを守り、後悔がない人生を送った。
…彼は、本当に偽善者だったのだろうか?ペテン師や詐欺師だったのだろうか?
今の世の中、人に対する関心や思いやりもない。救いの手を差し伸べても、掴もうとする人も少ない。救世主だからと言って、教祖だからと言って、全ての人を救えはしないだろう。
そして世の中には誰かの命を平気で奪い、また、それを傍観する人達でいっぱいだ。他人の不幸を前に、平然としているのだ。
しかし教祖は教えを説き、少なくとも300人の迷いを消した。
果たして彼に石を投げつけた人々は、誰かを傷つけはしたものの、救った事はあっただろうか??
それを考えると…彼は…立派な救世主であり、宗教祖なのだろう。
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