第14歩 『気持ち』

  レイの双眸は、フラエをじっと見つめていた。


「・・・あぅ・・・・・・え?」


 フラエの顔から表情が抜け落ち、固まる。

そして、数秒置いて要約レイの言葉を呑み込んだのか、その頬が朱に染まっていった。


「うぇ・・・えぇえ!?」


 湯気が出るかと思うくらいの、熱気だ。

「ごめん、いきなり・・・だったかな」

「そ、そうでうよ!いきにゃりすぎますよぅ・・・・・・!」

最早ろれつが回っていない。

「えと、そのですねっ?す、す、しゅきがどういう物かについて今一度整理しましょう!そうしましょう!!」

「フラエっ!?落ちついてっ!」

 フラエは大きく深呼吸をした。

だがしかし、熱が消えるわけでもなく、

「う、うぅぅう・・・・・・・・・!うやぁあぁああああああああああああああぁぁあぁぁ!!!!!」


 逃げた。


部屋にはぽかんとした顔のレイが残るばかりである。




 ◆◆◆


 ・・・・・・・・・。

「逃げて、しまった・・・・・・・・・」

フラエは自室に戻り、ベッドに突っ伏していた。

まだ顔が熱い。

先程のレイからの告白の余韻だ。

「告白・・・・・・・・・」

思い返す。


ーーーそうか。私、告白・・・されたんだ。


 また顔が火照る。

・・・嬉しい。

確かに嬉しい。

 しかし恥ずかしさで逃げてしまった。

後悔と嬉しさと恥ずかしさが胸中を渦巻いている。



 自分の気持ちも、答えも決まっている。

「私は、レイさんが・・・・・・・・・好き」

声に出すと、物凄く恥ずかしい。


 もうダメかと思った。

でも、助かった。彼は助けてくれた。

彼は物語に登場する英雄達のようで、本当に格好が良かった。

 命を助けられた。

それだけで、十分じゃないだろうか。


 そして、彼は言ってくれた。

遠くに行こうと。

一緒に。


「私は、レイさんが、好きだ」

胸が温かくなっていく。



ーーー彼に、伝えなきゃ。返さなきゃいけない。私の、気持ちを。


 そう思い、早速行動にうつそうとするが、体は動いてはくれない。


ーーーさっき逃げちゃったから気まずいし・・・・・・・・・あ、明日でも、

   いいよね・・・?


 ベッドに潜り込むが、まだまだ熱は冷めない。

しばらく眠れなさそうだ。









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