御内隆也のエンドロール
Final chapter
「……ん」
カーテンから漏れた朝日に照らされて目を覚ます。
二人の神童の決闘から数週間、今度こそ平穏な日々が流れていた。
時計の横にあるカレンダーを見て思い出す。今日は智野とコカナシが出かけている日だ。この前のピクニックのやり直しである。
いつも二人がやってくれている家事系統もやらなくてはいけない。確かそれを見越して仕事は少なかった筈。
そう考えながら部屋を出たのだが……
「……終わってる?」
家事どころか今日の分の仕事まで終わっている。靴を見るに二人が帰ってきた訳では無さそうだ。
「ならば……」
「何をしている」
トイレのドアを開けて現れたのは考えられる唯一の人物。いや、しかし……
「これ、先生が?」
「ああ」
「……嘘はダメですよ」
「お前が聞いて来たんだろ」
「いや、でも、なんで……」
「なあに、少し出かけるだけだ。動きやすい服装で来い」
「…………」
何させられるんだろう……
*
「手配はもちろん完了さ!」
全快したらしくいつものハイテンションなアデルから渡されたチケットを持って連れられたのは……
「鉱山ですか?」
「ああ」
「素材用……では無いですよね」
素材なら全てアデルに任せてるであろう。
「ここは錬金石が掘れる鉱山だ。錬金石も消耗品だからな、お前のも見繕ってやろう」
そう言えばそうだった。以前もらった二つ目は腹の中である。
ともあれ仕事を肩代わりしてまで俺を連れ出した理由はわかった
「発掘作業をやれって事ですね。どうすればいいんですか?」
「ん、いや、発掘はワタシがする。お前はサポートしろ」
「……へ?」
「文句でもあるのか」
「発掘は機会が自動でやるとかですか?」
「一部機械は使うが基本人力だ」
「それを、先生がやると」
「……そういう時もあるさ」
「…………?」
頭に疑問符を浮かべながら、先生の発掘作業を手伝った。
*
「……これだな」
幾つかの錬金石……正確には加工前の錬金原石を見つめる事数十分、ようやく先生は一つに決めたらしい。
赤と黒と銀が良い具合に混じった石である。
先生はソレらとは別の所に置いておいた錬金原石から迷う事なく二つを取る。
「お前とトモノのはこれだ」
「もっと熟考してくださいよ!」
「重要度が違う、比べ物にならん」
「まあ……いいですけど」
その後それらの錬金原石を加工屋に持っていき、近くのカフェに寄って帰宅した。
ほんと、なんだったんだろうか
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