第12話 居酒屋にて

11話の続きである。


「桜雪クン、今日、夕食どう?」

「主査さん、いいですよ」


居酒屋に来たのだ。

「へぇ~桜雪クンは酒飲めないんだ」

「はい、嫌いというか、受けつけないみたいです」


「ところで、好きなもの頼んでよ」

「はい、ありがとうございます」

お好み焼きをメインで適当に摘まめる1品料理を頼んだ。

「主査さん、どうしますか?」

「う~ん、このタコライスってなに?」

「あぁ、タコスを御飯に乗っけたヤツですよ」

「あぁ、じゃあソレ食べてみるよ」


「お好み焼きお待たせしました」

主査さん、また自分のトコに移動させて食べだした。

(この人、どういうつもりなんだろう?この間といい、今といい)

しょうがないから、1品料理を摘まんでいた。

「タコライスお待たせしました」

「……コレ、僕が頼んだんだっけ?」

「えぇ、そうですよ、どうぞ」

「アレ、僕、今……ナニ食べたんだろう?」

「お好み焼きです」

「僕、お好み焼き頼んでないよね」

「俺が頼んだんです」

「えっ?僕食べちゃったね!ゴメン!」

「あぁいやいいんですけどね」

「コレ食べて」

タコライスを差し出すかと思いきや、食べかけのお好み焼きを差し出した。

そして、タコライスを食べだしたのである。


「いや、美味しかったよ、いい店教えてくれてありがとう、安いし、いいよ、この店、また来ようよ。ね」

「あっ、はい」


翌日

「というわけでさ~」

「マジですか?」

「忘れっぽいんじゃなくてさ……やまいかもしれないね」

「嫌われてんじゃないですか?」

「そうかな~、天然って感じなんだけどな~」

「悪い人じゃないんですよね」

「そうなんだよ、むしろ親切ないい人なんだよね」

「それだけにってやつですかね」

「う~ん、2回ともだからね」


ど天然のトラブルメーカー……本社では有名だったらしい。

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